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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移六日目っ! ~ お金は使ってナンボなのっ!

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50.名前覚えるの、大変なんだよね

新章開幕。

挿絵(By みてみん)


 翌朝。

 今日は何の用事もないし、ゆっくり寝ていていいはずなんだけど。

 体に染みついた習慣は、簡単には抜けてはくれない。

 起きだして、着替えて外に出ると。

 男の子たちが修行していた。

 さすがに、あたしも仮想(ヴァーチャル)の敵を作って鍛錬というわけにはいかないかな、と思ったけど。

 それは師匠の大切なお勤めなので、構わないと言われてしまった。

 そんなんでも、ないんだけどね。

 適当なんだけどねー

 まあ、お言葉に甘えて、昨日武器屋に借りたショートソードを振ってみる。

 アギト・ナイフよりちょっと長いね。

 諸刃だけど、刃の鋭さはあんまりない。武骨で、斬るというより殴るといった感じ。先端だけは尖らせているので、とどめとして突き刺す分には問題なさそう。

 重心は柄のちょっと上、手元に近い感じ。振り回して切りつけるというよりは、手元で受け止める方が向いてそう。

 2、3度振って感触をなじませて。

 剣の舞をイメージして、踊りだす。

 踏み出しと共に突きを入れ、1歩下がりながらコンパクトに振る。

 横にスライドしながら逆方向に剣を廻し、溜めた力を解放して旋回斬りを3連続。

 すぐにしゃがんで下から上に斬り上げ、斬り降ろし。

 んー刃先が短いから、これは入りづらいかな。もうちょいコンパクトにまとめないとダメだね。

 しゃがみ自体はたぶん入ると思うんで、水車蹴りを入れてからにしようかな……


 気が付くと、汗で制服がびっしょりだった。

 みーよの声で、現実に引き戻されるまで、気が付かなかった。

 ゴハンできたよ、らしい。

 男の子たちが、凄いものをみた、と夢中で話している。

 いや、これ、練習(あそび)だからね? 

 ただのイメトレよ?

 みーよに渡されたタオルで、制服の下から軽く体を拭く。

 なによ、体を拭く位、普通の事でしょ?

 みーよが、あっちいってなさいと男の子たちを促して連れて行ってしまった。

 それと、もう一つの視線。

 花束配達人が来てる。いつから?

「お前、ホントに、すげえな」

 誰が敷地の中に入って良いって言ったの?

 マズいなぁ、全然気が付かなかったわ。

「これから朝ごはんなの。あんたに構う暇も気持ちも無いの。花束だけ貰ってあげるから、とっとと帰って」

 えーじゃないわよ、えーじゃ。

 ナニコレ、毎朝来るつもりなの?

「稽古つけてくれるんじゃ……」

「するわけないでしょ馬鹿らしい」

「俺の嫁になってくれるんじゃ……」

「なるわけないでしょアホくさい」

 シレっと、なんてこと言うのよ。

「俺、お前に惚れちゃったんだよ……」

「知らないわよ、とっとと帰って」

 ホント知らないわよ、そんなの。

 シュンとして、トボトボと帰っていく革ジャンボス。

 駄目よ、そんなことであたしの心は(ほだ)されたりなんかしない。

 ……でもなー昨夜の事もあるし。

 あたし、結構流され得やすい性格なんだよね。気を付けないとね。

 花束を抱えたまま彼を見送るあたし、なんてシチュエーションは、ホントいらないんだけどね。


     ~ ・ ~


「花束、また貰ったんですか?」

「勿体ないから飾ってくれる?」

「ん-受け取っちゃうから、その気があると思われるんですよ、それ」

 アリちゃんに恋愛の指南を受けるとは、思わなかったわ。

 だってー勿体ないでしょ? 花に罪はないのよ?

 実際、食卓がとても華やかになるのは、間違いない。

 院長先生も、朗らかな笑顔を浮かべている。

 んで、昨日の教会の修理費用見積もりを簡単に説明する。

 先生、少しというか、結構悩んだけど。

 多分、先生の分の手持ちじゃ足りないよね?

 あの食品庫を満タンにするのに、かなりの額を使ってるんだもんね。

 預かった金貨は全部使いきったんで、手元には大金貨1枚と金貨2枚しか残っていないはず。

 建物の修復に廻すと、心もとなくなる。

 でも、お金なんて、使ってナンボと思うけどね。

 でも、お年寄りは、本能的に貯めておきたいんだよねぇ。

 わたしたちも半分出しますよ、と、みーよが言うと、隠しきれない嬉しさをなんとか隠そうと奮闘している表情(かお)になった。マムちん分かりやすいなー

 んで、建物の修復が終わってからでいいけど、長らく行ってこなかった炊き出しを再開したい、らしい。

 本来はそういう善行を周辺住民に施して、光の女神さまの慈愛を広めていくべきなんだけど、そんな余裕などトンデモなくて、今日を生きるのに精一杯、が随分長く続いたのだそうで。

 その辺の話は、修復が終わってから改めて話し合いましょう、ということで。

 子供たちに衣服を買ってあげたいんだけど、と先生に許可を貰う。

 ちょっと渋い顔をされたが、お金はあたしたちが出すというと、それなら構わないそうです。ホント、分かりやすいなー

 スラムの住民の炊き出しより、身内の身なりの方が先だと思うんだけど、余計な事は言わない。マムちん、頭固いからね。


     ~ ・ ~


 食べ終わって、身支度して、みんなでお出かけ。先生とちびちゃんたちはお留守番ね。

 荷車を年長の男の子が引いて、アリちゃんと年少の男の子と女の子が乗り込む。

 あたしたちは歩きだね。

「師匠、俺の名前、いい加減に憶えて欲しいんですけどー」

 ん-印象に残らない子は、名前覚えられないんだよね。

 たしか、シレン、シュレン、シャラン……

「シュラン、ですよ!」

 シュラン、酒乱、しゅらん。

 ん-覚えられるかな、自信ないなー

「僕もー!」

 こっちは簡単カンタ君。

「あたちもー!」

 噛み噛み年少さんはリコットちゃん。お利口リコット?

 名前覚えるの、大変なんだよね。

 あたし、頭の出来はまるで自信ないからさ。

 あ、アリちゃんだけは、すんなり覚えたわ。

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