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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移三十四日目っ! ~ オラクルへの帰還

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279/279

279.じゃあ、あたしが直接この手で殺してやらないとね

 中も、そこかしこに人間の遺体だらけ。

 建物も、何軒か燃えている。

 でも、それほど大きく荒らされてはいない。

 詳しく調べたいけど、時間がない。

 あたしたちはそのまま、通りを駆け抜けていく。


 市場の出店や荷車は、ことごとく破壊されている。

 この辺も、人間の遺体だらけだね。

 そして、オークどもの姿がない。

 連中、侵攻先を破壊しながら移動していってるらしい。

 正門にいた奴らは、出口を固めていたのか、置いて行かれたのか?

 じゃあ、都市(オラクル)の中に入ったオークども、どこに向かってるんだ?


 大通りの脇から、スラムエリアに入る。

 もう少しで、教会にたどり着く。

 見える。建物はまだだけど、白い光が立ち上っている。

 これが、みーよの言っていた聖域(サンクチュアリ)だね。

 そして、オークどもの下品で野蛮な声が聞こえる。

 そうか、奴ら、光に引き寄せられているんだ。

 あたしたちの大切な教会を、闇で穢して破壊するために。

「みーよ、このままイケル?」

「え?」

「突っ込むよ」

「ちょ、ちょっと!」

 ファイヤーバード、起動!

 あたしの全身から、不死鳥の炎(ファイヤーバード)が吹きあがった!

 見えた。

 教会を大勢で取り囲んで、得物で白い光(プロテクション)をガンガンと叩いているオークども。

 入口の門の辺りに、人影。

 そこだけは中に入れるようになっているのね?

 その人影が、ひときわ大きなオークと戦っている。

 持ち堪えてるね。

 じゃあ、取りあえず、ザコどもを燃やしてやる!

 あたし(と抱き上げているみーよ)は、不死鳥の炎(ファイヤーバード)をまとったまま、オークの集団の中に飛び込んだ。

 いまさら気付かれたけど、もう遅い。

 何かわめいているけど、片っ端から跳ね飛ばし、燃やしていく。

 教会の外壁をグルっと一周したところで、システムが終了した。

 ザコどもめ、そのまま燃えちまえ。


挿絵(By みてみん)


 で、残りは、門の所にいた大きなオークだけだね。

 コイツ、あたしのファイヤーバードを、仲間を盾にしてかわしやがったんだよね。

 へえ、やるじゃん。

 じゃあ、あたしが直接この手で殺してやらないとね。

「人間風情が、なんのまねだ」

 お、しゃべった。ってことはコマンダー以上なんだね。

 でも、ジェネラルの風格はない。

 鉄の兜、鎧、盾、手甲も具足も備えている。完全武装だね。

 手には、短めの柄の、偃月刀(メイン・ウェポン)かな? イイもの持ってんね。

 腰にも予備武器(サブ・ウェポン)の短剣。

 きちんと、武人をしているね。

 ま、中身はオークなんだけどさ。

 みーよを降ろして(先に降ろしてよーとか、文句言われた)、武人オークを睨みつける。

「それはこっちのセリフ。豚ごときが武人の真似事? まるで似合ってないよ」

「小娘風情が何を語る。それとも、実際に試してみるか」

「言うまでもないね。殺す」

 腰からスリング、石を3つ手にして、1発目をセット。

 即、顔面目掛けて、射出!

 盾で防いできた。

 でも、視界がそがれたね。

 走りこみ、そのままスライディング。

 偃月刀を振るわれたけど、見えてないんでしょ。

 そんな当てずっぽうじゃ、あたしは斬れない。

 懐に入りつつ、2発目をセット。

 打たずに、至近からスリングを振り回す。

 金属音と共に、鎧であたしの打撃が弾かれた。

「無駄だ!」

「そうかな?」

 この距離(ふところ)なら、アンタのご自慢の偃月刀(ながもの)の意味は無い。

 盾を振り回して、あたしを引き剥がそうとしてるけど、却って邪魔でしかないよね?

 スリングの2撃目をもう一度、胸鎧(ブレスト)の辺りに叩きつけて。

 鎧に弾かれて、無駄だと思わせておく。

 でも、そのまま顔面を狙って、今度は射出!

 それは分からなかったらしい。直撃(ヒット)させた。

 ヤツが何か呻いているうちに、スリングと手にしていた石を捨てて、ヤツの腰に手をかけ、もう一方の手をヤツのみぞおちに充(あ)てる。

 右脚起動、左脚を連動させて、うねりを呼ぶ。

 脚、腰、背中、肩、腕、そして、添えている手へ。

 ついでに、フィールドパンチも起動(オン)。オフェンシブ・モードで力場を集中的に発生。

 コイツ、自分が鎧で覆われているからって、安心(ゆだん)してるのね。

 バカなのね。本物の武人(あたし)には、防御無効(よろいをかんつう)の技があるって事、知らないのね。

 そういえば、アンタらの偽の武人(おなかま)だっけ? アグフもそんな感じだったな。

「“寸勁!”」

 ヤツのみぞおち目がけて、瞬間的に爆発する力場(オーバーロード)を叩き込んでやった。

 腰に廻した腕でさらに狙いを絞ってやったんで、お前のはらわたがグチャグチャになってるよ。

 武人もどき、声にならない呻きを上げて、巨木が倒れるように崩れ落ちた。

 人間の真似事なんざ、お前らには絶対に無理だってことが分かんないんだね。

 そのまま、何も知らずに、永遠に眠れ。

 倒れた背中に廻り、兜を引っぺがし、アギト・ナイフでヤツの首を斬り落としてやった。

 

 スリングを拾い直し、アギト・ナイフを収納し。

 コイツが持っていた、偃月刀を拾う。

 うん、これ、結構な業物だ。

 柄の長さ1メートル、刃渡りは70センチってとこかな。

 柄も金属製だけど、軽い。バランスがいいんだね。

 あたしでも、片手で持てる。

 もちろん、本来の使い方である、両手持ちでもイケルね。

 偃月刀を、盾を持ちながら、ねぇ。

 ダメじゃないけど、ねぇ。

 オマエ(バカ)にはもったいない刀だね。コイツは、あたしが使わせてもらおう。

 周囲を確認(オール・スキャン)。

 みーよは無事。拾った偃月刀、女神ちゃんに頼んで、預かって貰える?

 そして、あたしたちの教会は……

 白い光(プロテクション)で守護されて、無事みたい。

 正門を守っていた男が、膝からへたり込んでいる。

「シュラン、良く守護(まも)った」

「……師匠」

 何、泣きそうな顔してんのよ。

 あれ、泣いてんのは、あたしもか。

 間に合って、良かった。本当に、良かった。

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