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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移七日目っ! ~ ぼちぼち、この世界の事が分かってきたもんねっ!

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65/89

65.先生、わたし、聖女の力を失ったようです

 

 意識を失ったみーよは、それほど経たずに目を覚ました。

 背中を支えるあたしを見て。

 マム院長を見て。

 しばらく、ぼんやりとして。

「杖を……」

 そう、呟いた。

 マム先生が渡した杖を握り、祈りの姿勢をとっても、何も起きなかった。

「聖女ミヨ……」

「先生、わたし、聖女の力を失ったようです」

 意外にキッパリと、みーよが言う。

「そ、そんな……」

 へたり、と崩れ落ちるマム院長。

「女神ちゃんの声は、もう聞こえないのね?」

「うん。なんか、頭の中が、とてもスッキリしてる」

 晴れやかな顔の、みーよ。

「……今までの事は、覚えてるの?」

「うん、全部覚えてる。でも……」

 みーよが、あたしをきちんと見つめる。

 ナニカじゃない、ホントの、みーよだ。

「あれは、わたしじゃない。わたしじゃ無かったよ」

「そうだね」

 知ってた。最初から、知ってた。

 ちょっと無理したけど。

 ちょっと無茶したけど。

 あたしにとっては、他はイラナイ。

 みーよが自分自身を取り戻してくれさえすれば、それでいい。

「そ、そんな、私は、またも、聖女を失ったというのですか……?!」

 マム先生の悲痛な声。

「そうかもね。でも、また見出せばいいんじゃない?」

 なんでもないかのように、あたしは応えた。

 結局、聖女をどうするかは、マムちんでも、みーよでもない。

 あの卑怯者でねぎらいの言葉一つ満足に掛けられない女神ちゃんの責任(せい)だからね。

 ま、あたしに殴られないだけ、マシだと思ってよね。

「院長、みーよが元に戻った以上、あたしがココにいる理由は無いのよ。元の世界に帰りたいんだけど、なんか方法知らない?」

「そ、そんな……」

 困り果てた顔の、マムちん。

「こういう時は、どうしてたの? あたし、こういうのは門外漢なのよ」

 肩をすくめてみせる。

 そういうのは、そちらが本職(とくい)でしょ?

「先生……光の女神アーリューシャイン様に、わたしたちの思いを、もう一度伝えましょう」

「ミヨ……」

 だよね。

 女神ちゃん、あたしのことは嫌いでも。

 多分、大嫌いでも。

 あんたの事を慕っている人達の事は、嫌いになれないんでしょ?

 だから、オマケも付けてあげる。

 院長室の扉を開くと、聞き耳を立てていた子供たちがどっと転がり込んでくる。

「こら、盗み聞き?」

「へ、へへ……」

 もう、怒った顔をしていないあたしを見て、少し安心したらしい子供たち。

「こちらにいらっしゃい。みんなで光の女神アーリューシャイン様にお祈りしましょう。私たちの声を、どうか聞いてくださいって」

「は、はい……」

「分かった」

「するー」

「ぼくもー」

 ちびちゃんと年少さんは素直だね。

 年長組は、いったい何があったの? という顔であたしを見たけど。

 微笑んで見せると、納得できない心をねじ伏せて、院長先生と同じ、祈りのポーズを取った。

 あたしは、しない。女神ちゃんがあたしを納得させてくれるまでは、ね。

 シスター・マムが、神代語(らしい。わからん)で何事か呟く。

 みーよが、それについて行くように、相対するらしい神代語で応えていく。

 二人の声が、ハーモニーのように部屋中に広がる。

 すると。

 杖が輝き始め、部屋中を照らしていく。

 だんだん強くなり、大きく輝いて、スッと消えた。

「先生……」

「聖女、ミヨ……」

 互いに手を取り、微笑み合っている。

 周囲で子供たちが、キョトンとした顔で二人を見比べている。

「光の女神アーリューシャイン様は、私の事をお喜び下さり、ねぎらいの言葉を掛けて下さいました。ご自身の力不足で守護してあげられなかったと、詫びて下さいました。

 そして、これからは聖女の力をただ一人ではなく、信心と真心と忠心を示すものにも分け与えてくださると、お約束頂きました。ああ、感謝と賛美を!」

 マム院長の、心から嬉しそうな顔に、何か良いことがあったのだと、子供たちも笑顔になる。

 そんな様子を、みーよも微笑みながら見つめていた。


挿絵(By みてみん)

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