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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移九日目っ! ~ どっかに強い男、いないかなぁ?

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73/111

73.大相撲も、まさにそういうのが起源だもんね

新章開幕。

 よく眠れたとはいえ、旅先の朝なので、起床は早い。

 野良聖女ズが朝食の準備をこまめに始めている音で、起こされたようなものね。

 かしましーけど、お仕事はきちんとするのね。

 まだ眠っているみーよを起こさないように、そっとテントを抜け出す。

 日の出はまだだけど、周囲が明るくなってくるのを感じる。

 周囲を軽く散策して、見張りの男に軽く挨拶。

 軽く、右正拳の型とかを素振りしていると。

「一手、お手合わせ願えますかな?」

 C級の、なんちゃって(インチキ)聖職者だ。

「素手?」

 武装は強化戦棍(モーニングスター)だったと思うけど?

 金属製の棍棒。先端が膨らんでいて、いくつか突起が付いている武装。

 マッチメーカーでも、そういう武装があったよ。実体武装(かたまり)なので故障無し。攻撃強化もされている。でも、ちょっと重くて、威力の割りには高いのでコスパが悪い。あたしは、選ばない武装だね。

 あと、確か、盾も持ってたよね? 立派(たかそう)な金属製の丸盾。

 あんた、どこからどう見ても戦士(ファイター)系じゃん。

 ま、朝の散歩にフル装備は持ち歩かないんでしょうけど。

 なので、戦士系のアンタが格闘(バトラー)系のあたしと素手で手合わせする意味なんてないでしょ?

「いえ、ガントレットも素手で振るえる仕様になっていますから、素手戦闘(かくとう)も得意ですよ?」

「へえ、そーなんだ」

 あー、最初からそのつもりってワケ?

 へえーやる気十分だね。

 あたしもガードグローブにエンジニアブーツ着用。

 アギト・ナイフは腰袋ごとテントに置いてきてる。

 うん、朝食前の軽い運動(おあそび)なら、ちょうどいいか。


挿絵(By みてみん)


 防御陣を引いた馬車の外、見張りの男の目が届く範囲。

 少し緩やかな傾斜がある草原。一応、地形は考慮しなくちゃね。

 戦士兼僧職者(マルチ)なのか、僧職者(メイン)だけど戦士(サブ)も出来るのか。

 なんだっけな、“殴りプリ”とかいうんだったっけ、どっかでなんか聞いたこと、あるんだけど、思い出せない。思い出せないなら、思い出さなくてもいいんだよね。

「両肩が地面に着いたら負け。急所攻撃は無し。気絶か降参で負け、で、いい?」

「十分です」

 話が即通じる。あら、アンタ、結構バトル好きなタイプ?

 そういうことなら合図はイラナイ。

 ちょっとだけ取った距離から、あたしたちはお互いに駆け寄った。

 打ってこない。打撃無し、組んで解れて(イチャつくの)が好きなタイプかな?

 あたしは初見(はじめての)相手に組み付く(イチャイチャする)のは好きじゃない。もうちょい様子をみ(ひとがらをしり)たい。

 様子見(おつきあい)、にしては強めだけど、お遊び(ナンパ)だし、いっか。

 しゃがんでの水車蹴り(まわしげり)を放つ。

 敏感に反応、下がってかわされる。

 でも、こちらの技の終わりに踏み込んで(カウンターをとって)くる速さ(スピード)はないのね?

 じゃあ返し技(カウンターがえし)のドラゴンキャノンは必要なし、と。

 それなら、コレは受けてくれるのよね?

 しゃがんだ状態から、水車蹴りの回転をそのまま生かして、飛び上がりながら後ろ回り蹴り(ジャンピングソバット)

 お、ちゃんとガードされた。やるねえ。

 ま、こっちも大技大技(ハデハデ)で、見え見えだからねぇ。

 まともに入るとは思ってないよ。

 で、空中で蹴りだした足を掴まれる(キャッチ)、ということも無いのね。

 それならそれで組み打ちしよ(イチャつこ)うと思ってるんだけどね。

 堅実(まじめ)だねぇ。

 着地ざま、ジャブを三連発(きょりをはかって)、距離感を掴んで右ストレート(アイラブユー)

 全部防がれ(ことわられ)た。ガード(みもち)が堅いね。

 奥まで踏み込んで(くっついて)脇腹目がけてフック(ボディタッチ)、も防ぐのね。

 そして結構な密着状態(ベッタベタ)

 こっちが距離をしっかり詰めても。

 コイツ、ガードをきちんと固めて、あたしの打撃に正確に対応しようとしている。

 でもさ、いつまでも反撃しないと、こっちのヤリたい放題(だいたいわかった)になるよ?

 左足を相手の間に踏み入れて、絡める(くむ)準備。

 相手の腕ごと抱きとめるように迫っ(みっちゃくし)て。

 さすがに、近い、近すぎる(なに、ナニソレ)

 気が付いたのね、遅いね。

 寸勁(ひっさつ)は、さすがに撃たせてもらえそうにないし、必要もない。

 足を絡めて、相手の背中に腕を回して(なれなれしく)、肩を掴む。

 後ろに引き倒そうと力を込めると踏ん張るので(イヤんヤメてぇ)、そのまま前に押し倒した(グヘヘのヘ)

 片足が絡まれているので、相手は踏ん張れない(アーレーいやぁん)

 ついでに斜面の下の足を引っかけているので、一度バランスを崩せば、傾斜も手伝ってくれる。

 地面に倒れて、起き直ろう(モゴモゴ)とする所を、肩ごと抑え込む。

 片方は地面につけた(リーチ)。もう一方を付けられまいと、もがく相手だけど。

 スカートが捲れるのも気にしないで自分の片足を引っ張り上げて、体重を掛けていく(ウフフのフ)

「ぐぬう……」

 堪える、堪えるけど、ダメ。

 両肩が、地面に着いた(おしまい)

「あたしの、勝ちだね」

「……納得した。本当に強いんだな」

「よく言われるよ」

 先に立ち上がり、起き上がりを助けるために手を差し出す。

 掴んだ手の先に、苦笑い(マイッタな)の表情があった。


「素手格闘は、死者送還(ターンアンデッド)の時に使用する。私の信奉する武神(トルモルト)は、その奇跡の行使の際に武芸をお求めになられるのだよ」

「武芸?」

 また、変な宗派が出て来たな。

「そんなに変でもないだろう? 剣の舞や組手、型を神々の御前で奉納することはよくあることだ」

 まーそういうのもあるね。旧時代の動画で、結構見てた気がする。

 それがさらに発展して、歌舞伎になるんだったっけ?

 大相撲も、まさにそういうのが起源だもんね。

「呪われ、死ぬことを許されない死者の怨念を、自身の武芸によって断ち切ることは、神聖であり重要な勤めなのだよ」

「ふーん」

「惜しいな、そなた、実に惜しい。アーリューシャインなどという、よく知られてさえいない女神などより、我が武神(あるじ)にお仕えしないか?」

 うわー勧誘かー

 初めてのパターンだね。

「ん-女神ちゃんのことは、そんなに好きではないけどさ、悪いようにはされてないよ? それに……」

「それに?」

「あたし、自分より強い男が好きなの。アンタじゃ、お断りだねぇ」

「い、いや、私と付き合って欲しいとかではないのだが……」

「アンタんとこに入るなら、お勉強しないとダメなんでしょ? あたし、そういうの苦手なの。考えるのはみーよ、即行動するのはあたし。ちょうどいいコンビなんだよ、あたしたち」

「そうか。残念だ」

 それほど残念で(おしく)もなさそうな顔で、改めて握手を求められる。

「機会があれば、また、組手(けいこ)して欲しい。そなたとの試合(立ち合い)は、心が躍る」

「いーけど、反撃はきちんとしないと、いいようにヤラれちゃうよ?」

 分かってると思うけど。手加減でもしてるつもりなのかもしれないけど。

「す、すまん。隙が見いだせなかった」

 あーあれで本気だったんだー

 ま、アンタんとこの主戦力(メイン)は、あの戦斧使い(オヤジ)だもんね。それはそれで、イイんじゃない?

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