221.随分、信用されたもんだね
あたしとみーよ、司令官と副官、防衛隊長と行政長官代理で、壊されてる外郭の正門の所へ。
司令官の取り巻きたちは、先に外の野営地に戻って、それぞれの配下の野営撤収を指示している様子。先にそうなると分かっていたみたいで、撤収が速い。
商工会会長は、入城してくる軍の宿舎の手配で別行動みたいね。
まもなく、4列に並んで整然と隊列を組んで入城してくる騎士たち。先頭の騎士は、二頭の竜が絡み合い、その中央に剣が刺さっている、多分、皇龍公国の軍旗なんだろうね、それを掲げている。
見守る市民たちも不安そうだったけど。
みーよが杖を大きく掲げて、光の祝福を騎士たちに降らせていくと。
少し、安心したみたい。
その間、あたしは周囲を警戒。みーよが暗殺されると、いよいよもって守護結石の守護者不在で、都市の住民が寄る辺を失うのだとか。
そんな、暗殺者に狙われるような立場に、好きでなってるわけじゃないと思うけど。
自分がやらなきゃダメだって、みーよは分かってるんだろうね。
じゃあ、あたしは付き合うしかないじゃん?
最後の隊列が通過し、みーよが杖を下ろした。
そのまま、二人で被害にあった街の様子を、歩いて見て回る。
司令官、あたしたちには監視も護衛も必要ないと判断したらしい。
というか、逃げ出したりしないと思っているみたいね。
随分、信用されたもんだね。
ま、隷属の首輪があるから問題ないという事なんだろうね。
でもさ、あたしたちがスパイだとか、思ったりしないのかなぁ?
……考えすぎか。
で、改めて正門を見ると、門は焼かれていて、所々に血の跡もにじんでいるね。
さすがに遺骸は全て処理されているけど、壊されたり焼け焦げたりしている建物も、とても多い。
この辺の区画一帯は、ほとんどがそんな状態だった。ここに住んでいる人たちは、避難が間に合わなかった場合は生きていないだろうね。
もともと住んでいた人たちが、戻っては来ているようだけど、茫然としていたり、泣いていたり、怒っている人もいるね。
そんな中を歩いて見て回っているあたしたちに、みんな注目している。
だいたい、遠巻きだけど。
こんな状況でも、子供というのはたくましいというか、無邪気なものらしい。4人の、カンタやリコットと同じ位の年齢かな、子供たちがあたしの方にきた。
「聖女様の、付き人なの?」
「オークの王様を、倒したの?」
「なんでそんなひらひらした格好してるの?」
「おとこみたいな顔だね」
最後の一言は聞き捨てならないので、えいやっと持ち上げた。
「生意気いうヤツは、こうだぁ!」
グルんグルん回して、ゆっくり地面においてやる。
「次は、どいつだ!」
「わー!」
散り散りに逃げ出そうとする子供たちを片っ端からとっ捕まえて、ぐるぐるの刑に処してやる。
「郁ちゃん、いくよー!」
はーい。
キャッキャと喜んでる子供たちに手を振って、さらに街の様子を見て回る。
主要な通路には、所々にバリケードが築かれている跡があり、激しい戦いの様子が垣間見えるね。
あのオークたちに、そんなものがどれほど役に立つかは分かんないけど。
まあ、無いよりはマシなんだろうね。
2時間位、歩き回ったかな。
大きな街なんで、全部は見られないけど、外郭の大体3分の1が、焼かれてしまったみたいね。
残りの部分は、普通の生活に戻りつつあるみたい。
で、そこにあった奴隷管理区画が、避難キャンプの場所になっているみたいね。奴隷と避難民が、ごちゃごちゃにされている。
ただ、ここは炊事場もあるので、食料の配給にも都合がイイらしいね。
人々が、あたしたちを不安と期待の入り混じった目で見つめている。
これからどうなるか、不安だよね。
出来ることは限られてるけど、何とかしてあげたいね。




