↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移二十七日目っ! ~ ポートビリア救出作戦っ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

211/248

211.みーよの声が、遠いなぁ。

 デンが戻ってきた。

「キングの居場所が分かった」

「よし、よくやった。ゆっくり、見つからんように、近づくぞ」

 また指図して……

 ま、いっか。しょうがないもんね。

 周囲に気が回らない、可哀想な人なんだもんね。

「おっけー」

 エロハゲ、なんか言いたそうだけど、ナニカを押し殺してるね。

 よく分かんないけど、なんか、いい気分だわ。

 オークの歩哨のいない所に、そろそろと車を進めていくと。

 空が暗くなった。

 雲が集まり、その中心が明るく光っている。

 星落としだ。

「この車に、直撃しないんでしょうね」

「マクロンは、そんなヘマはしない」

 デンに言われたけど、そんなの分かんないでしょ?

 と、街からもあたしたちからも、少し離れた処に、閃光が走り、轟音が鳴り響いた!

 でも、同時に直撃地に黒いモヤのようなものも発生している。

「いるとは思っていたが、厄介だな」

「なによ、あれ」

 エロハゲなんかに聞きたくないけど、聞かないとダメだね。

「邪神に仕える、オークのハイ・プリーストがいる。闇のアドバンス・プロテクションで、本営への直撃を防ぎおった」

 へえ、そんなのいるんだ。

「デン、本営はあそこか?」

「そう」

「聖女ミヨ、ハイ・プリーストを抑え込めるか」

「くるま……“馬車”を維持しなくて良いなら、やれると思います」

「それでいい。ベラ、布迷彩を切って聖女ミヨに付け」

「承知しました」

「イクミ、全開で突入。今なら奴らの探知結界は効かない」

「おっけー」

 今度こそ、アクセルフルスロットル。

 見つかる危険は無視して、モクモクと湧き上がる黒いモヤ目がけて、全速で突入した。

 すぐに、モヤの中に突入。

 何かにぶつかるかもしれないけど、カンを働かせたんで、多分かわせている。なにぶん、前が何も見えないのよね。

 ま、こういうのは、度胸よ。

 そのまま黒いモヤを突破すると。

 何台かの大きな馬車と、それを引く地竜が待機している陣営。

 その奥が騒がしい。

 あの中だね。隙間は、あるね。

「突っ込むよ!」

「その時点で、馬車を消します!」

 軽くドリフトさせて減速。

 勢いはそのまま、地竜の間をすり抜けて、横向き気味にトラックを突っ込ませた。これで、すぐ出られるね。

 ドアを蹴飛ばし、周囲の気配を探りながら飛び出す。

 背後にデン。

 車の反対側に、エロハゲの気配。ネコ娘も一緒だ。

 車が消える前に、攪乱と先制攻撃だね。

「人間どもがぁ!」

 デカい声。言葉が通じる。共通語(コモン)だ。

 その声に向かって走りながら周囲をさらに観察。

 中心の声の主が、多分オーク・キング。

 大きな椅子に座っていたのが、立ち上がった。

 ざっと、身長3メートル、体重200キロ超え。

 全身を、大きな鱗のような素材(スケイル・)で作られた鎧(メイル)で覆っている。

 兜はかぶっていない。代わりに、色とりどりの宝石で飾り付けられた金色の王冠(クラウン)。

 手にはゴツイ手甲(ガントレット)。脚にも立派な具足(グリーブ)。

 弱点は頭だね。

 ま、最初からあたしが仕留めなければならないわけじゃない。

 とりあえず、本命のエロハゲが来る前のご挨拶っと。

 片手でスリングと石3つ。

 走りながら全部セット。3回転させてフルスロットル。

 キングの顔に目がけて、全弾射出!

 石はすべて、途中で目に見えない障壁にぶつかって砕け散った。

 見たことある。聖女の聖戦の時、こんな感じだった。

 障壁を発動したのは、左横にいる背が高くて細身のオーク・プリーストだね。灰色と赤銅の入り混じった、長いローブに身を包み、禍々しい炎が宿る杖を掲げている。

 周辺の近衛オークは8匹。全員、コマンダークラス。ジェネラルは、いなさそう。

 先にコイツらを片付けるか。

 そのままキングに向かって走り寄ると見せかけて。

 あたしの突進を塞ごうとするオーク・コマンダーに、急転換して取りついた。

 何か言いかけたけど、聞かない。

 上半身に張り付いたまま、アギト・ナイフを首筋に這わせた。

 代わりにあたしの左腕に噛みつかれたけど、ガードグローブごしなんで、大したことは無い。

 蹴飛ばすように反対側に飛んで、もう一匹の目の辺りを斬りつける。

 地面に着地。

 殺気!

 反対側に転がってかわしたその直後を、オーク・キングの大矛が薙ぎ払っていく。

 あぶなっ!

 コイツ、強い。

 長くて大きな大矛を、こんなに軽々と正確に振り回せるのか。

 ん、こっちを見られた。なんでかわせる? とか、思われたかな?

 こっちも睨み返してやる。ザコを片付けたら、お前も殺してやるよ。

 と、キング、別の方向に大矛を振り回す。

 エロハゲが奇襲を掛けようとしたんだ。察知して振り払っている。

 そのスキに、ネコ娘が背中に取りついた。アンタ、どこから現れたの?!

 いや、んなもん見てる場合じゃない。あたしはあたしの仕事をしなきゃ。

 オーク・コマンダーをあと6匹、ハイ・プリーストが一匹ね。

 あたしが傷を負わせた奴は、デンが止めを刺してるらしいので、背中は気にしなくていい。こりゃいいわ。

 エロハゲを止めるために、周囲から迫ろうとしているコマンダーに突進。

 スリングセット、石は後2個、一個セットして、精密射撃。

 兜に当たって、気を逸らせた。

 そう、アンタの相手はこっちよ。エロハゲの邪魔しないでね。

 向き合って、シミターを振るってくるけど、読みやすいわ。

 左下に転がってかわし、振られた腕越しに、睨み合う。

 居合の要領で、跳び上がりながらアギト・ナイフを一閃!

 首から顎のあたりを掠めた。

 左脚をヤツの腕に引っ掛けて、身体をヤツの身体に、背中側に引き付ける。

 取りついた。

 暴れる頭を抑え込んで、今度ははっきりと、兜と首の隙間にアギト・ナイフを差し込んでやった。

「3匹目っと」

 とどめはデンに任せて、次の獲物を探す。

 みーよがオーク・ハイ・プリーストと相対している。

 お互いに杖を向け合い、みーよは光を、オークプリは闇のモヤモヤを先端に集めている。

 その側に、コマンダーが2匹。

 もう1匹はどこ行った?

 あ、布エルフが相手してるのか。

 右腕に布が絡みついて、近寄れないみたいね。

 任せていいかな?

 あたしはオークプリに向かってダッシュ!

 気付かれて、コマンダー2匹が迎撃態勢。

「デン、どっちか足止め」

「分かった」

 デンが、あたしを追い抜いて(コイツ本当に足が速い)、一匹に正面から向かって行った。

 あたしも、もう一匹の方へ向かう。

 怯んでる。なら!

 かわすそぶりもないまま、真正面から飛び込んだ。

 ふん、曲刀位、ちゃんと振るいなさいよ。

 抱き付くように跳びついて、キスでもするみたいに顔と顔が向き合う。

 明らかな怯えの顔。

 次の瞬間、顎下から頭に掛けて、アギト・ナイフを下から突き入れてやった。

 即座に怯えオークを捨て去り、デンの方に向かう。

 大ナタの二刀流で、デンを追い回していたオークコマンド。

 あたしに気が付き、こっちにナタを振るってきたけど。

 アギト・ナイフの背で受け流して、そのまま突き刺す振りをすると、後ろに下がった。

 その背後に、首筋にデンが取り付いた。

 首と肩を振ってデンを振り落とそうとする二(に)ナタ流。(だって、刀じゃないもん)

 そのスキにあたしも跳びついて、ヤツの頭を抱えながら、右の目にアギトナイフを突き刺す。

 暴れるんでしょ、さっさと飛び降りる。

 デンには、まきこまれるとか、離れてとか、言わなくてもいい。

 あたしたち、随分と息が合うようになってきたね。

 倒れたコマンダーに、デンがトドメ。

 あたしも、もう一匹の方にトドメ。

 これで近衛コマンダーは、ほぼ全滅かな?

 あとはキングとオークプリのみ。

 ただし、増援はすぐ来るよね。

 エロハゲと猫娘は、まだキングと戦闘中。互いに傷を負ってる感じ。

 オーク・プリがキングを援護しようとしてるけど、みーよがとどめている。

 布エルフはコマンダーを抑え込んでいるね。

 どうも、近衛兵のリーダーらしい。放置はダメだと思う。

「デン、あっちの布の方。あたしはエロハゲに加勢する」

 デンが頷いて、走り出す。

 さて、エロハゲ。

 偉そうな事言ってた割に、苦戦してるんじゃないの?

 あたしの出番だね!

「来るな! 黙って見てろ!」

 あら、頭と左腕から血が流れている割に、元気ねエロハゲ。

「ザコは片づけた。コイツを倒さないと意味ないんでしょ!」

 と、会話に割り込んでくるオーク・キング。

「女か! 都合が良いわ!」

 きれいな共通語で、偉そうに巨体をゆすってこっちを睨む。

 なによ、女だからなんだっていうのよ?

 と。

 ヤツの目がギラリと光った!

 ガンの飛ばし合いなら負けないと、まともに睨み返したあたしの。

 あたしの心の中に、何かが入ろうとしている!


 オマエハ オレノモノダ シタガエ


 何かの精神魔法(カースド・マジック)だ。それ、青の教会で散々出逢ってきたよ。

“あたしは、イイ男じゃないと受け入れないもんね”

 気を強く持って、弾き返す。

 自我抵抗(レジスト)って、アオイが言ってた。

 そうか、オークめ、こういうので女性たちを支配し始めるのか。

 許せん! 女の敵め!

 そのまま突っ込もうとしたけど、キングの大矛がスゴイ勢いで振り回される!

 危なくかわす。ホントに強いな。

 こりゃ、まともに受けたらダメだ。受け流せるかも、自信がない。

 近づかないと話にならないけど、これは厳しいかも。

「エロハゲ、隙を作って! 飛び込む!」

「儂に指図するな!」

 うっさいわよ、強い方が指図するに決まってるでしょ!

 ああ、コイツ使えないな。

 オークプリを先に殺って、みーよに祝福(ブレス)貰うか。

「ダメなら足止めしてて。使えん奴め」

「やかましい!」

 そんだけ叫べる元気があるなら、なんとかしなさいよね。

 護衛を全部潰されたオークプリ。あたしが突進してくるのにビビっている。

 闇の障壁? みたいに、全身を黒いモヤで覆い始めた。

 これ、物理で壊せるんだっけ?

「郁ちゃん、祝福(ブレス)掛ける!」

 オークプリを抑え込む手が空いたってことね?

 みーよが跪き、杖を掲げる。

「光の女神アーリューシャイン様、どうか我が付き人に、光の奇跡を纏わせたまえ、シャイン・ブレス!」

 あたしの手足に、光がまとわりつく。

 あ、腕と、肩にも?

 光の祝福が、増えてるね。

 サンキュー女神ちゃん。やるねぇ。

 脚はロケットブースターをイメージ。

 手は愛用のフィールドパンチAP。

 腕はビームシールドS、いけるかな? ダメか。

 肩はフィンファンネル、こっちもダメ。

 予算の不足かな?

 じゃあ、腕はいらないから、全部肩で。

 両肩も無理なんで、片方だけに光を集中!

 えー無理なのぉ?!

 女神ちゃん、使えん奴め!

 んじゃ、ダメもとでファイヤーバードアタックシステム。あれ、疑似だけど空飛べるし。

 あ、こっちはオッケーみたい。

 火の鳥、この世界と親和性が高いからとか?

 足のロケットブースターと合わせて、機動力が凄いね。

 速く動けすぎかなぁ?

 いや大丈夫。あたし、天才だし!

 フィールドパンチAPに力場を注入(パワーオン)。

 足のロケットブースターも点火(イグニッション)。

 黒いモヤに包まれているオークプリ目がけて、肩のファイヤーバードブースターも起動(システム・オン)。

 足のブーストでわずかに浮き、肩のブーストで加速を付ける。

 一気に黒いモヤに向かって突撃し、衝突寸前で、両手の力場を放出!

 自分の放った力場で、身体ごと受け止められつつ、黒いモヤに阻まれて、力場が一気に圧縮される。

 足のブースターを切る。

 地面に、足が着いた。

 右脚起動、左脚を添えて、腰と背中の筋肉を、骨格を、大きな波を呼び寄せるように、うねらせる。

 その力を、流れを、滑らかに肩へ、腕へ、両手に伝えて。

「“螺鈿!”」

 一気に、圧縮されたフィールドパンチAP(にれんげき)の力場に向けて、発勁を放出する!

 黒いモヤが、一気に吹っ飛んだ!

 灰色と赤胴のローブがバタバタとはためいて、尻もちをついた、細身長身のオークプリが見える。


挿絵(By みてみん)


 身を乗り出し、腕を伸ばし、みぞおちに、刃を上向きにしたアギト・ナイフを、刺し入れる。

 自分の身体に突き入れられた刃を見つめる、オークプリ。

 あたしは、そのまま力任せに、上に向かってナイフを引き上げてやった。

 顎下の辺りまで、バッサリと斬り裂かれたオークプリは、血まみれのまま、あたしを見つめる。

 構わず、切り裂いた身体に左手を突っ込み、魔石を引きちぎるように取り出してやった。

 何か言いかけて、そのままオークプリは絶命した。

 血まみれの大きな魔石を、適当に腰袋に放り込んで。

 最後の獲物、オーク・キングを睨む。

 女神ちゃんの祝福は、まだ十分に残っている。

 あたしの発勁技は、左脚起動が後一発。でも、これを使うとあたしがモタナイね。

 あたし自身の怪我は、多分あちこちにある。でも、手足が動くうちは、問題ない。

 スタミナは、実はあまり自信ない。お腹も空いてるし。戦いが終わったら、バタンキューだね。

 ま、なんとかなるでしょ。

 ロケットブースター、再点火(リ・ブースト)。

 ファイヤーバードブースター、再起動(リ・イニング)。

 フィールドパンチAP、力場発生(パワーオン)。

 残弾、左3発、右はAP全開(にれんげき)で使ったんで、後1発。

 飛べぇ、あたし!

 きっかけで1、2歩走ると、地面を滑るような感覚。

 両肩のファイヤーバードブースターが、再びうなりを上げてジェット噴射。

 加速して真正面からオークキングに突撃する!

「貴 様 ご と き が ぁ !」

 大矛を構えて、迎え撃つ気だ。

「ファイヤーバードシステム、オン!」

 あたしの全身が強く光り、炎が湧きだしてくる!

 まさに火の鳥状態。もうこうなったら、突っ込むしかないね。

 横なぎに振るわれる大矛がまともに当たりそう。

 あたしもアギト・ナイフに力を込めて、背の部分でまともに受け止める!

 吹っ飛びそうになるけど、ファイヤーバードアタックの圧力が上だ!

 進路だけ逸らされたけど、半分以上の炎がオークキングを焼き払っていった。

 そのかわり、腕が、アギト・ナイフを持った腕が、ひどく痺れる。

 まずい、折れてるかも。

 痛くない、痛くない!

 こういうのは根性(ガッツ)で何とかするの!

「エロハゲ、とどめ刺せぇ!」

「儂に指図するなぁ!」

 わけワカランことを叫びながら、エロハゲがオーク・キングに突っ込んでいく。

「人間ごときがぁ!」

 まだ動けるのか、オーク・キング!

 大矛を再び振り回したけど。

 エロハゲが素手で受け止めた瞬間、バッキリと折れた。

 空いた手で、オークキングの脇腹に拳を当てると。

 エロハゲの身体が、大きく震えた。

「な、なにを……グ、グワッアアアアアァ!」

 オークキング、もんどりうちながら、巨体が転げまわっている。

「よくやったぁ、とどめを!」

「や、やかましいわ……」

 あれ、エロハゲ、フラフラしてんじゃん。

 なによ、力尽きてんの?

 馬鹿言ってんじゃないわよ。こっちだって満身創痍(ズタボロ)よ。

「デーン!」

「分かってる」

 風のように素早く走り寄せたデンが、オーク・キングに取りついた。

「貴様らぁ!」

 あ、デン、振り回されている腕が邪魔で近寄れないでいる。

 もしかして、アンタもどっかヤラれてんの?

 ちょっと無理そうだ。

 まだ藻掻いているオーク・キングに、あたしも走り寄る。

 くそぉ、右腕、絶対に折れてるわ。死ぬほど痛い。ホントに痛い。

 でも、こういうのは、我慢した方の勝ち。そういうもんだと自分に言い聞かせて。

 もう使い物にならない右手から、アギト・ナイフを左手に持ち替えて。

「黙って死ね!」

 掴まれるのにも構わず、キングの顔にアギト・ナイフを突き立てる。

 オーク・キングが痛がって暴れ出す。あたしもそのまま振り回されるけど、ナイフを握った手は離さない。

 さらに強く振り回されて、右腕が再び痛みだす。折れた骨同士が擦れてぶつかり合ってる感じ。爆発しそうな痛み。

 でも、死ぬのはお前だ。

 いいから、早く死んで!

 左手でナイフをぐりぐりと突き立てて、ついでにまだ弾(フォース)が残っているフィールドパンチAPを2連撃、ナイフの上から叩き込んでやる。

 力場の圧力をモロに受けて、オーク・キングの顔面がぐしゃりと歪んだ。

「があ、あ……」

 これを喰らっても、まだ生きてんの?

 なんて、しぶとい!

 それなら、女神ちゃんの祝福、全部変換して。

 左肩にトリニティ・ビットをイメージ。

 あたしの両腕が塞がっているなら、第3の腕を創り出すまで。

 歯医者さんのドリル、とくと味わうといい!

 キングの魔石の辺りに、ドリルビットを突っ込ませる。

 鎧をいとも簡単に貫通し、大きな穴を開けながら突き進むビット。

「や、やめええろおおお!」

 知るかそんな命乞い、黙って死ね!

 やがて、魔石の部分に到達したらしい。

 ビットを引き抜き、顔面に深く突き刺さっているアギト・ナイフを手放した左手を、ビットが空けた穴に突っ込んで、魔石を引っこ抜いてやった。ざまあみろ。

 オークキングのデカイ身体が、ブルブルと痙攣する。

 あたしはヤツの身体から盛大に噴き出してくる血しぶきを全身でたっぷり浴びながら、大きな魔石を腰袋に乱雑に突っ込んだ。

 アギト・ナイフを引き抜いて収納し。

 フラフラと立ち上がって、周囲を見回す。

 お、ついでに戦利品で、キングの王冠も貰っておいてやるわ。

 被ってみたけど、サイズが大きすぎ。

 頭に収まらず、そのまま肩に引っ掛かっちゃった。ヘヘヘ。

「お、お前……」

 何よ、エロハゲ。

 お望み通り、オークキングをぶっ倒してやったよ。ざまぁみやがれ……

「郁ちゃん!」

 みーよの声が、遠いなぁ。

 なんか、痛くて痛くて、フラフラと倒れたいのに、倒れられないや。

 ん、これは、ダメかも……

 こ、根性……


 意識が、途切れた。



                         (つづくっ!)


挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。