256.しかも、相手は人間よ?
「お帰りなさい。ああ、やっぱり、ついてきちゃったのね」
執務室にいたみーよが、分かってはいた、という顔であたしと幼女を見つめる。
「一応、宮廷魔導士だから、本来は領主様の部屋にいなきゃダメだと思うけど」
けど?
「どうも、居心地が悪いらしくて、あちこちフラフラしてるって聞いたのよ」
ああ、そういうことね。
「前の領主様は甘やかしていたんだけど、今の領主様はそういうタイプじゃないでしょ?」
まあ、そうだろうね。
ちょっと、サーリットとこの子がじゃれてる様子が、想像つかない。
「どうしたらいいものか、と相談されたのよ。で、郁ちゃんが行きそうなところでフラフラさせとけば、拾って帰ってくると思う、って応えたのよね」
そんな、捨て犬や捨て猫を拾って来る旧時代の動画みたいなことを、あたしが?
しかも、相手は人間よ?
……現に、拾ってきてるのか。
みーよ、恐るべし。
「自然にそういう関係になるのが、一番いいらしいのよね。
……シーチャン、ここで一緒にしばらく暮らす?」
「うん!」
なんて嬉しそうな顔。
「領主様が必要とされたら、あのお部屋に行くんだよ?」
と、言ってみたけど。
なんか、そういう時は、向こうから来る気がする。そういう気しかしない。
「わかったー」
と幼女が片手を上げて宣誓のポーズを取るけど。
本当に、分かってるのかなぁ?




