78.見りゃ分かるでしょ?
結局、4匹しか追撃できなかった。
でも、デンが6匹仕留めたらしい。
アンタ、ホントにヤルねえ。見直したわ。
男二人は戦果ゼロ。なにヤッてんのよモー
あ、腹部の傷口を押さえて座り込んでたオークども4匹も、きっちりトドメを刺しておいた。なんか、命乞いらしいブヒヒーを言ってた気がするけど、んなもん通るわけないでしょ? 全部一撃でキレイに殺して差し上げたわ。
あたしが全部で16匹。デンが6匹。30匹ほどの小隊の殆どを倒して、壊滅させたわけね。
ただ、逃がしちゃった連中、オークの本隊に戻るんだろうね。それが厄介だねぇ。
こっちの本隊、早く来ないかしらん?
オークの魔石の回収は、働いてない男たちが自主的に、あくまでも自主的にやってくれた。ってか、ヤラせた。そっちの僧侶系は、血の穢れとか、あんまり関係ないらしい。武神に仕える身だから、その辺は大丈夫みたいね。
汚い遺骸の浄化の方も戦士兼僧侶のマイアミとみーよで手分けして行ったんで、重い肉塊をひとまとめにする面倒が無くて助かったわ。
戦利品も、みーよが光の女神さまにお願いして、全部預かって貰った。
当然、持って歩けない量だったけど、全部光の中に消えていった。スゴイね。
怪我の方は、戦士兼僧侶が自分自身も戦斧持ちも、癒しの奇跡を行使してたね。
あたしの方は無傷。あんなヘタレどもと一緒にしないでくれる?
デンが、隠れていた馬車を呼び寄せ、ついでにあたしたちの本隊へオーク小隊の壊滅報告をしに行ってる間。
あたしは、みーよにシャワールームを出してもらって、着替え&汗を流した。
あー血だらけ泥だらけ。
ん-シャワー気持ちいー!
新しい制服も大好き!
下着もおにゅー、アミメヘビ柄とは、中々凝ってるわね。
シャワールームを出ると、呆然というか、呆れているというか、男衆二人が小さな岩の上にしょんぼりと座っていた。
「まあ、そういうこともあるよ。ちょっと無理させちゃったかもねーゴメンねー」
男たちには適当に、ホント適当に声を掛けといて。
タープ、テーブル、イス、お飲み物はパッションフルーツかしらん。ハワイアン系のソーダの上に、果物が綺麗に盛り付けられている。
みーよにも同じもの。
「みーよは、シャワーはいいの?」
「汗をかく程のことはしてないからね」
そっかー
あー美味しーこのジュース。
ひと汗かいた後のシャワーとジュースはサイコーですなー
フルーツもオイシー。フルーツ大好き!
「おまえら、それ、な、なんだ?」
「ご褒美」
見りゃ分かるでしょ?
「そうじゃなくて……」
「あーあたしの民族の飲み物。あたしら専用。あげないよ?」
「……」
聞かなくても分かるでしょ?
あげられるもんなら、まあ、あげない事もないけど、女神ちゃんがなんていうかなー?
まあ、ロクに働いてない男どもに差し上げる理由はないよね。
でも、デンは頑張ってたから、何かご褒美をあげてもいいかなー?
本人はいない。というか、今も働いてるけどね。
「少しお昼寝する? 本隊が到着したら、起こすよ?」
みーよがサマーベットを出してくれた。
タープの日陰の中、あたしは幸せなシエスタを楽しんだ。
「お前らホント、やりたい放題だな」
声がしたので、しょうがなく起きた。
ギルドマスターに、寝起きを見られちった。
なによもーみんな来てるなら起こしてよー
「あんまり気持ちよさそうに寝てたんで」
あんまり悪かったなそうな顔もせず、みーよが応えた。
「消音の結界も張っているから、よく寝れたでしょ?」
確かに。うん、ぐっすり。きめ細かいねー
「でも普通は、そんなに眠れたりしないもんだよ?」
そーなの?
「ま、郁ちゃんだからね」
分かっておいでで。
「で、状況は?」
まだ呆れている感じのギルドマスターに、報告の催促。
「オーク小隊の壊滅は確認した。想像以上の戦果だ、よくやってくれた。
逃げ出したオークどもは、狩人パーティーの二人に追跡させている。本隊への脅威にならなければ放っておいてもいいんだが、あの二人ならほぼ間違いなく全て仕留めるだろう。
オーク本隊には、我々の存在と奴らの小隊の壊滅は伝わっているだろうが、ここまでくれば、特に問題にならん。今日中に決着をつけたい」
そーだね。賛成だわ。
「お前たちの働きは十分だが、できれば、もうひと働き頼みたい。お前がいるなら、犠牲を最小限にできそうだ」
「なにすればいい?」
「やつらの本隊との決戦時に、切り込み隊長を頼みたい。奴らをかく乱している間に、マクロン閣下の魔法詠唱が整えば、我々の勝利だ」
「わかった」
そういうことなら、望むところだね。
一つ伸びをして、首を回す。
よし、起きた。
ギルドマスターはあたしへの報告と指示という仕事を済ませて、他の用事を片付けに向かった。
みーよが、キャンプセットを光の奇跡で片づけて。
そのまま、あたしたちは馬車の乗客に戻った。




