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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移二十九日目っ! ~ ポートビリアで大暴れっ!

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233/248

233.ま、いまさらなんだけどさ

 見物の兵士たちが解散して。

 その足で、傷病兵の慰問へ。

 司令官(サーリット)、副官(テイル)、みーよ、あたし。

 司令官(イケおじ)を後ろから見上げる格好だけど、背中がなんか頼もしい。

 そう感じる。

 コイツ、人当たりがいいし、丁寧だし、部下たちから慕われてるし、偉いし、そして……

 なんたって、あたしより強いし。

 顔はマアマア。声も結構イイ。

 あれ?

 割と理想の物件なんじゃないの?

 あたしはギルティ・ランス一筋だけど。

 でもなぁ、この恋、片思いだしなぁ。

 なんたって、ここには彼はいない。

 折角の異世界暮らしなんだし、いっそ乗り換えを検討してもいいのかもしんない。

 ふと、副官のテイルが振り向いた。

「ちなみにコヤツ、既婚者じゃぞ。子も4人おる」

 げ!

 既婚者かぁ……

 どうしてあたしの周囲のイイ男たちは、既婚者ばかりなのかしらん。

 そんなあたしの横で、みーよ、ちょっとガッカリしている気が?

 気のせいだよね?

「なによ、ちょっとイイ男かもとか、思ってないんだからね!」

「そうであろう。良かったな、サーリット卿」

「余計な事を言うな!」

 あら、幼馴染らしいやり取り。他の部下たちやあたしたちにはお堅いのに、副官殿だけには軽いやり取りなのねぇ。

 

 内郭の、まだ被害が及んでいない地域の一角にある教会。

 そこに、傷病兵が運び込まれていた。

 白い壁に黒い縁取りが特徴的。

 この模様、見たことがある。

 オラクルにも、あるはず。

 確か、生命と死のなんちゃらとかだと思う。白黒の神官じいちゃんが、弟子二人と一緒にアオイの教会に出入りしてたはず。

「ポートビリアの守備隊所属で、激しく負傷した者たちが運び込まれておるのだ。拙者一人だと、慰問を拒否されるのでな」

 そんなことを言う司令官。

 んと、敵国の軍司令官だからって事かしらん。

 なので、みーよを連れて行けば、受け入れてもらえるだろうって計算なのね?

 実際、門を固めていたポートビリアの兵士二人が、一旦はとどめようとしたけど、みーよをみて短槍の構えを解いたしね。

 こっちの人数が少ないということもあるのだとは思う。

 威圧しないように、という配慮なんだろうね。

 外庭にも、いくつか大きな天幕が張られていて、人の出入りがある。建物内に収まりきらないらしい。

 天幕の中に入ると、傷ついた人特有の臭い。

 死臭に近い。それも、肉がじめじめしながら腐っていく臭い。

 ただ、こういう所には必ず寄ってくるはずのハエがいない。一匹もいない。

 現代のコロニーには、ハエどころか虫一匹見当たらないのが当たり前の環境だったけど。

 旧時代の動画では、死骸にはハエがたかるのが当たり前だったはず。

 全くいないというのは、この建物自体に結界みたいな何らかの仕組みが備わっているんだと思う。

 天幕の中では、10人位、粗末な簡易ベッドに寝かせられている。

 一応、傷口には包帯らしきものが巻かれている。

 目、手、足、胴体。

 様々な損傷部位。

 半分は、あたしたちの訪問にも反応がない。

 もう半分は、気づいたみたいね。

 看護らしき人が二人。女の人だね。30代と40代。雇われ人だと思う。

「どうぞそのままで聞いて下さい。わたしはこの度、ポートビリアの大聖女に就任したミヨと申します。皆さんの、街を守護するために奮戦した行いに、光の女神アーリューシャイン様より祝福をお授け致します。どうぞ、お受け取り下さい……」

 跪いて杖を掲げ、女神ちゃんの奇跡を呼び起こす。

 マルチ・ヒール。

 天幕の中を、優しい光が照らした。

 でも、そうだね。

 失われた手足や、内臓にまでも達しているような深い傷は、もう治らないよね。

 それでも、ひと時でも、痛く苦しい思いから解放されて、ホッとしているとは思うよ。


 みーよは、次々に他の天幕を回り、建物の中に収容されている傷病兵たちにもマルチ・ヒールを施していった。

 教会に勤めていた僧職者が何か言ってきたけど、司令官が対応した。

 他所の教会の者が勝手に入ってこられると迷惑だ、という言い分らしいんだけど。

 いやこれ、どう考えても人手が足りないというか、看護する気がないでしょ?

 事実、その通りで。

 死にかけている人を葬還するのが、本来の目的らしいんだよね。

 治癒術は、決して万能じゃない。自然に治らないものは、やはり治らないのが道理。

 世界の理に反するような癒し方は、そんな簡単にはありえないことなんだよね。

 ま、決めつけは良くないけど。

 ここ、普通に身体の中に手が突っ込まれたり、人間の身体がオークに変化する世界だからねぇ。あたしも、みーよに心臓を直接触れられて、付き人に成ったしね。


「みーよってさ、本当に聖女様なんだねえ」

 とか言ったら、けげんな顔をされた。

「いや、こういうグロいのって、現代だったら観る事ないじゃない?」

「それを言ったら、全く平気そうな郁ちゃんの方こそ、すっかり馴染んでるんじゃないの?」

 いや、あたしは慣れてる……

 慣れてなんかいないよね。でも、覚悟は出来てるらしいね。

 まあ、そういうものだと割り切るしかないんだろうね。

 この世界の人たちも、そういうものだと割り切っている風なんだよね。生の傷口を見ても、キャーキャー言わないんだよね。

 そうか。あたし、異世界初日から、オークの身体から魔石を取り出したり、二日目も野生動物の解体とかしてたわ。

 そういうもんだっていう耐性、最初からあったね。

 ま、いまさらなんだけどさ。


挿絵(By みてみん)

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