27.オーク・クイーン
「いや、スマネエ、無理だ。やめよう」
お、ちょいノッポもデカブツ側かー
とりあえず、歩ける程度には治療してもらったんだね、良かったねぇ。
「コイツ、オーク・クイーンだ。俺達じゃ、敵わねぇ」
オーク・クイーン?
豚頭女王?
……
言葉が、フロア全体に広まった。
オーク・クイーン。
おーくどもの、じょおうさま。
豚鬼女王……
ちょ、ちょっとーあたしのどこが豚鬼女王なのよー!
こんな可愛らしいジョシコーセー掴まえて、それは無いんじゃない⁈
「うっ、しかし……」
「無理なもんは無理だ。やめよう」
なんか、必死なちょいノッポの説得。コイツは散々引っぱたいてやったんで、ヤキ入れは終わったかな?
にしても、豚鬼女王って……
「く、くそぉ……こんな女に俺がやられるなんて……」
へえ、アンタはあたしをオンナ扱いしてくれるんだ。いいとこあるじゃん。
「ヤルならもう一回ヤッてもいいよ。なんなら何度でもヤッてもいいよ。二度と逆らえないように、徹底的に思い知らせてやってもイイんだよ?」
イイところもあるちょいチビに、上から目線で見下ろしてあげる。
「い、いや、コイツには言って聞かすから、頼む、お願いだ、勘弁してやってくれ」
「お、俺からも、頼む。どうか許してやってくれ……」
「お、おい……」
なおも逆らおうとするちょいチビに、ちょいノッポとデカブツが、無理やり頭を下げさせる。
「あんたら、なんか勘違いしてない?」
「へ?」
「なに?」
「は、はぁ?」
あー全然分かってないな、コイツら。
「謝るのは、あたしにじゃないでしょ?」
言われて初めて気が付いた、とでもいうような顔で、連中は元パーティーの仲間を見た。
みーよの治療は、まだ続いている。でも、他の聖女ちゃん達もいるので、目途は付きそうだ。
誰ヨ、朝から平和なギルドのたまり場を滅茶苦茶にしたのは。
あたしか。テヘ。
「あたしは、ただあんたらに頭に来ただけ。あたしはあたしの好きにする。あんたらがみーよに礼節を尽くさないなら、あたしはあたしでスキにするだけだから」
それが許しを請う態度? 根本的に違うでしょ? 筋を通しなよ。
睨まれて、よーやく、といった感じだけど。
連中は、治療の終わったみーよの所に行って、頭を下げていた。
「それがアンタらの謝ってる態度ってことで、イイのね?」
後ろから凄んでやると。
あわくって、跪いた。
「頭も高いんじゃないの?」
後ろから軽く(ホントよ?)蹴りも入れてやる。
素直に、床に頭を擦り付けた。
よーしよし。
それならそれで、あたしとしては怒りを引っ込めてもいいんだよ。
集団の中で、完膚なきまでに謝らせたし。
この辺にしといてあげましょーか。
ん-散々暴れたし、スッキリしたわー
あれ、みーよに睨まれてる。
「もー、ほんとヤリすぎもいい所なんだから」
「テヘッ」
「でも……ちょっと、スッキリした……ちょっと、よ?」
ウンウン、素直で大変ヨロシイ。
あたしとみーよは、カウンターの前で、戦利品の査定内容を聞いた。
受付の後ろにいた職員さんも総出で、大急ぎで鑑定したらしい。
やればできるじゃん。
トロ子が、緊張した面持ちで買い取り金額を読み上げる。
「オークの魔石が、小さいもの4つで金貨4枚。短剣は4本で金貨1枚。大ナタは4本で金貨2枚。小物や布切れは全部で金貨3枚。ゴブリンの魔石も合わせて、しめて大金貨1枚で買い取り致します。
オーク・アグフの魔石は大金貨1枚、シミターは金貨5枚、盾は金貨2枚、皮鎧は金貨3枚。アギト・ナイフはお売り頂けませんよね?」
ん-そうだね。これは使い勝手いいからね。
首を振ると、受付トロ子だと思ってたけどやればできるじゃん催促すればきちんとできるじゃん状況を読めないおまぬけちゃんなだけだったね受付嬢が、話を続ける。
「討伐者の証しですので、そのままお使い頂いた方が宜しいかと思われます。
アグフに関しては、合計大金貨2枚。
全て合わせて大金貨3枚で如何でしょうか?」
ん-相場がワカんない。
っていうか、こういう計算はあたしの仕事じゃないや。
「オーク・アグフは懸賞金が掛かっていましたよね?」
みーよが、やんわりと指摘する。
へーそーなんだ?
「ミヨ様は、賞金稼ぎとして申請されておりませんので……」
「わたしではなく、付き人が仕留めたのですけど?」
なんだろ? 受付嬢とみーよの間に、軽い火花が見えるわー
「付き人様は、まだギルド会員では御座いませんので」
「功績は認められない、ということですね? 分かりました。買取は全て、お断り致します」
祈りの姿勢を取り、戦利品の回収準備を始めようとする、みーよ。
ん-強気な交渉術だねぇ。
「お、お待ちください……」
受付嬢が慌てて、後ろのもう二人と相談を始める。なんなら、ベテランらしい男の職員も2人位、話の輪に加わる。
「オ、オホン、本来はわたくしの権限で決められないのですが……半額で、金貨5枚で如何でしょうか?」
みーよは動作を止め、少し思案する。
「分かりました。それでお願いします」
「あ、ありがとうございます!」
明らかにホッとした顔の受付嬢。
受付嬢が支払うお金を準備している間に、みーよに聞いてみる。
「お金の単位って、どーなってんの?」
「ん、銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、その上もあるけど、あまり見ないね。
男の人が一日働いて、普通は大銀貨1枚だね。
銀貨1枚でちゃんとした食事1食分。
銅貨10枚で銀貨1枚。
普通の黒パンやエール1杯は銅貨2枚。スープは銅貨5枚が相場。果物や木の実は、普通に銅貨1枚から買えるよ。
金貨は、大銀貨10枚分。
大金貨は、金貨10枚分だよ」
ふむふむ。大銀貨が1万円位?
銀貨は千円ってとこかな。銅貨は100円。
金貨って、1枚で10万円か。大金貨は100万円だね。
ってことは、大金貨3枚と金貨5枚で、350万円ってこと?
あんなもんで? 現代との価値観の違い?
ん-知らん分からん成り行き任せ?
まーいいや。みーよがそれでいいならね。
アグフの懸賞金が半額らしいんで、ホントなら100万円だったのね?
本来はヤツの魔石と同じ額、つまり仕留めたら2倍の報酬ね。
で、装備品は別の買い取り枠。
ま、悪くないんじゃない?




