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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移十日目っ! ~ いよいよ、オーク軍と大決戦っ!

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85/142

85.転移魔法? んなもんあるの?

 オークの捕虜にされた女性たちは、全員、オラクルに連れ帰るらしい。

 青服の聖女ちゃん(アオイだっけ?)が、この手の事柄を専門にしている教会の所属なんだそうで、全員面倒をみるんだそうな。ギルドマスターと馬車がどうこう掛け合っていた。

 まーそうだね。余計な人間を乗せる程の余裕はないよね。

 するとマクロン閣下が、自分たちのパーティーは転移魔法(ゲート)で帰るから、馬車の空いたスペースを使うといい、と申し出て来た。

 転移魔法(わぁぷ)? んなもんあるの?

 いや、あるか。隕石落とせるおっさんなら、わあぷ(てんい)位、当たり前にできるか。

 ん、わぁぷ、は転移、じゃないの? 共通語理念(コモン)でちゃんと翻訳されないや。

 まあ、あたしたちの世界でも、ワープはまだ研究段階。

 本格的に宇宙開発に乗り出せるレベルの技術開発は、まだ遠い未来だからね。

 で、自分たちだけでは馬車のスペースが足りないから、一緒に乗ってきたあたしたちとマイアミのパーティーも一緒に連れて行ってくれるんだって。

 みーよに相談したいけど、絶賛意識喪失(ブラックアウト)中。

 マイアミも、同じく絶賛意識喪失中のデンを抱えて、一も二もなく頷いていた。

 アンタがいいというなら、まあ、大丈夫なんでしょ?

 あたしもみーよを抱えたまま、承諾した。

 頷いた魔法使いのおっさんに、確認してみる。

「もう一組、狩人チームは?」

「あやつらは、転移魔法(ゲート)を嫌っておるからな」

 あーそーなんだ。

「お前は抵抗が無いようじゃな」

「いや、ただ知らないだけ」

 頭が冷えたらしいマイアミが大丈夫そうだから、だけだよ?

「ふむ……」

 なによ、魔法使いのおっさん、その知らないぞ、みたいな顔は?

 もしかして、ヤバイの?

 なんて、あたしの動揺なんて、かまわれることも無く。

 冒険者ギルドの本隊の面々が、あたしたちのお見送りのために、取り囲む。

 その輪の中心に、帰還メンバーが揃った。

「では、行くぞ」

 おっさん(マクロンかっか)が掛け声とともに、先端がぐるぐると巻かれている木の杖を地面に打ち付けた。

 杖を突いた先端から、地面が、地面が、流砂のように吸い込まれていく!

「ちょ、ちょっと、大丈夫なのぉ!」

 うわ、飲み込まれる、マズイマズイ!

 みーよを抱えたままなので、脱出できない。

 ってか、もう腰まで砂に埋まっているので抜け出せない!

 あ、これ、死ぬ!

 すぐに頭まで埋まってしまい、そのまま、地中の奥深くまで沈んでいった……


 沈んだ、はずだった。

「あれ?」

 地面が、固い。石で出来ている。地面というより、床だ。

 天井もある。丸みを帯びた石造り。かなり高い。

 シャンデリアが吊るしてあり、ろうそくじゃない、宝石が一本ごとにひとつづつ埋め込まれていて、ほのかに光って部屋を照らしている。

 壁は吹き抜けになっている。8本の太い柱で屋根を支えているみたい。

 風が吹き抜けて、オラクルの街へと流れていった。

 多分あたしたちが街を出た城門が、随分低い位置に見える。

 今、あたしたちがいる場所は、塔の上らしい。

「な、な、何が、起こったの?」

 あたしの反応が新鮮らしく、魔法使いのおっさんが、なんか嬉しそうだ。

「帰還の転移魔法じゃ。わしの店にスクロール(まきもの)が売っておるぞ。一本につき大金貨10枚じゃ」

 帰還の巻物? 大金貨10枚? 大金貨1枚につき約100万円、の10枚。

 げ、いっせんまんえん!

「もしかして、使い切りだったり、する?」

「当然じゃ。あ、今回は無料(タダ)で良いぞ。お前たちは“ついで”じゃからな」

 ホッとした。さすがにそれは、支払えないわ。

 危うく、みーよを落っことす所だった。

「いずれにせよ、こうやって帰還するつもりだったからの。都合よく“青き清浄の調べ”に、体裁(てい)よく恩を売っておけたわい。お前たちも、後であの教会に顔を出すのじゃろう? 吾輩の事もよろしく言っておいてくれ」

 どういうこと?

 事情を知っていそうな、マイアミの方を見る。

「マクロン閣下は、相手陣営を捕虜ごと焼き尽くすのがお好きなので、捕虜を丁重に葬還したい宗派にとっては忌み嫌われることがよくあるのだよ」

 微妙に複雑な顔の、マクロン閣下。

「ふん。星の炎で盛大に焼き尽くしておるのだから、大して変わらんだろうに」

「いえ、人の生き方としては、それはあまりにも」

「変わらん」

「いえ、閣下のお考えは、尊重致します」

 言い合ってもしょうがないらしい、諦めた感じのマイアミ。

「もう良いじゃろう。吾輩も少々疲れた。そこの“なりそこない”も心配だし、そっちの聖女も早く教会で休ませてやらねばならぬのじゃろう?」

 マクロン閣下の方も、不毛な言い争いは勘弁して欲しいらしい。無理に話を逸らしてきた。

 だよね、賛成。

 あたしも、いつまでもみーよを抱えてられない。マムちんの所に早く連れ帰ってあげたい。

 こっちの世界で意識を保てないような状態になってるんじゃ、現実世界での肉体と精神の方も心配になる。

 ただ。

 “なりそこない”って、誰?

 一応、心配はしてるんだから、マクロン閣下に敵意みたいなもんは無いのよね。

 あたしらを巻き込んで“星落とし”したのも、出来るだけ待ってくれてたみたいなのよね。単に無視して巻き込んだわけでもないみたい。

 だから、あたしとしては、あの時の戦斧使いみたいにムキになって怒るほどの理由は、無い。

 巻き込まれてる立場で言う事でもないけど、結構、閣下の立ち位置派というか、その考え方には賛成出来ちゃったりする。

 で。

 転移で戻ってきたメンバーの中で“なりそこない”っぽいのって、デンしかいない。

 顔も体も執拗に隠しているんだから、ほぼビンゴ。

 わざわざ知る必要もないけど、そっか、色々あるのね……

 でも。

 後回しにできることは、後回しにしたい気分。

 おうち帰って、20時間位爆睡したいわー

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