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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移七日目っ! ~ ぼちぼち、この世界の事が分かってきたもんねっ!

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64.言ってやりなよ?

挿絵(By みてみん)


 教会に帰ってから、みーよの様子がおかしい。

 ン、だとは思う。原因は、分かってる。

 まあ、男の子たちの遠慮しがちな顔色の原因も、分かる。分かってる。

 まーそっちは、どーでもいーかな。

 原因は、あたしじゃない。

 女神ちゃんだ。

 知ってる。でも譲らない。譲ってあげない。絶対に譲らない。

 あたしがジッと、みーよの姿をした女神ちゃんを見るたびに、彼女は視線を逸らす。絶対に目を合わせようとしない。

 でも、あたしは“みーよ”の付き人だから、側から離れたりしない。

 そういうプレッシャーを掛けていく。

 時々、みーよの“素”が出てきて、なんで私を見てるの? という顔をする。

 でも、すぐに顔を逸らしていく。

「イクミさん、あの……」

「何?」

「いえ、なんでもないです……」

 アリちゃんの執り成しも、今のあたしには通じない。

 ちびちゃんたちも本能的に察しているのか、あたしの殺気に当てられてるのか、近寄ろうとはしない。

 その辺も、どうでもいいかな。


 しばらくして、シスターマムが、あたしたちを院長室に呼んだ。

 子供たちから事情を聴き、相談されたらしい。

 みーよと二人で部屋に入り、戸を閉める。

 扉の背後で、気配がする。

 これは、子供たち、聞き耳を立ててるな?

 扉が厚いから、ほとんど聞こえないと思うけどね?

「聖女ミヨ、何が起きているのか、報告……出来そうにはありませんね」

 みーよの顔を見て、何事かを察したようだ。

 さすが、元オラクルの大聖女様だね。

「マムちん、あんたさ、女神さまに、何か言いたいこと、あるよね?」

「は?」

 突然の話の振り方に、マムちん、ちょっとビックリしてる。

「あたしの方からも言っておいたけど、こういうのは本人が言う方が意味あると思うんだよね。マムちん、女神ちゃんに、言うこと、あるよね?」

「け、敬称を付けなさい!」

「つける程の、価値あんの?」

 あたしはマム院長を、真っ向から睨み返した。

「そ、そんなこと、当たり前……」

 声が、震えている。

 だよね、こんなに一生懸命やってんのに、なんの励ましも慰めもないんだよ?

 女神ちゃんさ、この人は、アンタのために頑張って来ただよ?

 それを、何もなかったみたいに見捨てんの?

 人間が人間にこんなことしてたら、それは人間じゃない。

 ひとでなし、だよ?

 聞こえてんでしょ、女神ちゃん?

 あ、また髪の毛が逆立ってきた。

 あたしが言いたいのは、仁義を通しなよ。ただ、そんだけだよ?

 ふざけんな、って怒鳴ってやりたいのを、あたし、これでも結構我慢してんだけどなー

 あたしは、マムちんに、爆発しそうな感情を堪えながら、ゆっくりと話した。

「言ってやりなよ、ソイツに。

 どんな思いで悲しい思いを堪えて来たのか、

 どんな思いでつらい生活を耐えて来たのか、

 どんな思いでアンタの声を聞きたいと願っていたのか、

 ……言ってやりなよ?」

 マムちんは、あたしの顔を見て、みーよの顔を見て、再びあたしの顔を見る。

 何が起きているのかは、よく分かってる。でも、あたしに説明して欲しい。

 そう、顔に書いてあった。

「あたしとみーよは、同じ世界から来た人間。ってか、先にみーよがこの世界に召喚されて、あたしが連れ戻しに来た。

 だけど、女神ちゃんがみーよを手放さないでいる。

 みーよ本人が望んでいるなら、自分の身体を明け渡してもいいと思っているなら、それはしょうがない。

 でも、みーよを騙して無理やり身体を奪うつもりなら、あたしは女神ちゃんを絶対に許さない」

「許さないって、あなた……」

 そうだね。マムちんの立場だったら、何言ってんの? となるよね。

「あたしは、女神ちゃんの力でこの世界に召喚されてるわけじゃない。

 あたしの元の世界で、あたしはみーよと繋がって(さいこみゅして)る。(ん-翻訳できてない)

 女神ちゃんには、みーよを通してあたしの声が聞こえてる。

 で、みーよと女神ちゃんは、ん-精神感応媒体(さいこみゅ)じゃないや、精神感応金属(オリハルコン)がこの世界にあるんだね、それで繋がってる。(この辺も、翻訳がダメダメ)

 あたし、みーよというもにたぁ(モニター)を(あー共通語理念(コモン)、今いい所なんだからちゃんと仕事して!)通して、女神ちゃんを現界(ここ)召喚()び出せてるらしいんだわ。

 だからマムちん、女神ちゃんに言いたい事があるなら、言ってやりなよ。

 今なら、ちゃんと聞いてくれる。

 だって、聞かないようなら、あたしは一生、女神ちゃんを卑怯者呼ばわりし続けてやるから」

 自分でも、変な説明だとは、思う。

 だって、あたし、こういうのは得意じゃないし。

 でも、説明自体は、合ってると思う。

 今、目の前にいるのは、みーよじゃ、ないから。

 今、目の前にいるのは、女神ちゃん、だから。

 アンタのことは嫌いじゃないけど、卑怯な真似は許さない。

 絶対に、絶対に、許さないんだから。

 あたしが視線の力でみーよの姿をした女神ちゃんを抑え込んでいると。

 あたしの拙い説明だけど、言わんとしていることは理解し(分かっ)てくれたようで。

 院長室の机から回り込んできたマム先生が、みーよの前に来て、祈るように跪いた。

「わたくしは、ずっとこれまで、あなたさまをお慕い申して参りました。あなたさまが下さった全てに、心から感謝しております。

 これからも、この命が尽きるその時まで、ずっとお慕い致します。

 ああ、だから、わたくしに、一言、よくやりましたの、一言だけでも……」

 シスターマムの目から涙がこぼれて、床にポタポタと落ちていく。

 みーよの姿をした女神ちゃんは、無表情にその様子を見つめている。

 ん、表情が崩れて、また元に戻る。

 何度か、崩れては、元に戻っていく。

 目の焦点が合わなくなり、また合うようになる。

 身体がぐらぐらと揺れて、倒れそうになる。

 あたしはみーよの身体に近づき、そっと後ろから支えた。

「あ、あ、あな、たたた、はは、よ、よお、よ……」

 震える小さな声で、ガタガタと震えながら、みーよの声を借りた何かが、言葉を紡ぎだそうとしている。

「おおお、おおおおお……」

 みーよの身体がぐらぐらと揺れる。あたしが支えている肩を支点に、力が入ったり、抜けていったり、形が壊れるような、踏みとどまっているような。

 瞬きが速く細かくなり、呼吸が荒い。

「女神様……」

 シスターマムの声に呼応するように。

 みーよの身体を借りたナニカが、意識を失った。

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