258.ん-なんだろ。お洗濯?
新章開幕。
足の辺りが、もぞもぞする。
なんか、くっついてる。
昨日、懐かれた幼女か。
別室で寝てたはずなんだけどな。
いつの間に潜り込んできたんだろう。
そっと起きようと思ったら、足を掴まれた。
頭を撫でてやると、力が抜けた。
そろっと足を抜いて、寝床を出る。
みーよはいない。守護結石の間に行ってるのかな?
一応、確認しとくか。
と、幼女、起きちゃったね。
何よ、一緒に行きたいの?
ウルサクしちゃ、ダメよ?
ポンチョ姿のまま、部屋を出て階段を上がる。
まだ眠そうな顔の幼女が、トコトコとついてくる。
上階の守護結石の間に登り、そっと扉を開けて、覗いてみると。
やっぱり、みーよがいた。
ほのかに光るオリハルコンの前で、片手で杖を掲げながら両膝をついて一心に祈る、大聖女姿の、みーよ。
いつ見ても、キレイ……
中に入ろうとする幼女を、そっと押しとどめる。
「邪魔しちゃダメよ」
コクンと頷いたので、もう少しだけ見つめて、そっと扉を閉めた。
下の部屋に戻り、幼女の髪の毛を手で梳いてみると、案の定メチャクチャに絡まっている。全くお手入れしてないのね。
まさかとは思うけど、魔法使いって髪を洗うと魔力が無くなるとか、ないよね?
聞いてみたけど、何のことかさっぱり分からないらしく、小首をかしげられた。
ま、あたし、素人だからね。
やりたいようにやっても、怒られないよね?
ポンチョを脱いで、ついでに幼女のポンチョも脱がせる。
そのままシャワールームに連れこんだ。
温水で頭を濡らしてやると、スゴク気持ちよさそうにしてる。
シャンプーをたっぷり付けて、ワシワシと幼女の髪を揉んでいくけど、あまり泡が立たないね。
もしかして、シャンプーの量が足りないの?
追加すると、ようやく少しずつ泡立つようになってきた。
いつから洗っていないんだろ?
女の子は、清潔第一なのよ?
そんな事言っても、キョトンとされるだけだよね。ほらね。
はい、洗い流すよー
ふふん、リンスもたっぷりかけて、ツヤッツヤに仕上げちゃうもんね。
それにしても、スゴイ髪の毛の量だなぁ。
あたしなんか、短いからすぐに終わっちゃうのよ?
でも、ゴワゴワ具合はあたしの勝ちだね。
あら、コロコロと笑うんだ。意味分かってんのかな?
身体の方も、ボディソープで隅々まで洗おうね。
はい、流すよー
キレイになった。
こうしていると、まるで親子みたいだなぁ。こんな子欲しいな。
ヘンな事思いながらシャワールームを出て、ふわふわタオルで全身を拭き取ってやる。
いつも着ているワンピースを着せようと思ったけど、なんか臭う。
これ、全く洗濯してないんじゃないの?
むう、どうなってるんだ?
着替えもないので、幼女用のポンチョを着せておく。
あたしも取りあえず、自分の寝巻ポンチョを被って。
座らせて、ドライヤーで髪を乾かすと、とても気持ち良さそうだね。
櫛で髪の毛を梳かしていくと、今度はスムーズにいきそうだ。
こうしてみると、この子、結構な美人だね。
眼はパッチリだし、鼻筋も通っている。
ぼさぼさの赤毛が、ツヤツヤと輝いてボリュームたっぷりではありませんか。
将来に期待できそうな、美人幼女だねぇ。
「はい出来た。服、どうしようか」
「シーチャンの服、いつものじゃダメなのぉ?」
「結構臭いよ? 洗濯して貰お?」
「服……せんたく……」
なんか、考えてるね。
幼女が真剣に考える姿って、なんでこんなに可愛いんだろう。
ロクな事考えてるわけじゃないのにね。
「魔法でしゅわぁってしても、いいの?」
「できるなら、いいんじゃないの?」
「できるもん!」
へえ、見てみたいね。
木製の杖を手に取って。
「しゅわしゅあしゅわーしゅわしゅわー」
杖を振り回し、下手くそな踊りを始めた。
うん、下手だね。
ダンスってのは、こうやるもんよ?
シュワシュワシュワーシュワシュワー
切れよく腰や胸を揺すって、両手を大きく掲げて左右に振って、ついでに首も振って。
あら、キャッキャキャッキャ笑ってるわ。
つられて、気分良く踊っていると。
あら、みーよ、お帰りなさい。
「……なにやってんの?」
ん-なんだろ。お洗濯?




