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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移4日目っ! ~ オラクルの街で大暴れっ!

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31/49

31.あれ? そこまでヒドイやつでもないの?

 

 教会の右奥の扉から、住居部分に案内される。中は、割と管理されてるんだよね。少なくとも丁寧に清掃されている。

 院長室、かな? ちょっと広めの部屋に案内された。

 木製の椅子と大きな机。その広さが、距離感を保っているイメージかなぁ。

 院長老婆もどきは奥の椅子に腰かける。

 あたしたちは立ったまま、机を通して向かいあう。

 なによこの待遇。ま、みーよがいいなら、いいか。

 あたしはみーよの少し後ろに控えて、いかにも付き人です、という顔をする。してみせる。あたし女優(アクトレス)だもん、この程度の演技は朝飯前だもん。

「それで、また任務に失敗したのですね?」

 うわぁ、いきなり失敗だと決めつけ?

 しかも“また”ってなによ?

「いえ、今回は任務を果たして参りました。光の女神アーシューシャインのお導きによって」

「オーク・アグフの一隊と遭遇したと、聞き及んでおりますが」

 残念だという顔の中に、よく生きて帰ってこれた、という安堵がチラホラ。

 ん?

 あれ?

 そこまでヒドイやつでもないの?

 心配は、してくれてたの?

 これって、あー死んだ、絶対死んだと思い込んでたのが、急に生きて現れたんで、動揺しちゃったって感じ?

 ん-なんか、そんな事を、みーよが言ってたような?

「はい。必死にアーリューシャイン様に祈りを捧げておりましたら、付き人イクミを遣わして下さいました」

「これ、を? ……女ではありませんか」

「わたしを必ず助けてくれる、大の親友です」

 すこーしだけ、たしなめるような、みーよの言い方。

 そーよね、女だからナンダっていうのさ。

「はぁ。もう少しきちんとした報告は無いのですか? そのような付け焼刃の嘘を語るように教えたつもりはありませんよ」

「嘘では御座いません、シスターマム。アーリューシャインに誓って」

「敬称を付けなさい、聖女ミヨ。まあ、あなたを逃がすために身代わりになって貰ったのですね。それで生きて帰ってこられたのならば、任務失敗は不問に致しましょう」

 横を向いて、ため息。

 ガッカリと安堵が入り混じった吐息が漏れてる。

「シスターマム。わたしの付き人イクミが、オーク・アグフとその一隊を、討伐致しました」

 静かに、冷静に、みーよが告げた。

 マムちゃんが、固まっ(スタンし)た。

 5秒たって、硬直が解けて、みーよを見て、あたしを見て、もう一回みーよを見た。

 少し考えて、ありえないと思って、いや、さすがに嘘にしては下手すぎると思い直して、証拠、そうだ証拠を見せなさい、という結論に達したらしい。

 衣服とか机とか、色々と権威付けの小道具を使ってるけど、こういう時に人間性が現れるのよね。あたしの父ちゃん(みーよのパパ)は、そうやって考えてみると、結構立派な人(割と大物)なんだねぇ。

 みーよにも、その辺は読み取れたみたいね。

 でも、先生への敬意は全然変わらないんだね。

「ギルドで戦利品の換金を済ませて参りました。シスターマム、謹んで、感謝と慈愛の元、奉納致します」

 懐から、高級な金貨袋を取り出して、机の上にそっと置いた。

「これ、は?」

 ギョっとして、金貨袋とみーよを交互に見るマムちゃん。

「光の女神アーリューシャインの御加護の元、その御威光を知らしめた報酬です。お受け取り下さい」

 あれ、全部上げちゃうの? そういうもんなの?

「ほ、本当に? あなたが?」

 これこれ、素が出てるぞーマムやん。

 権威付けごっこしたいんでしょ?

 隠すなら、もう少し頑張って隠し通しなよ。

「わたしの付き人が、討伐致しました」

 わたしじゃないよと、にっこり笑うみーよ。

 マムちん、今度はあたしと金貨袋を交互に見る。

 え、コイツが?

 うそでしょ?

 ……顔に全部出てるぞ。

「ご確認して頂けたのでしたら、奉納の儀式を行っても宜しいでしょうか?」

「……分ったわ」

 シスターマムが、机の城塞から(降伏して)出てくる。

 あたしたちの前に立ち、金貨袋を手にして、(ひざまず)く。

 みーよも同じように跪いて、杖を立てた。

 二人の頭が、ぶつかりそうな位に近い。

 二人で同時に、何事かつぶやき始めると、杖から光が輝きだす。

 シスターマムが手にした金貨袋が二つに分かれ(増えたの?)、一方がみーよの手に渡る。

 輝きが止まり、儀式が終わったらしい。

「聖女ミヨ……」

「先生……」

 わだかまりが解けたみたい。二人はひしと抱き合った。


挿絵(By みてみん)


 奉納の儀式とは、光の女神さまの元、報酬を分け合う儀式らしい。

 直接女神さまに預かって貰うのとは違うんだけど、意味合いは同じ、みたい。つまり、女神さまに差し上げるのか、同じ信徒に分け与えるかだけの違いということらしい。

 全然違うと思うんだけど、彼女(この人)たちの中では同列みたいね。よく分からん。

 で、報酬は半分、と決まっていて、女神ちゃんが公平に分けてくれるという奇跡なのね。

 半分寄こせは、けっこうアコギ(高すぎなんじゃない)かなぁと思わなくもないけど、こうすることで女神さまのご加護を受け続けることが出来るなら、そんなにひどい話でもないかな。色々便利すぎるからね。

 多分だけど、渡す方も受け取る方も、変に欲張ると、ご加護が受けられなくなるんだろうね。だから光の杖の中で、奇跡的な形で分けられるなら、お互い文句は無いのだと思うよ。

 ん-野良聖女ちゃんたちにあげた治療の報酬や、あたしが冒険者の連中におごったエール代や、あたしの武装になっちゃったアギト・ナイフは、ノーカウントでいいのかしらん。

 まあ、必要経費扱いにして欲しいけどねー

 で、交際費扱いにして私腹を肥やす悪い政治家に、マルサの女が査察に入るドラマ、パパと観たなーあれ面白かった。

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