218.珍しいね、みーよが照れるなんて
司令官たちの相談が終わったようで、こっちに近づいてきた。
「住民たちに、新しい大聖女のことや、今後の方針について話をしたい」
「承知しました」
みーよは守護結石に再び向かい合い、杖をかざして祈り始める。今度は跪いたりはしないんだね。
守護結石の横に、大きなスクリーンが現れる。
縦3メートル横10メートルくらい。
なにこれ?
「準備出来ました。どうぞ」
みーよが司令官に促すと、スクリーンに街の様子が映し出される。
司令官の目線で、映る風景がどんどん移動する。
街の人々が注目しているのが、よく分かる。
カメラで街の風景を映しているみたいだね。
司令官が話し始める。
「ポートビリアの諸君、拙者は皇龍公国準騎士団団長、サーリット・ド・メルボンである。この度、暫定的ではあるが、この街の統治者としての座を預からせて頂く。以前の守護結石の正規守護者が務めを放棄したため、新たなる大聖女を任命した。こちらへ」
みーよが促されて、前へ。
「オラクルで大聖女を目指す者として活動していた、ミヨと申します。この度、ポートビリアの正規守護者として任命されました。任期が終わるまでの間、よろしくお願い致します」
街の音というか、拍手みたいなものは聞こえないけど、司令官が目線で動かす風景に映る人々の反応は、そんなに悪くなさそう。拍手している動作とかは見える。
それにしても、これって、司令官やみーよの顔が街のみんなに映っているってことみたいね。
オラクルでは、こんなの見たことないよ。
「次に、聖女殿の付き人にして、オークどもの王を打ち倒した英雄を紹介する。こちらへ」
え、あたし?
まあ、流れからして、そうなるか。
「みーよの付き人。イクミ。この格好は好きで着てるから、気にしないで。一応、オラクルではオーク・キラーとして、それなりに知られているよ。オーク・キング、しぶとかったけど、仲間と一緒に何とか倒せた。これからも悪鬼どもは殺し続けるから、みんな安心してね」
ん、こんなもんでしょ。
人々の反応は、すこぶるイイね。オークどもの大軍の襲撃を受けたばかりだからね。不安でしょうがないのは、当然だよね。
だから、英雄を求めるんだね。心のよりどころとして。
話が、司令官に戻る。
「我が騎士団は、治安維持に最善を尽くす。街の住民も、我が軍の者たちも、この都市の中で殺人や強奪や強姦は一切認めない。そのような行為に関して、厳しく処罰するものである。どうか安心して、復興に当たって欲しい。以上である」
最後に、人々の様子をぐるっと見渡して。
みーよに合図すると、スクリーンが消えた。
「聖女殿、よくやってくれた。……本当に初めてなのか?」
司令官の親しみと尊敬のこもった視線に、みーよの顔と耳が少し赤くなった。
珍しいね、みーよが照れるなんて。いつもは自然に受け流すのにね。
なによ、こういうイケおじタイプがアンタの好みなの?




