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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移三十二日目っ! ~ 幼女や竜人青年と一緒に、お仕事っ!

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262.思考が結局、竜だもんね

 うん、気持ちよく寝た。

 今、何時だろう?

 帰り際にあと2件寄って、お城に戻ろう、だって。

 ずいぶん、ゆっくりなんじゃないの?

 ああ、無理すると、みーよの理力自体がモタナイと分かったの?

 郁ちゃんをアタフタさせたくない、んですか。

 そういえば、テイルの奴がなんか言ってたかもしんない。

 あんなヤツの話なんか、まともに聞いちゃダメなんだよ?

 だって、乙女の純情を面白がってからかうような奴なんだし!

 え?

 ああいう人の忠告は素直に聞くものだって?

 ううん、そうかなぁ……


 4件目も無事に終了。こっちも、結界石が生きていた。


 何事もなく、最後の村へ。

 村が荒らされていない。ここも大丈夫そうだね。

 と、思った、けど。

 今までと、なんか違う。

 なんか、潜んでいる気配。

 本能(カン)だけど。

「みーよ、まだ降りないで。なんかいる」

「人間?」

 まあ、そういうことだよね。

「シーチャンの出番ですかぁ?」

 幼女の?

「なんかできるの?」

「シーチャン、なんにもできないよ」

 出来ないのか。じゃあ、なんの出番なの?

「こういうの、とくいじゃないんだよぉ」

 あら、青年の足をまたいで、車から降りちゃった。

「ちょ、ちょっと……」

 青年、アンタも止めなさいよ。あ、一緒に降りるのね。

 しょうがないなぁ。あたしも車を降りると。

 みーよも降りてきた。

 あ、いるわ。ウヨウヨいる。

 あの家の影に2人。

 向こうの屋根の影に1人。狙撃手(スナイパー)かな。

 こっちの塀に2人。

 家の中にも何人かいる。

 屋根の上の狙撃手さえどうにかできれば、後は大したことはないと思うけど。

 あたしがここを離れると、みーよがちょっとマズいかなぁ。

 と、幼女、杖を掲げて、なんか踊りだしてる。

 相変わらず、下手な踊りだなぁ。

「れろれろれろーでろでろでろー」

 幼女の裸足の足元から、なんかチラチラと金色の糸みたいなのが出てる。

 踊るたびに、足が地面から離れるたびに、地面に向かって潜り込んでるのが見えるんだよね。

 それ、ナニ?

 ン、殺気!

 なんか飛んでくる!

 とっさにみーよをかばったあたし。

 でも、狙いはあたしたちじゃなかった。幼女の方だ!

 あ、青年、素手で飛来してきた矢を止めた。へえ、やるじゃん。

「わわわ、おにーさんもカッコイイ!」

 幼女、大はしゃぎしてる。コレコレ、足元がお留守だぞ。

「じゅんびでけた。でろでろでろー!」

 あ、もういいんだ。杖を高く上げて万歳のポーズ。

 おお、隠れていた連中から、悲鳴が聞こえる。

 屋根の上の狙撃手も、転がり落ちたらしい。

 悲鳴のする方にいってみると、金色の糸に何重にも巻かれた野盗の男どもが地面の上に転がっている。

 何だテメエラとか言われた。まだまだ元気があるね。

 潜んでいた家から転がり出てきた連中は、そんなに拘束が強くないらしい。

 金色の糸が何本か絡まっていて、慌てて逃げ出したみたいだね。

「あれれぇ?」

 幼女がなぜか不思議そう。全部捕まえたと思ったんだね。

 出てきた5人中、一応まともに動けそうなのは2人だけ。

 残りの3人は、腕とか脚とかに糸が絡みついていて、まともには動けてないね。


挿絵(By みてみん)


「こ、この野郎、変な術を使いやがって!」

 一応、周囲に気を配って伏兵でもいないかを探るあたしに、なんか怒鳴っている。

 いないみたいね。

 後は、お前らだけか。

 山賊刀を抜いた、親分かなぁ? と、子分その1。

 逃げないんだ、ふーん。

 殺しちゃってもいいけど、折角だから生け捕りに……

「わるいこと、ダメなんでしゅ!」

 幼女、杖を高く掲げて、ぷんぷんと怒っている。

「えい!」

 杖を突き出すと、そこからも金色の糸が飛び出してくる。

「う、うわぁ……」

 そのまま糸の束に呑まれて、野盗は二人とも拘束されてしまった。

 あたし、出番ないじゃん。

「幼女、スゴイじゃないの」

「こういうの、とくいじゃないんでしゅ。シーチャン、なんにもできないでしゅ」

 いやいや、大したもんだと思うよ?

 これで何にも出来ないとか、ありえないでしょ。

「この糸は、ほどけたりしないの?」

「シーチャンがそう思わない限り、ほどけないでしゅ」

 ふうん。みーよ、どうする?

「取りあえず、ポートビリアに連れ帰って……ん?」

 みーよが、ギョッとしている。つられて視線を向けた先に。

 青年の顔が、竜に変化しつつある。

 いそいそと、服を脱ごうとさえしている。

「ちょっと待った青年。竜に変化して何する気?」

「知れたこと。喰う」

 うわぁ。

「ちょっと落ち着け」

「なぜだ」

 身体がまだ人間。顔が竜。スゴイ違和感。違和感なんてもんじゃない。

「人間は、食い物じゃない」

「わからん」

 まあ、そうだろうね。思考が結局、竜だもんね。

 いや、わからんでもないのよね。

 あたしも、非道な事を平気でやったり、あたしに歯向かってくる野郎ども相手なら。

 ふーん、そうなんだ、じゃあ、と。

 同じようにしても、別に構わないとか思ってるもんね。

 なんなら、鍛錬に付き合ってくれる連中は、お肉の塊にしか見えないもんね。

 でもねえ、さすがに、食べたりは、しないなぁ。

 あ、もし、食べてもいいなら……

 食べちゃうかも、しれない?

 いや、さすがにないわ。

 でもそれは人間の思考だからであって、捕食動物としてなら、食べることを考えるのは当たり前なのかもね。

 あれ、なにをあたしは、コイツの事を認めようとしてるんだろう。

 説得しなきゃ、止(や)めさせなきゃなんないのに。

「竜人様、どうぞ牙を御鎮め下さいませ」

 みーよが、おごそかに告げる。

 竜の顔をした青年に向かって、視線を外さない。

 杖がほのかに光っている。何か、発動しているらしい。

「なぜだ」

「理の無い行いは、闇の眷属の証だからで御座います」

「……わからん」

「その御身の半身は、理を持つ人のお姿であるはず。理性を宿す存在として、そのお力をお示しくださいますよう、お願い申し上げます。さもなくば」

 みーよが杖を高く掲げた。

「力づくで、お鎮まり頂きます」

 杖の輝きが、増していく。

「聖女ごときが、竜に歯向かうというのか」

 竜の顔が、笑ったように見えた。

 ひどく歪んだ顔。金色の瞳が、縦に大きく割れている。

「お忘れなのですか? わたくしの付き人は、オーク・キラーとして名高いイクミですよ」

 あ、思い出したらしい。

 げ、という顔をしている。

 顔が、顔が人間に戻っていく。

 なぁんだ、随分と素直だね。

 あたしは別に、いいんだよ?

 やるなら、徹底的にやろうよ。

 みーよも、次は止めないと言ってたしね。

 あたし、今度はドラゴン・キラーって呼ばれたいんだよね。

 あ、そういえばコイツ。殺しちゃダメなんだっけ?

 でも、不可抗力なら、しょうがないんでしょ?

「スイマセンスイマセン、モウシマセンモウシマセン」

 ペコペコと頭を下げる竜人の青年。

 まあ、分かれば宜しい。

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