202.……ごもっとも、です
で。
弓持ち男が近づいてくる。
どっかで見たんだよね。話もした。オーク軍の討伐の時だ。
C級冒険者のレンブレンだ。あたしらがオークの小隊を壊滅させた後、追撃してた。全部終わった後、ギルマスから表彰されてたよ。
小柄な女性の方は、チリチリだったっけ。精霊術士だったと思う。
「命を救われた。礼を言う。さすが、オーク・キラーだ」
つば広の、羽根飾りがついた帽子を取って、お礼を言われちゃった。
「そっちの獲物を奪っちゃってるかもって、心配したよ」
「チリチリが霊力を使い果たしたんだ。身を潜めてやり過ごそうとも思ったんだがな」
「他に手なんか無いでしょ?」
「奴ら、そのまま周辺の村々を襲撃するつもりだった」
それで、無理を承知で戦ってたの?
「無茶しないでよね」
「粘っていれば、村人たちが誰かに知らせてくれる。どうしようもなくなったら、最後の逃走手段は残してある」
へえ、さすがだね。安全は確保済みか。
「お疲れ様です。お怪我は?」
「聖女ミヨ、礼を言う。私は大丈夫だ。だが、チリチリが、もう立っていられない」
「宜しければ、わたくしの“馬車”で休ませませんか?」
「ああ、頼む」
馬車か。うん、確かにこの世界の人たちにとっては“馬車”だね。
レンブレンが彼女を抱えて、車の後部座席に乗せている。
何事か話しているね。
その間に、あたしとシュランでオークの魔石を回収する。
こらシュラン、何よそのへっぴり腰は。バッサリやりなさいよ。
あ、教わってないって?
まぁそりゃそうだけどさ。
あら、レンブレンがシュランの元へ。
やり方を教えている。いいとこあるじゃん。
回収おしまい。
みーよが光の奇跡でオークどもの死骸を浄化。
残った戦利品は女神さまへ奉納。
ぐふふ、意外な所でぼろもうけね。
で、レンブレンが、自分たちが獲った獲物を回収したい、頼めるか、だってさ。
お安い御用よ。何処に置いたの?
車の助手席に乗って貰って回収作業。シュランは真ん中の席ね。
後ろは、みーよと眠っているチリチリだね。
移動。
藪の中に、大きな水の塊?
その中に、成獣の雌鹿さんが2頭、水中を漂っている。
雌鶏ほどの大きさの野鳥も3羽。
ウサギも2羽。
「すごいね。これ全部、レンブレンが獲ったの?」
「まあな。だが、チリチリがいなければ回収できない。助かったよ」
そう言ってレンブレンは、水の中に手を突っ込んで、中から獲物たちを取り出していく。
「こうしておけばニオイは漏れない。見つからなければ、他の野獣には横取りされないだろう?」
そりゃそうだけどさ。そもそも、この水球って、なに?
普通の人はできないんだけど。
そう言ったら。
お前たちの、この“馬車”こそ、なんだ?
さすが“やりたい放題”だな、って返された。
……ごもっとも、です。




