273.あの子たちの面倒を見てあげないと、ね
捕虜たちを送り届けた騎士団の大隊も、無事に戻ってきて。
夕方、サーリット領主が、みーよに都市全体への会見放送を準備させて。
領主代理として、防衛隊長だったハンドゥを紹介。
守護結石の守護者代理として、宮廷魔導士だった幼女シーチャンも紹介。
行政長官として、代理の肩書が取れたエンダナも公に示した。
明日、皇龍公国準騎士団は都市を発って帰路に就くが、なにか緊急事態が生じた場合は、再び駆けつけるので、安心して復興に励んで欲しい、と演説していった。
その夜、一階のフロアを全部開放して、お別れのパーティーが催された。
立場とか関係なくの、立食パーティーだった。
最初のわだかまりが無くなって、ポートビリアの武官や文官と、皇龍公国の騎士団が打ち解けた雰囲気の、談笑の場になっていた。
あたしたちも、色んな人から声を掛けられた。あ、料理長もわざわざ来てくれたよ。俺の料理を美味しそうに食べてくれてありがとう、だってさ。
いや、本当に美味しかったよ。任務でこっちに来るときには、ぜひともここの大食堂に寄らせてもらうよ。
~ ・ ~
「明日、行っちゃうの?」
守護結石の塔で過ごす、最後の夜。
幼女のお世話をするあたしに、寂しそうな顔が向けられる。
「そうだね」
「一緒にいてくれないの?」
「そうだね」
「……さみしいよ」
「あたしもだよ」
ふっさふさの髪の毛を梳いてあげながら、幼女の温もりを確かめるあたし。
「向こうにも、オマエと同じような子が二人いるんだ」
「そうなの?」
「可愛い愛弟子も二人いる。他にも、元気な女の子と、オークの捕虜になってた女の子。そして、聖女になれなくて悩んでる子もいるよ」
「そうなんだ」
「あの子たちの面倒を見てあげないと、ね」
「……そっか」
向き直って、なんか、納得したらしい幼女。
「また会える?」
「約束はできないけど、多分、会えると思うよ」
現代に帰ったら、またここに来れるかは、自信ないなぁ。
でも、まあ、会える気はする。根拠ないけど。
この子、もっとスゴクなるような、そんな気がするから。
「シーチャン、ここで頑張るからね」
「うん、そうだね」
くそぉ、可愛いなこの子。出来るなら連れて帰りたいんだけどなぁ。
むぎゅっと抱きしめてあげると、くすぐったそうにキャッキャと笑った。
その夜、夢を見た。
覚えてないけど、温かい夢だったと思う。
いい夢だったと、思う。
(つづくっ!)




