↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移三十一日目っ!~ 魔導帝国軍や竜人の襲来っ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

249/271

249.「郁ちゃんはダメよ?」

 丁度、軍隊の奥から魔法攻撃の第2射が放たれた所だ。

 竜人も炎で対抗したけど、今度は押し負けたらしく、直撃を貰って大きな体が吹っ飛んでいった。

 ちなみに前方で整列し、展開していた長槍兵は、味方の大盾兵たちにかくまわれている。

「あんな物凄い魔法攻撃(ビーム)とか、竜人の炎(ブレス)とかが、街を襲ってきたら、対抗できないんじゃないの?」

「そのために都市の城壁と守護結石の守護者がいる」

「守護結石はなんとなく分かるけど、こんな城壁じゃ、爆破されておしまいじゃないの?」

 サーリットはいぶかしげにあたしを見て、あの辺だっただろう、と指を差す。

 んと、竜人が眼からビームなんてトンデモ技を放って、あたしがかわして城壁に当たったんだっけ?

 爆発してたと思う。

 思う。

 壊れた跡が、見当たらないね?

 この辺だったよね?

「守護結石のある都市の城壁は、魔法や理力攻撃から護られる。壊せるのは物理攻撃だけだ。

 都市の住民の大多数が領主を支持し、忠節を尽くしているのであれば、守護結石はその力を持って都市を保護する。

 領主は守護結石の守護者を任命し、その力を都市の防備に用いさせる。

 行政長官が揃っていれば、都市の住民は領主に忠節を尽くすことが出来る。

 どれか欠けていれば、都市は機能しなくなり、やがて滅びる」

 いちいち、こんな時にこんな説明をさせるな、と顔に書いてある。

 だって、そんなこと知らないもん!

「じゃ、じゃあ、そういうのを持ってないあの軍隊、マズいんじゃないの?」

「持っているから、竜人にも臆せず仕掛けたのであろう」

 なるほど。で、ついでにあたしたちも巻き込めれば、都市が領主と守護者をまとめて失うということになるわね。都市の機能を根こそぎ削れるしね。

 なんか、竜人もあの軍隊も、50歩100歩で酷い奴らに思えてきた。

 いっそ、そのまま同士討ちになればいいのにね。

 なんてことを思ったけど。

 軍隊の方が、なんか強いみたい。

 魔法攻撃の第3射は、竜人、何とか持ちこたえたけど。

 第4射に対抗する力が残っていないらしく、直撃を受けてもんどりうった。

「今だ、掛かれぇ!」

「おおおぉお!」

 大盾兵に守られていた長槍兵たちが、一斉に動き始める。

 掛け声と角笛の音が響く中、倒れている竜人目がけて走り始めた。

「頃合いだな」

「総員、準備出来ております」

 あたしが朝の訓練の時に散々からかった隊長さんが二人。

 カマキリみたいな顔の斥候隊長? と、太髭の経理担当隊長もいる。

「よし、城門開け。

 アンドレア大隊は拙者の隊と一緒に来い。

 コーダー大隊は待機。機を見て後詰めを出せ。

 ギリアム大隊は戦闘終了後、いつも通り追撃、情報収集。

 リカルド大隊は戦後処理を頼む」

「はっ!」

 総員、正門の下に駆け出した。

 あたしは?

「郁ちゃんはダメよ?」

 みーよ?

「わたしと、ここで戦況を見てなきゃダメよ?」

 えー?

「だってこれ、戦争なのよ? 捕虜の身分のわたしたちが首を突っ込んでいい話じゃないでしょ?」

 そ、そりゃそうだけど、さ。


挿絵(By みてみん)

  

 まもなく、正門からたくさんの騎馬隊が出撃し始めた。

 走りながら高く軍旗を掲げ、戦列を組んでいく。

 隊が二つに分かれる。大きい隊が、倒れている竜人と、それに向かって襲い掛かろうとしている歩兵たちの方へ。

 もう一方の隊が、魔法を撃ってきた本隊の方へ向かって行く。

 騎馬なので、展開が速い。

 相手の歩兵隊、足が止まった。

 向かって来る騎馬隊に向けて、平行陣を敷き始める。

 後ろにいた一部の歩兵たちも、魔法を撃ってきた本陣を守るために引き返し始めた。

「さっきの魔法、もう撃たないの?」

「魔力切れなんだと思う。多分だけど」

 サーリット司令官、そのタイミングを伺っていたのかしらん。

 その大隊を率いる彼は、平行陣を整えている歩兵たちの正面を横切るように軍を動かし、先に倒れている竜人の所にたどり着いた。

 周囲に護衛の騎馬隊を置いて、そのまま歩兵たちの平行陣の裏側に回り込む。

 歩兵たちが対抗して、密集した陣形を形作り始める。

 でも、竜人の所を起点にしてU字型に半分囲まれた状態で、ちょっと苦しそうにみえるね。

 これ、出口を塞がれたら囲まれちゃうんじゃないの?

 あ、そのまま、歩兵たちが下がっていく。

 どうも、本陣から角笛や旗が振られていて、退却の指示が出ているみたいね。

 あ、都市の正門から、新しい騎馬隊が出撃していく。

 ちゃんとした重騎兵。待機して、機を見て出撃するように言われていた大隊だね。

 こっちも走りながら隊形が変化。紡錘型だね。

 そのまま固まって中の歩兵陣に迫っていく。

 竜人の方面からじりじりと押していく大隊と、都市から突進してくる新しい騎馬隊。

 このままでは突き崩されちゃうね。

 あ、塊がばらけた。隊列が崩れて、歩兵たちが一斉にばらばらに逃げ出していく。

 都市から出た重騎馬隊の後ろに、皮鎧に身を包んだ軽騎馬隊がいたんだけど、それが重騎馬隊を追い抜いて、ばらけた歩兵たちに襲い掛かった。

 こうなると、もう歩兵たちは逃げるのに必死になるね。

 あんなに整然としていたのに、もう見る影も無い。

 歩兵隊、2000はいたと思ったんだけどね。

 武器の長槍や大盾を捨てて、投降し始めている。もう逃げきれないと悟ったんだね。

 完全に崩れた陣形の中を、重騎馬隊たちが悠々と闊歩している。

 軽騎馬隊は、さらに奥へ、相手の本陣に向かって行くらしい。

 入れ替わりに、本陣に向かった重騎馬隊が戻ってきている。

 都市から、何台かの大きな馬車と、整然と歩く歩兵隊が出撃した。

 投降した兵士たちの収容と、武装解除された装備の回収かしらん。

「終わったみたいね」

 なんか、あっという間だった。

 そして、無駄に死んだように見える人がほとんどいない。

 戦争、なんだよね、これ。

「みーよは、戦争に参加したことはあるの?」

「人間同士のは無いよ。観るのも今日が初めて。でも……」

 少し悲しそうに、呟いた。

「オークに焼かれた村と、人間が戦争で焼いた村は、同じなんだよね」

 ああ、そうだね。魔物も人間も、やってる事は。

 結局は、変わらないのかもしれないんだよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。