表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移七日目っ! ~ ぼちぼち、この世界の事が分かってきたもんねっ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/91

68.一応、立場的には、叱らないとダメなんだろうね

 談話室兼食堂から、キャッキャと華やかな笑い声。

 みーよが、何かしてあげているようだ。

「入るよ?」

 一応、声は掛けるけど、どうせ最初から敷居も扉もない。

 隠すみたいなことは、最初からしてないみたいだ。

 談話室のテーブルに置かれているのは、三面鏡の簡易バージョン。

 正面に鏡、左右に角度を付けた、同じく鏡。

 旧時代によく出てくる家具だ。

 現代のモニター全盛時代でも鏡は使われるけど、こういうのは、さすがにない。

 意外なものを知ってるんだね、みーよ。

「お疲れ様」

 優しく声を掛けながら、アリちゃんを鏡の前に座らせて、おさげが解かれた髪に串を入れてあげている。

 となりでリコットちゃんが、自分の順番を待っているようだ。

 この世界には、ガラスが無い。だから、当然鏡もない。

 ただ、あたしが一日一回必ず入るシャワールームには当然鏡が備え付けられている。だから、違和感は感じない、んだけど。

 いや、感じる。この世界の人に鏡なんか見せて、大丈夫なものなの?

 と、思ったけど。

 魔法も理力もある世界で(いや、実は未だによく分かんないけど)、鏡に代わるものの一つや二つ、あってもおかしくはない。

 祈ったら杖が光って色んなものを出し入れしたり、知らない言語でも適当に翻訳してくれる理念がある世界なんだよ?

 気にする方が、負けなんじゃないの?

 で、気にしていたみーよは、今までかなり苦労を重ねて来たんだね。

 肩の力が抜けて、頭の中に変な声が聞こえなくなって。

 とてもスッキリした、穏やかな顔してるよ、みーよ。


     ~ ・ ~


 夜、食事が終わって、珍しいんだろうね、みーよの方からマム院長を晩酌に誘った。

 子供たちも来たがっていたけど、大人の時間だからダメ、なのだそうで。

 あたしらも、まだ子供でしょ?

 ま、いっか。

 で、あたしも付き合う。

 何事なの? と戸惑うマムちんの前に。みーよが杖を振るう。

 光と共に出てきたのは、ガラス瓶に入った高級そうなブランデーと、グラスが3つ。

 ついでに燻製ハムとチーズ、ウインナー、サラミ。

「な、なんということを、聖なる力を私欲のために使うだなん……て……」

 一応、立場的には、叱らないとダメなんだろうね。

「いらないなら、片づけますよ? めったに手に入りませんので、きっと喜んで頂けると思ったのですが……」

 うわぁ、ズルい言い方。

 そーだね、今までのいい子ちゃん聖女だった時は、絶対にやらなかったんだろうね。

「そ、そんな事は、言ってません、言ってないんですよ……」

 うろたえながら、ブランデーのきらめきに目が離せないマムちんの前に、みーよがグラスを置き、トゥクトゥクといい音を立てさせて、中身を注いでいく。

「郁ちゃんも呑むでしょ?」

「もちろん。でも、こんなのどこで見つけて来たの?」

「パパの書斎。こっそり吞んでた」

 うわぁ、可愛い顔して、悪いヤツめー

 みーよの記憶の中にある、美味しいお酒って事ね?

 女神さまにお願いして、お取り寄せってわけか。

 ん-世界の理は、どーなったんだ?

 女神ちゃん、基準を緩くしたのかしらん。

 まさか、あたしのせいじゃ、ないよね?

「バレナイ程度によ? パパは色んなものを貰ってくるけど、実際はあんまり封を開けないのよね。家政婦のナオコさんが、勿体ないからってパパに吞ませるんだけど、あまり好みじゃないみたいなの」

 好みじゃないなら、貰わなきゃいいのにね。

 まあ、立場上、そうもいかないのかー

 みーよは、自分のグラスにも高級ブランデーを注いで、マムちんの前で飲み方をレクチャーする。

 細い脚のようになっている、グラスの下部に掌を廻し、そのままグラスごと回転させて、香りを揺蕩(たゆた)たせる。

 うわぁ、なんていい香り!

 ブランデーは、ワインを蒸留させたお酒だから、香りも濃厚。

 昨日呑んだ赤ワインも美味しかったけど、これは別格の香りだね。

 香りを堪能したら、むせないように少しずつ、舐めるように口に入れる。

 口中に広がる甘くむせ返るような香りと味わい。

 良いブランデーだねぇ。

 お酒なんてあんまり知らないけど、大人が好んで呑む気持ちがよく分かる。

 父ちゃん(ポンスケ)、これが好みじゃないだなんて、舌がお子ちゃまだわね。

 あら、マムちん、慌てて呑んだらダメだよ、むせかえってるわ。

 落ち着いて。みーよ、お水、あ、出してくれるのね。便利ね、光の奇跡。

 マムちん、落ち着いた? 息が荒いよ?

 むせて苦しいの? 美味しくて感動したの?

 ン、感動したのね。良かった良かった。

 これで院長先生も共犯者だねぇ。

 え、みーよ、あたしそんなに“悪い顔”してんの?


挿絵(By みてみん)


 すっかり楽しくなっちゃって、ボトル1本を3人で開けちゃった。

 スゴク美味しかった。

 みーよの話では、連続して沢山は出せない、インターバルが必要、本当に貴重なのよ、ということですが。

 別の種類なら、いいんでしょ?

 なによ、その素知らぬふりしての“悪い顔”は。

 期待しても、いいんだよね?

 マムちんも、同じことを思ってるぞー


     ~ ・ ~


 ボチボチ寝る支度と思って、女部屋に入ったら、誰もいない。

 男部屋から、声。

 あらあら、子供は子供で、はしゃいでるのね。

 どーする?

 先にシャワー浴びちゃって。私が見てくる。

 はいよー

 一日の汗を洗い流して、サッパリして。

 お着換えして出ると、みーよが交代でシャワーを浴びるんだって。

 そういえば、アンタがシャワー使うの、見たことないや。

「そうよね。どうして使おうとしなかったのかしらね、あの頃は、考えもしなかったんだよね」

 だよね。やっぱり、精神支配(マインドコントロール)系の影響だったと思うよ。

 女神ちゃん、やっぱり非道(ひど)いやつだ。

 女の子にシャワー浴び(せいけつに)させないだなんて。

「あ、あの……」

「なに?」

「これって、私たちは、使えないんでしょうか……?」

 アリちゃんと、リコットも、そう思うよね。

「んーどうなんだろうね。資格というか、世界の理に反さなければ大丈夫だと思うけど」

 ま、みーよが使ってるんだから、大丈夫な気もするけど。

「今までは、どうしてたの?」

「たらいにお湯を入れて、清拭していました。そうやって聖女は身を清めるものと、教わりました」

「お湯が無いときは、冷たい水を使ってたよね」

「だよね」

 んーシャワー自体はお湯じゃないから、なんとも言えない、かなぁ。

「仕組み自体は、そこまで難しいものじゃないから、自分たちで作ってみるのは?」

 そういうと、女の子たちの顔が嬉しそうになった。

「そうですね。考えてみます」

 思いつくのは、滝で水に打たれるイメージだけど、それじゃ量が多すぎる。

 旧時代で見た、じょうろに水を入れて花壇に水を遣る、あの感じだよね。


 もう限界、眠くてしょうがない、お兄ちゃんお姉ちゃんたち、今日は夜更かしなの?

 みたいな、おちびたちを抱えて寝床に着くと、あたしも急に眠くなる。

 やっぱり、みーよの事がプレッシャーになってたのかなぁ。

 明日から、しばらく野宿生活なんだから、少しは気持ちを引き締め……

 引き締めることもなく、チビたちを抱えたまま、すぐにあたしは眠りに落ちた。



                         (つづくっ!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ