234.話が長いね、商工会会長さん
城の執務室に戻る。
行政官たちとの会合、司令官たちとの正式な会合がまだ残ってるんだって。
あたしは、いてもいなくてもいいらしいんだけど。
目を離したすきにフラフラ出歩いて、騒ぎを起こされても迷惑なので、今日は一緒にいなさいと言われちゃった。
信用無いなぁ。
ま、その通りかもしんない。
行政官たちとの会合は、いや、あたし、いて良かったと思う。
あたしたちが討伐したオーク・キングたちの報酬。
結局、皇龍公国の騎士団ではなく、ポートビリア側で買い取ることにしたんだって。
コマンダー8匹の魔石は、合計大金貨8枚。
ハイ・プリーストの魔石は、普通なら大金貨5枚だけど、倍の10枚。
オーク・キングの魔石は、ジェネラルの倍の値段で大金貨20枚。
合計、大金貨38枚。
他の装備品込みで概算40枚って事にして、半分の20枚をエロハゲたちに渡したんだって。
計算できなかったのが、オーク・キングの被っていた宝冠。
一応、最後にトドメを刺したあたしが所有者らしいんだわ。
んなもんイラン、換金して皆で分けて欲しいって言ったんだけど。
欲しい人は欲しいだろうけど、何とも言えないみたい。
なんでも、かなり深く呪われてるみたいなのよね。
普通のオーク・ジェネラルにそういうアイテムを被せて、無理にキングに仕立てたんじゃないか、と推測されてるけどね。
で、現物を持ってこられた。
こうして見ると、確かに大きいね。
あたしの胴回りまでは無いけど、肩にたすきでぶら下げても違和感ないや。
みーよが、女神ちゃんに聞いてみるって。
あ、奉納が可能というか、ぜひとも欲しいそうです。素晴らしいトロフィーなんだとか。
いいよ、女神ちゃんにあげちゃって。
なんだかんだ、世話にはなってるのよね。
みーよが祈って、無事に奉納完了。
で、報酬として大金貨20枚を獲得だね。
オラクルの教会に半分を寄進して、みんなのビックリした顔を見たいけど。
しばらくは戻れそうにないねぇ。
ただ、ピックアップトラックのローンを、一括返済できるみたいで、みーよがホッとしてた。
ま、維持費はこれからも掛かるそうなんですけどね。
で、都市の今後の話もされた。
周辺の町や村から避難してきた人々を、元の場所に戻すのだそうです。
で、破壊されたり効力を失ったりしている結界石の再設置や管理をお願いされた。
ポートビリアの守護結石から、必要な結界石の採取もしたいけど、それには人々の支持率が関係している んだとか。
その人々の中に、避難してきた住民も含まれているらしい。
支持率が高ければ、守護結石の活動も活発になるし、低ければ低調になって、時には効力を失うことさえあるのだとか。
守護者の責任ってかなり重要なんだね。
みーよが付近の町や村を回る間は、守護結石は守護者代理として任命された副官テイルが維持してくれるようで、その辺は問題ないらしい。
状況が落ち着き次第、巡礼開始だね。
防衛隊長のハンドゥは、出来るだけ早く門の修復をしたいとのこと。あの門がないと、都市としては機能していないも同然、外部から何でも入り放題になっているからね。
今は、皇龍公国の騎士団が交代で守護についているけど、門を直して、自分たちの都市を自分たちで守護できるようになりたいのだそうです。
周辺のパトロールも、皇龍公国の騎士団が行ってくれていて、自分たちが考えていたよりもはるかに小まめに正確に治安維持に努めて貰っている事には感謝しているのだとか。
生き残った鍛冶屋や職人たちが総出で、門の修復に取り掛かっているので、忙しいのは分かるが、聖女様の祝福をお願いしたいんだってさ。
ま、それ位しか出来ることはないかなぁ?
後は、商工会会長のエンダナの話。
陸路による通商の再開は、すでに始まっているとの事。
水路も無事だったので、こちらも辺境都市への通商を再開したとの、報告。
辺境都市って、なに?
尋ねると、ああ、という顔をされた。
ポートビリアのすぐそばを流れる大河、ユーライア。
上流には広大な魔境があり、喫水の浅い船で通商を行っているのだそうです。奴隷に櫂を漕がせる動力船で2日かかるのだとか。
河の民という種族がいて、水先案内人としてポートビリアで暮らしているんだけど、彼らのおかげで、都市としては莫大な利益を得ているんだってさ。
ポートは港。
ビリアは富。
ポート・ビリアは、莫大な富を生み出す港都市、という意味らしい。
ちなみに、同じような都市が皇龍公国側にもあって、そちらも辺境都市と交易を営んでいるのだそうです。
辺境都市は魔境の中にあるので、周囲で畑作が出来ない。
よって交易によって食料を確保しなければならない。
代わりに、周囲は魔物たちの巣窟だらけでもあるので、貴重な戦利品が山ほど手に入るんだそうです。
大きな冒険者ギルドもあるんだってさ。
で、人間の統治ではなく、魔物の中でも知能の高い種族たちとの話し合いで街を運営管理しているのだとか。
人間なんて暮らしていけるの?
その辺は、上手くやってるんだって。
それで、この辺境都市との交易が無くなると魔導帝国としても、とても困ることになるので。
あたしたちには魔導帝国側として都市の運営に携わって欲しいみたいなことを言われた。
そんな事言われても、あたしたち、隷属の首輪を付けられてるし?
というと、それは方便だからあまり気にしなくてもいいと言われた。
皇龍公国は、そもそも侵略はしない方針。
なんなら、街を守護する結石さえ形状が違って、龍宝珠というものを用いているのだそうです。守護者も誰でも良いわけじゃなく、皇龍の血に連なるものでなければならないのだとか。
元々、皇龍が人間に与えた土地以外は管轄外なので不要という立場なのだそうです。ただし、土地を汚す侵略者には容赦しないという一面もある。
なので、皇龍公国の騎士団がポートビリアを救援に来たのは、本当にそういう理由なので、治安が整えば撤収するのは当然みたいね。
ただし、タダではないので、国同士で交渉して、代金なり権益なりを支払うのではないかと言われてはいるそうです。
話が長いね、商工会会長さん。
いや、あたしが変なこと聞いたのが、良くないんだよね。判ってるもん。
で、最後に。
周辺地域の町や村から、結構な人数の避難民がこの都市にきて……
あ、ごめん緊急呼び出しだって。
みーよはこの都市の守護結石の正規守護者なんで、都市の全員に呼びだしを掛けられる立場。
そのみーよが逆に呼び出される唯一の立場が、この都市の領主さま。
つまるところの、サーリット司令官な訳。
他の市民には、呼び出しなんか無理だけど。
あたしたちに付けられている隷属の首輪のご主人様なんで、みーよとあたしにはダイレクトで呼びだしが可能ってわけなのよね。
そういうことなんで、会合の続きは後にしてねん。




