264.やっぱり、入り浸る気満々だね
城に入って、領主の執務室へ。
サーリット領主とテイル卿が出迎えてくれた。
今日一日で、随分仲良くなったようだな。
そうだね。そうかも。
あたし、こんな子供が欲しいわ。
犬猫じゃないんだぞ?
似たようなもんじゃない?
いや、違うぞ。
シーチャンは犬猫じゃないもん。
あーはいはい。似たようなもんだけど、違うよね?
ちがいまーす。
うんうん、可愛い生き物だなぁ。
巡礼の報告、宜しいですか?
これは終わらないと思ったらしく、みーよが話に割って入る。
広げられた地図をみて、こことここを回ったと、指を差す。
この村では、まだ結界石が生きていたことも報告。
男たち、頷いている。予想通りだったらしい。
この分だと、すべての地区を巡礼しなくても良さそう。
思ったより、早く終えられそうだね。
昨日あたしたちが回った村や町には、すでに避難してきた村人たちの帰還を開始させた。護衛騎士を3隊ずつ配属させて、周囲の警戒にも当たらせている。
今日回ったところにも、明日、避難民を帰還させる。
それと、戦いで捕虜にした2000人の処遇が決まった。全て元の所属に返す。身代金として一人につき金貨1枚を得ることで合意した。あと、彼らの武装については、全てこちらに所有権が移るということだそうです。
ついでに、元領主と行政長官も一緒に同行させる。あとは魔導帝国側の問題だろう。
随分、急いでいるようにも思えるけど?
急いでいるのだ。いつまでも皇龍公国の領土を開けておくわけにもいかない。
それと……
それと?
我々が打ち破ったオーク軍の残党が、魔導帝国側の奥に入り込んでいるらしい。お互い、この都市を挟んでいつまでも睨み合いを続けるわけにもいかない。
全滅したんじゃなかったの?
オークの部族ごとで同士討ちはしている。だが、生き残った部族は、相手の魔石を喰らって強くなっていく。その中からジェネラルやキングがまた出現しないとも限らない。奴らの数自体は減りつつあるが、その分、精鋭が生き残るともいえる。
必要なら足の速い騎馬をまとめて、後を追うことも考えている。本来は魔導帝国の領内での出来事だから、我々は干渉したくもないのだがな。
ふうん。まあ、皇龍公国の騎士団としては、そういう方向性なんだろうね。
残党のオークどもを追う拠点として、今しばらくポートビリアに残るつもりではいるが、行政としては自治政府を設立するか、魔導帝国の中でも穏健な貴族がいれば任せてもいい。都市の住民を全て奴隷にするような奴はゴメンだからな。
そういって、サーリット領主はため息をついた。この人の考えるポーズは、両手を組んで、その上に顎を乗せてるね。立っている時はまた別だろうけど。
今日も随分働いてくれた。改めて礼を言う。
明日、朝一で全体会議を開きたい。今後の方針を話し合う。朝食後、貴殿らの談話室を使いたいが、構わないだろうか?
こっちでするの? 自分のとこでやったら?
コーヒーが飲めないだろうが。それに、会議など、どこでやっても変わらぬ。
やっぱり、入り浸る気満々だね。
オラクルの教会でも、そうだった。
男って、ホントにしょうもない生き物だなぁ。




