32.生きてるよ、ちゃんと、生きてるよ
7/10分投稿のはずが、抜けてました。スイマセン
「これで、やっと子供たちに……お腹いっぱい食べさせてあげられる……」
ありゃ、マムちゃん泣いてるよー
「はい、はい、先生……」
みーよもか。君ら、今までどんな生活してたのよ?
で、子供たちが、いるのね?
マム院長は、涙をぬぐいながら、廊下にでる。
「みんな、いらっしゃい。聖女ミヨが帰ってきましたよ」
呼びかけると、キャーキャーと声がして、奥の扉から歳の全然違う子供たちが転げ出てきた。
みーよも一緒に廊下に出ると、まっさきに3、4歳位の男の子と女の子が飛びついてきた。
「おかえりーミヨ姉っ!」
「おかーりー!」
女の子は元気に飛びつき、男の子は舌っ足らずだけど、負けじと飛びつく。
「みよぉお!」
「おねーちゃーん!」
その後ろから、ちびちゃんを抱える勢いでこっちも男の子と女の子。
男の子はわんぱく盛りの、7、8歳位かな。女の子もあまえんぼーだけどチビちゃんがいるからチョイと遠慮してって感じかな。
「お帰りなさいませ、ミヨ様。よくご無事で……」
「ミヨ……」
その後ろからきた、こっちもかー男の子女の子。
男の子は中学2年生位かなぁ、少し大人ぶった感じで、冷静を装ってるね。
女の子はもう少し大人に見える。メイド服とかが似合いそうだね。こげ茶の髪をツインテールに垂らして、粗目の素材、麻かな? 現物を見たことないけど、多分そういう素材らしい半袖ワンピースを着ている。
男の子はチュニックに7分丈のズボン。町でよく見かける格好だね。ところどころ、つぎはぎだらけなので、修理しながら大事に着ているんだね。
「死んだって聞いてたぞ」
ソッポを向いて、顔色を隠すような感じでボソボソと呟く。
あらー照れてるのね? 可愛いわね。
「生きてるよ、ほら!」
ちびちゃんたちを引き連れて、みーよが男の子に近寄る。
「ただいま!」
そのまま抱き付いちゃった。
「うわっやめろよ!」
顔を真っ赤にして抵抗する男の子。
みーよはまるで意にも介さず、男の子の髪の毛をくしゃくしゃにかき回す。
「生きてるよ、ちゃんと、生きてるよ」
「んもーイツまでもガキ扱いスンなよー」
でも、まんざらでも、ないんでしょ?
良かったね。
抱擁を終えて、最年長? の女の子にも向き合う。
「アリ、ただいま」
「ミヨさま……生きておられると、信じておりました」
「心配かけたわね」
年長の女の子には、そっと、壊れ物に触れるみたいに、抱きしめる。
「心配、しました……」
急に気が抜けたみたいに、彼女はポロポロと涙を流した。
院長室の机の上で、マム先生があたしたちの渡した金貨を取り出すと。
みんな、目の色を変えた。
「す、すごぉいー!」
「ご飯が、ゴハンが……」
「ほんとに? ほんとに??」
「うそ、うそでしょ?」
「信じて、いませんでした……」
「無理したんじゃねーのか?」
うん、半分は信じられない話、みたいだね。
「今日は、御馳走よ!」
「わー!」
「やったー!」
マム先生の掛け声に、みんな大喜びだ。
先生もそうだけど、子供たちはみんな発育不良だ。痩せて、肌のつやもない。
今まで、ロクなものを食べてこなかったんだね。
「市場に買い出しに行きましょう」
「でも先生、スラムの連中に買い物帰りを襲われそうだけど」
年長の男の子が、やけに冷静だね。さっきみーよに抱きしめられてた時は、年相応だったけどね。
「あーあたしも一緒に行くんで、大丈夫だよ」
そう言ったら、子供たちが「あんた誰?」みたいに一斉に注目した。
今まで見えてなかったんかーい。
ま、子供って、そういう所、あるよね。
でもねー大丈夫かな、この子たち。
「わたしの付き人で親友の、イクミ。みんな、よろしくね」
しばらく、間が空いた。
コノヒト、ダレ? から、え、大丈夫なの? と、顔色が変わる。
「ミヨ様、先生からは、最初の付き人は男性でなければならないと、教わりましたが」
年上の女の子が、冷静な口調で尋ねる。
「光の女神アーシューシャインのお導きなのです」
こっちも冷静なみーよ。
えー教わったのとちがーう、と、不満そうな女の子。
アリ、とか呼ばれてたっけ?
「女神さまのお導きなら、大丈夫なんだよー」
「おねーちゃんの付き人さんなら、大丈夫だよー」
みーよに全幅の信頼を置いてるみたいな、7、8歳の男の子女の子。
ちびちゃんたちはキョトンとしている。まだ分かんないみたい。
両方とも抱えて、両肩に乗せてみせる。
「す、すげぇ力……」
「男も女も関係ないよ。強ければ問題ないんでしょ?」
わかったかな? 見習いアリちゃん?
ちびちゃんたちが、最初はびっくりしてたけど、すぐに慣れて楽しくなったらしい。コラ、髪の毛引っ張んなー
そのまま優雅に右回りすると、一層はしゃぎだした。
じゃあ左回りねー
あ、みーよに睨まれた。危ないって? んなことないよー
「スラムの連中も脅し付けといたから、何もしてこないと思うよ。やってきたら、持ち上げてぶん投げるから平気だよ」
あれ、スラムがどうこう言い出した男の子、そこ、引くところ?
本気で言ってるのか、って意味かな?
今、持ち上げてみせたじゃない、子供たちを。
ま、いっか。




