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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移二十九日目っ! ~ ポートビリアで大暴れっ!

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228.「少し遊んでいくか?」

 朝食を終えて、みーよと執務室に戻ると。

「郁ちゃん。わたしが執務室にいる間は、付き人の護衛は必要ないから」

「そうなの?」

「なにかあれば、ここからなら呼び出せるし。必要だったり、外に出かける時は一緒に来て欲しいけど」

「分かったよ」

 中でのお仕事の間は、あたしはいなくてもイイらしい。

 ちなみに、試しに部屋を出て少し離れると。

「(郁ちゃん、聞こえる?)」

「(聞こえる)」

「(守護結石の守護者は、この都市の中限定なんだけど、こういう感じで、一定以上の権限を持つ人々に直接話しかけられるの)」

 そ、そうなんだ……

「(逆は、できないんだけどね)」

 あくまで一対一で、呼び掛ける側はみーよ限定なんだね。

「(だから、何かあったら呼ぶから)」

 了解だよ、みーよ司令官!


     ~ ・ ~


 急に暇になったんで、城の中をうろつきまわる。

 誰もがあたしの姿を見るたびに、立ち止まって敬礼したり頭を下げたりしていくけど。

 オーク・キングを討伐した英雄扱いって、本当に有名人扱いなんだねぇ。

 白の左側に、練兵場があるのはなんとなく知ってた。建物の造りからして、そこに空間があるはずだからね。

 食後の運動というか、ちょっと身体を動かしたいな、という気軽な気持ちで近寄ってみると。

 やってるねぇ。騎士通りの、一対一の乱取りか。

 司令官の取り巻きのうちの一人が、訓練を見守っている。

 こっちにすぐ気づいて、手招きしてくれた。

「暇そうだな」

「まあね」

「少し遊んでいくか?」

「喜んで」

 模擬剣を貸してくれて、自分も模擬剣を持つ。

 周囲が察して、乱取りを取りやめたまま、あたしたちに注目。

「腰袋、外してもいい? なんかの拍子にアギト・ナイフを抜いちゃいそう」

「構わんよ。おい誰か、預かってやれ」

 乱取りしていた若い騎士が、預かってくれる。

 大したもんは入ってないけど、アギト・ナイフは別かな。

 ん-研ぎに出したいんだけど。この街にも鍛冶屋あるかなぁ。

 おっと、今はそんな場合じゃないね。集中集中!

 お相手の取り巻き君は身長185センチ、体重85キロって感じかな。

 あたしより細身に見えるのは、身長差のせいだよね。

 ちょっと巻き毛。瞳は緑。やや細面。髯はうっすら。あまり生えない体質らしいね。

「兜は被らないの?」

「団長相手じゃないからな」

「へえ、団長相手だと被るんだ」

 うん、舐められてるね。ついでに、片手で剣をひらひらさせている。

 ん-それ、悪手だと思うよ?

 だってアンタ、シュトルムより強くはないんでしょ?

 ま、いいや。

 んじゃ、様子見で突っ込んでみますか。


挿絵(By みてみん)


 体勢を低く、タックルする感じで、剣を地面に這わせる感じで、ダッシュを掛けてみる。

 予想通り、地面をえぐるような下段突きが飛んできた。

 右にかわすと、ステップを踏んで追尾してくる。

 さらにかわしつつ、右足を伸ばして地面を掴むように蹴飛ばして回避キャンセル。

 こっちが踏みとどまったのに合わせてきた、打ち下ろしの下段切りに合わせて、こっちも貯めた力を解放するみたいに斬り上げる。

 がっつり噛み合った模擬剣同士。力は互角。

 まあ、下側のあたしが抑えきれてるから、本来の力はあたしが上かな?

 剣を合わせたまま、下にスライディング。

 バランスが崩れて、たたらを踏むお相手。下から支えてたのが、急にいなくなったからね。

 あたしは剣を捨てて、そのままお相手の腰の辺りに組みついた。

「う、うおっ……」

 剣士は、こうなっちゃうと無力よね。剣を手放さないなら、このまま決めちゃう……

 お相手、潔く剣を捨てて、片手であたしの髪の毛を掴みに来た。

 もう一方の手はあたしの肩を掴み、引きはがしに来る。

 あたしは足を相手に回し、絡めて、バランスを崩させにかかる。

 うわぁ、片足で踏ん張ってる、踏ん張ってるねぇ。

 マイアミあたりだと、こらえきれないで倒れちゃうんだけどね。

 あたしの髪の毛を掴んでるんで、それでバランスとってるのか。やるねえ。

 絡めた足を解いて、両足で地面を踏みしめる。

 パワー全開、よいしょお!

 お相手を、身体ごとそのまま持ち上げた。

「お、おおぉ!」

 身体を掴んだまま大きく揺さぶってこられたけど、何とか耐える。

 髪の毛を放してくれないので、そのまま自分の身体ごと、お相手を下にして地面に飛び込んだ。

 ぐぬうとか聞こえたけど。

 あ、やっと髪の毛を放してくれた。

 お相手の足首を掴んで、あたしの両足に相手の片足を絡めて。

 肘を支点にして関節と逆向きに締め上げる。

 通称、アンクル・ロック。完全に極まってるでしょ?

「こ、こんなことで……」

 お、意地張ってるね。結構痛いと思うけどね?

 だってこれ、関節技だもん。

 いくら鎧で覆っていても、そんなの関係ないからね。

「ふーん、じゃあこれはどう?」

 そのままあたしが身体をねじると。

 耐えきれずに転がるお相手。

 そのまま3回転くらい、思う存分に身体を回してやる。

 なすすべもなく、ゴロゴロと転がるお相手。

 アマチュアのレスリングなら、試合終了。

 身体を自在に支配(コントロール)されちゃってるもんね。

「わ、分かった、降参する……」

 ウフフ、アンタ、なかなか良かったわよ。

 とっとと立ち上がって、手を差し伸べてやる。

 少し、悔しそうな顔。こういうのを見るのも、好きなんだよねぇ。

「お前、英雄だとか言われてるけど、ほんとはズルイだろう」

 へ? なんで?

「そんな恰好で組み打ちしてくるとか、普通は思わンぞ」

 あぁ、制服のこと?

 可愛いでしょ?

「しかも無茶苦茶強いって、どうなってるんだよ……」

「なんでもありなら、そうそう負けないわよ。剣技限定だと、本職(プロ)には敵わないけどね?」

 自分でも、もう少しイイ言葉ないかなぁと思いながら、慰めにもならないことを言ってみる。

「いや、負けは負けだ。団長に、そう伝えておく」

 司令官に、負けたーって泣き付いちゃうのね?

「団長は鬼だからな。あの人、本当に鬼だからな」

 なぜか嬉しそうに、お相手が言う。

 周囲の騎士たちも、ウンウンと深く頷いている。

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