209.アンタらならうまくやると思ってるけど
そうと決まれば、フルスロットル。
と、行きたいんだけど、ね。
オークの歩哨をかわしながら、コッソリと本陣に接近したいんだけど。
どうも、向こうにも、こっちの大まかな位置はバレてるみたいなんだよね。星落としの準備中の魔力を、検知されちゃうらしいんだわ。
そしてこの迷彩、車の姿は見えないけど、音は消せないらしい。
みーよは消音の奇跡を使えるけど、そうするとこっちも音が聞こえなくなるので、それは出来れば避けたい。
なので、スピードが出せない。大きな音がしちゃうからね。
あと、タイヤの跡は消せないので、何かが通ったというのはすぐに分かる。
だから、一度気づかれちゃうと、車の周辺にオークどもが集まってくるでしょうね。
「ボチボチ、限界だと思う。いくら透明でも、触られると見つかるんでしょ」
「そうだな。ここで降ろしてくれ」
シュトルムの言葉に、車を止める。
エロエルフが透明化している布を広げて、荷台からエロハゲや猫娘、デンが降りてくる。
先に降りたシュトルムたちのスペースに、乗り込んできた。
デンがあたしの隣に。助手席にはみーよ。
後部座席は猫娘と布エルフ、そして愛人たちに挟まれるのがエロハゲだね。
「オークどもを、なるべくここに引き付ける。健闘を願っている」
「任せろ」
シュトルムとエロハゲが言葉を交わし、あたしは車をゆっくり走らせる。
と、クチュクチュが飛び出していく。
透明化が解けたけど、身体が小さいのですぐには見つからない。
離れた処で、破裂音!
音を鳴らしながら、どんどん移動。
オークたちが注目する。
「今だ!」
シュトルムたちが、逆の方向に走り始めた。
何する気?
と、ヴァラミンが杖を高く掲げた。
大地が、隆起し始めている?!
直径10メートル程の円柱状に、どんどんせり上がっていき、高さも5、6、どんどん高くなって、10メートル程にまで持ち上がっていった。
音を鳴らしながら走っていたクチュクチュが、オークたちに追われながら、今しがた造られた円柱の上に、鉤付きの細いロープを投げる。
そのまま身軽によじ登っていき、高い所からパンパンと音を鳴らした。
「うわぁ、やるねぇ」
連係プレイに見とれていると。
「出せ」
嫌な声。
「アンタが指図しないでよ」
周囲にオークどもはいない。みんなクチュクチュたちが引き付けてくれた。
サイドミラー越しに、高い円柱を壊そうと群がってくるオークどもと、弓矢で応戦しているシュトルムを確認して。
なるべく音を出さないように、慎重に運転する。
アンタらならうまくやると思ってるけど。
死なないでね。




