219.「その辺で良いか?」
守護結石が置かれている部屋を後にして、再び階下に皆で降りる。
守護者は、あの空間にずっといなければならないわけでも無いらしい。でも、何かあったら対応できるように、近くにいる方が望ましい。
そういう理由で、下にも部屋があるのね。
3つ部屋があり、守護者の居室兼寝室、さっきエロハゲたちがいた談話室、そして執務室になっている。
さっきエロハゲたちがいた談話室に全員で入ると、案の定というか、睨まれた。
どうやら、さっきの“放送”は、ここでも観られたらしい。
「お前ひとりで倒したようなことを言いおって。汚い奴だな」
言うと思った。
「仲間と一緒にって、言ったでしょ。大体、アンタがとっととトドメを刺しちゃえば済んだ話じゃないのさ。あたし、ザコの引き剥がしはキッチリやったよ?」
「やかましいわ。相手のレベルが違うだろうが」
「ソッチが言い出しておいて、何言ってんの。出来ないなら最初からあたしに任せなさいよ」
「なにをぉ」
「なによぉ」
ン、肩を叩かれる……
あ、みーよ、そんな怖い顔で睨まないで。
ため息まで、吐かれちゃった。
「ザイモン様も、あまりわたしの付き人を挑発しないで下さいませ」
「挑発などしとらん。当たり前のことが分からん奴を指導してやったまでだ」
「な、なによぉ、あたしが悪いっての?」
「気づかんのか、このデカ乳娘が」
「ふざけんなエロハゲが。アンタの頭の悪さを押し付けないでよね」
「郁ちゃん、どうどう」
両手で肩をポンポンと叩かれちゃった。
だってしょうがないでしょ、あたし、コイツ大嫌いだもん!
「その辺で良いか?」
あ、副官にそっと、たしなめられちゃった。
「ザイモン殿、パーティーのメンバーの方々、此度の優れた働きに、厚く感謝申し上げる」
司令官が、深々と頭を下げると。
取り巻きの部下たちも、同じように頭を下げた。
「い、いや、理解して貰えるなら、充分だ」
さすがに鼻白んだらしく、ちょっと戸惑い気味のエロハゲ。いい気味だわ。
「我々の立場上、公に褒章するということは出来ぬのだが、オラクルに帰られた際には、そちらの記録官の祝福の元、正式に戦歴として加えられるであろう。
こちらとしては、オークどもの戦利品の評価に色を加える事位しか出来ぬが、許して欲しい」
「いや、立場は弁えておる。心配されぬよう」
へえ、自分勝手かと思ってたけど、ちゃんとした話し方も出来るのね。
普段から、そうしなさいよ……
「鑑定もまだ済んでおらぬ故、後程、共に食事でも如何か? 戦時下故、大したものは出せぬが」
「いや、遠慮しておこう。留まるのでなければ、長居は無用。鑑定も、概算は出ているのであろう。半分だけ貰っておく。残りはコイツら物好きたちにくれてやってくれ」
「食事に毒など入れぬぞ? そのつもりであれば、とうに行っておる。
かの有名な厄震拳の武勇伝など、ぜひとも聞かせて貰いたかったのだがな」
副官が、横から口をはさんできた。司令官の事を悪く思われたって所かな?
「そういうことではない。皇龍公国の内情を、儂はよく知っているというだけの事だ」
エロハゲ、何を知ってるつもりなんだろう?
みーよがこの人たちに協力するって言ってるんだから、別に問題はないんじゃないの?
司令官が、副官を軽く手で止めた。
「そうか……あい済まぬ。貴殿とは、再び出会いたいものだな」
「そうだな。その機会は、そう遠くはないかもしれんがな」
「そうならないように、努力する」
「頼む」
なんか、意味深な話をして。
エロハゲと愛人たちとデンは、退出していった。
取り巻きの一人が、彼らに付き添っている。報酬の話をするのかな?




