241.うん、もう少しはマシな肉を食わせて欲しいな
館の外に出て、練兵場に向かう。
お、やってるね、朝稽古。
昨日のとは、別の隊だね。
邪魔しちゃ悪いので、隅の方で身体を動かしていると。
「朝、早いな」
「そっちこそ」
「遊んでいくか?」
昨日、同じこと言われたな。
「ん-やり過ぎて、聖女様に叱られちゃったからね。今日は遠慮しとく」
「へー、でも、ウチの団長にキッチリ返されてたんじゃねえの?」
お。
そういうこと、言うんだ。
なによコイツ。
あたしが、どんなに大人の事情を鑑みて身を引いたと思ってるのかな?
いや待て。あたしは女優、女優なの。
コンナ安っぽい挑発に乗っちゃうような安っぽいオンナじゃナイノヨ。
「それはそうなんだけどさ。それって要するに、部下が弱すぎるって事なんじゃないの?」
あれあれ?
何であたしの口、挑発し返すようなこと、言ってるのかな?
ま、それが本心なのは、認めるけどさ。
だからこそ本心は丁寧に慎重に隠すのが、大人の女のたしなみというヤツのはずで。
あたしは大人の女、の、はず。
「マ、ウチの団員も、弱っちいのとマジで強いのと、二種類いるって事でね」
わかり味がイイね。
昨日のも美味しそうだったんだけど。
こっちはこっちで、コッテリとしていて、実に美味しそうなんだよね。
ん-どうしよっかなぁ。
「やりすぎると、本気で聖女様に叱られちゃうんで。
あたしはイイのを一撃貰ったら負け。
そっちは地面に転倒で戦線離脱。
あたしは素手、武器を奪うのは無し。
そっちは完全装備で、武器だけは模擬剣。
全員で掛かってきて欲しい。
……それで、どう?」
うん。もう、まるで舐めて掛かってると思う。実際、その通り。
でもさ、これ位のハンデがないと、正直、あたしの鍛錬にはなんない。
やる気と勇気は認めるけど、技量と経験がまるでなっていない。
そんな風に、あたしの目には映ってるんだよね。
あ ん た た ち は
話しかけてきた隊長? の目の色が、明らかに変わった。
俺たちは家畜じゃないぞ。
うん、知ってるよ。
野生に住む草食動物の群れなんでしょ?
どっちにしても、獲物に変わりはないよ?
囲いを食い破って蹴散らすか、丁寧に仕留めていくか。
その程度の違いでしかないよ?
前に、冒険者ギルドで大乱闘したけどさ。
あれって、家畜レベルだったし。
うん、もう少しはマシな肉を食わせて欲しいな。
ま、完全装備なんで、手加減しなくてもいいんだよね?




