61.「母は強し、だな」
中に入ると、ギルドマスターが直々にお出ましだった。
カウンターも全部行列が出来ている。
こりゃ順番待ちだね、と思ってたら。
ギルドマスターが満面の笑みで、ニ階に行こうと誘ってきた。
まー待ってるよりは、いいかー
「なんだよあいつら、特別扱いかよ」
「待て待て、オーククイーンと大化け聖女じゃねぇか」
「余計なこと言うなよ」
「絶対言うなよ、来ないとか言われるぞ」
「敵に廻したらとんでもなく恐ろしいけどな」
「味方でいるなら、あんなに頼もしい奴はいないぞ」
「それにしても、まさか子連れだったとはな」
「母は強し、だな」
……なんか変な事言ってる奴がいるけど、ま、いっか。
~ ・ ~
うるさいハエの相手なんか、早々に切り上げられるのは、助かるわ。
ギルド長直々に相手して貰えるのは、ありがたい。
ついでのついでで、弟子たちも冒険者ギルドの中を、それも二階の応接ルームを見学させてあげられたのはラッキーだったわ。
アンタたち、ここはそんなに簡単に来られないんだからね?
一応、釘を刺しておくと、コクコクと頷いた。こいつらはコイツラで、情報過多で大変らしい。
みーよを交えて、改めてオーク集団の討伐依頼の内容を確認した。
依頼版に貼られている事は、ほぼ変わらず。
明日、人数分と補給物資用の馬車が、朝、ギルド前に到着。
あたしたちが最初に出逢った村まで、中継地の村を挟んで1泊2日で到着。
周囲を探索、オーク集団を発見次第、全員で攻撃、殲滅。
警戒、探索はそういう技術を持つ専門員が担当。あたしらは殲滅要員。
ギルドから、マスター自身と、戦果を鑑定するスキル持ちの僧侶が同行するそうな。
戦果鑑定って何? と聞くと、誰が何匹倒したか、鑑定する専門家がいるのだとか。
倒した瞬間、ではなく、オークの腐った肉を浄化する時に、致命傷を負わせた者を判断・鑑定するのだとか。
もちろん高位の僧侶なので、戦利品の回収や怪我人の治療、戦意高揚の祝福やオーク共への呪いを行ってくれるそうな。
この人は、ギルド会員ではないんだけど、スポンサーの領主様からの計らい(命令?)で参加してくれるんだって。
だから倒したオークの種類につき、報奨金は全額ちゃんと出す。ただし、戦利品については参加者の働き具合で応分に分配したいんだって。
じゃあ報酬は、だいたい半額扱いかなぁ?
参加者は、さっき噴水広場で出会った、エース級の評価がされているというB級パーティーが1組、C級パーティーが2組、あとはD、Eクラスが大半だそうです。
ギルドの所属会員は、全部で120名位。半分以上が参加希望。
その中でも当てにしていたC級があと1組、そしてもう1組のB級パーティーは遠征中で、この場にいないので不参加が確定。
実際の戦力になりうるのは、C級パーティー以上のメンバーだけなので、君らにもぜひ参加して欲しい。
と言うことを、見た目は傷だらけで怖い顔のくせに優しく丁寧な口調で説明してくれた。
「お話、お受けいたします。聖女としてのお勤めを、果たさせて頂きます」
「良かった。よろしく頼む。本当に助かる」
凛とした顔で受諾したみーよに、ギルドマスターはホッとした顔で応えた。




