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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移二十八日目っ! ~ みーよが、大聖女に!

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222/248

222.「お帰りなさいませ、聖女様、付き人様」

挿絵(By みてみん)


 暗くなってきたんで、城に戻る。

 内郭の門を守護しているポートビリアの兵士たち4人が、最敬礼して出迎えてくれた。

 上流階級の人たちが暮らす内郭部分は、激しい戦なんか無かったかのように、平和だった。でも、ちょっと前までは、持ち堪えられるか、ギリギリだったんだと思う。

 逃げ出せている人は、とうに逃げ出していると思うんだけど。

 残っている人たちは、それなりに覚悟して住み続けていたのかしらん。

 深々と頭を下げていく住民たちに手を振りながら、あたしとみーよは領主の館へ歩みを進めた。


 館に入ると、執事さんかな? な、背筋をしゃんと伸ばした老人と、メイド服の、様々な年齢の女性たちが4人、出迎えてくれた。

「お帰りなさいませ、聖女様、付き人様」

 うわぁ、なんか照れるわ、こういうの。

 みーよは平気みたいね。そりゃアンタは生粋のお嬢様だけどさ。

「新しい領主さまが、夕食を共に取られるよう、招待しております」

「お受け致します。案内を」

「はっ」

 恭しく頭を下げられ、執事に案内される。

 あたし、ちょっと前まで、女神ちゃんの教会の談話室の長机でビール飲んでぐだぐだして、みんなが揃ったらガシガシとパンとスープ飲み食いして、たまにお肉をたらふく平らげてたんだけどね。

 領主のご家族って、普段からこんな優雅な暮らし、してるんだねぇ。

 案内されたのは、渡り廊下を通る、中庭にある守護結石の塔じゃなかった。

 入口の右寄りにある大きな廊下を通り、向かいの階段を二階に上がり、来た方向にちょっと戻った処にある部屋だった。

 とても長いテーブルと椅子のセットが4列。

 その奥に、横向きに長いテーブル。この上には白いテーブルクロス。布が高価品のこの世界においては、かなりのぜいたく品だと思う。特別席扱い?

 縦のテーブル席の半分位が、すでに参加者で埋まっている。思い思いに、彼らは何か話をしている。あたしたちが来たから注目する、ということは無いみたいね。

 奥の横のテーブルは、まだ誰も座っていない。

 で、そっちに案内された。なにこれ、あたしたち、主賓扱い?

 すぐにメイドさんが寄ってきて、何か軽く飲まれますか? だって。

 んじゃ、ワインをよろしく。

 みーよも、同じものだそうです。

 運ばれてきた食器は、銀製の皿に盛られたチーズと干し肉。

 ゴブレットも、銀製だね。

 一口飲んでみると、美味しい。すごく美味しい。いいワインだね、これ。

 ほどなく、司令官や副官、取り巻き4人、ポートビリアの防衛隊長、行政長官代理、商工会会長もやってきた。

 横ならびに、あたしたちも入れて11人。

 メイドさんたちがテキパキと、ワインとおつまみを運んでくる。

 その間に、縦列のテーブル席も、どんどん人が入ってきて、埋まっていく。

 これ、もしかして皇龍公国の騎士団の集まりなんじゃないの?

 あたしたち、場違いみたいだけど?

 司令官が立ち上がると、皆、それに合わせて立ち上がった。

 手にはワインの入ったゴブレット。

「オーク軍を撃退し、街を救うことが出来たのは、皆の奮戦のおかげである。今宵、ささやかではあるが、宴を用意した。英気を養い、明日からの任務に備えて欲しい。

 では、乾杯(アズラエール)!」

「乾杯(アズラエール)!」

「乾杯(アズラエール)!」

 短いスピーチの後、皆で一斉にワインを飲み干す。

 各自、思い思いに座り、ワインの入った壺を互いに注ぎ合い、おつまみを摘まんでいると、メイドさんがパンの入った籠とスープやエールの入った器をどんどん持ってくる。

 最初にセットしない方針らしい。それはそれで大変そうだけど。

 で、あたしたちの方にも、専属のメイドさんが4人がかりでお世話だね。

 すぐに食事が並べられる。

 お肉もきた。すでに切り分けられている。何かのソースが掛かっているみたいね。湯気が立っていて、美味しそう!

 一応、司令官をチラ見。多分だけど、一番偉い人が食べ始めないと、手を付けたらダメなんでしょ?

 ん? 関係ないみたい。来た順に食べ始めてるね。

 どうも、この騎士団、そういうマナーみたいなもんはあまり関係ないみたいね。統率は取れているけど、速さと合理性を重視してるのかしらん。

 なら、食べてもいいのね、頂きます、とかぶりつく。

 うん、旨い!

 ねっとりと絡んだソースに、スパイスが効いている。オラクルでは、こういうスパイスの利いた料理は食べたことがない。あって、岩塩くらいだね。

 ソースが掛かっている料理を食べるのも、初めてかもね。ちゃんとした料理人がいるんだね。

 その後も、新鮮なお野菜や果物、そして多分、ジャムやマーマレードといった、オラクルではお目にかかれないものが出てきた。

 砂糖が高いらしく、こういう加工品は見たことないんだよね。

 まあ、肉料理に甘いジャム入りパンは、食べ合わせとしてはどうなの? と思うけど。

 でも、皆、美味しそうに食べてるから、まあいいんじゃない?

 ワインが甘めで、ソースも若干甘めなので、意外に味の調和は取れてる気はする。そこにスパイスの刺激が入るんで、現代人のあたしは違和感を覚えるだけなんだと思う。慣れると、結構いい感じになる。

 一通り、食事が振る舞われ、食べる人はお代わりを頼んでいるみたい。

 あたしもメイドさんに肉とパンとスープとエールと果物とサラダのお代わりをお願いする。あ、このジャムも追加で。

 ワインは、黙ってても壺で持ってきてくれる。

 何杯目だろう、ワインを飲み干して。

 周囲を観察すると、司令官や副官の前に人だかり。配下の部下たちだねぇ。

 司令官自らワインを部下たちに注いで回って、もう一回、カンパーイ、だって。

 いや、あの時のお前の勇敢さがどうとか、お前の剣捌きがどうとか、一人一人に声を掛けては、笑ったり褒めたりしている。

 マメな人だねぇ。

 あたしはそういうの、苦手なんで。

 やってきたお代わりの料理を食べるのに専念するわ。ホント、お腹空いてたんだよね。

「郁ちゃん、まだ食べる?」

「ん、もうちょい」

 噛みちぎった肉を飲み込んで、みーよに応える。

「顔見せは十分なので、引き上げても良さそう」

「この夕食会って、顔見せを兼ねてるのね?」

「騎士団の規模は、大体3000人。参加者は殆どが100人隊長クラスね。

 わたしたちやポートビリアの行政官たちの顔を覚えさせるには、ちょうどいい機会なのよ」

 まあ、隊長さんたちは、重要人物の顔を覚えておかないとダメだろうね。

「部屋に戻ったら、現代食をなんか出してくれるんでしょ」

「足りなさそうな顔してるもんね。分かった」

 そんなにお腹空いてる顔してるかな?

 二人して司令官たちの所に行き、退出許可を貰う。

 そのまま行政官たちにも挨拶して、部屋を出た。

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