203.あら、何照れてるのよ。こういうのは、ノリが大事なの!
獲物を荷台に全部放り込んで。
上からみーよが、光の奇跡で幌をかぶせて。
あたしとシュランで、ロープで固定する。
さ、オラクルに帰ろう。
結構暗くなってきたんで、照明灯を全開。
この車、多少の悪路なんかビクともしないね。スゴク気に入ったわ。
20分ほどで、街の正門に到着。
門番、もう騒ぐこともなく、中に入れてくれた。
徐行しながら、大通りを進む。
街の人たちの好奇の目がどんどん刺さるけど、気にしないもん。
冒険者ギルドに乗りつけて、脇の搬入口? にバックで車を入れる。
中から出てきた解体職人たちの、興味津々な顔を見ながら、あたしとシュランで幌を剥がす。
お、興味が獲物の方に移ったね。さすが仕事人。
手分けして、中に運び込む。
車はちょっとずらして。
レンブレンが眠っているチリチリを抱えて、みーよも降りて。
車のロックは、指紋認証、じゃないね。音声かな?
「ロック」
口に出したら、ガシャっと閉まる音がした。便利ねぇ。
そのままギルドの中へ。
受付嬢がレンブレンを案内し、チリチリを奥の部屋に連れていく。
その間に、みーよがカウンターに、戦利品を並べていった。
隊長オークのシミター、鉄の丸盾、大きな皮鎧、鉄のヘルメット。
ガントレットやブーツは、アイツら最初から持ってないんだよね。そういう細かい加工技術は持ってないのか、そもそも発想が無いのか。
で、オークの魔石が、そのまま討伐証明だね。
うん、大漁。
職員たちが手分けして鑑定。
レンブレンも戻ってきたね。
シミターは金貨3枚。オーク・アグフの時は金貨5枚だったから、あまりいい品質じゃないんだね。
予備武器の短剣と小物を合わせて、金貨1枚。
盾は金貨2枚。皮鎧は金貨2枚、ヘルメットは金貨2枚。シュランに買った防具は大体金貨1枚だったから、ほぼ倍の買取だね。
隊長オークの魔石は金貨5枚。コマンダーほどじゃないけど、結構なお値段だね。
オークの魔石の価値=武装とほぼ同じと思ってたけど、コイツは実力の割にはイイ武装を持っていたことになる。
隊長オーク、金貨15枚。オーク・アグフの半分か。
で、部下のザコオークが4匹。
魔石が1匹に付き金貨1枚。合計4枚。
大ナタが4本で合計金貨2枚。
予備武器のぼろい短剣が4本で合計金貨1枚。
全部合わせて、金貨7枚。
隊長オークの分と合わせて、金貨22枚だね。
オーク・アグフの分隊んときは、大金貨3枚。金貨30枚ってことだから。
無茶苦茶、お金になるじゃん。
「郁ちゃん、レンブレンさんと山分けだからね?」
……あ、そっか。でも、まあいいや。
そのレンブレンさんは、自分らは仕留めてはいないから、と遠慮したけど。
うん、身の危険を冒して、足止めしてくれたからだよね。
色んな意味で、感謝しかないよ。
で、22枚分を等分して、金貨11枚を受け取った。
あたしらの稼ぎから1枚をギルドの酒場に渡して、みんなのエール飲み放題にした!
大きな稼ぎのお相伴に、みんな大喜びだね。
「光の女神アーリューシャイン様に!」
「“やりたい放題”に!」
「オラクルに肉をもたらすレンブレンとチリチリに!」
「期待のルーキー、冒険者シュランに!」
あら、何照れてるのよ。こういうのは、ノリが大事なの!
「アズラエール!(乾杯!)」
ぐわぁーと飲み干して。
あたしらは、そのまま車で教会に帰る……
飲酒運転?
こんなもんであたしが酔う訳ないでしょ?
一滴でもダメ?
知ーるーかー
あ、みーよ、車を奇跡で消しちゃった。
歩きで帰るの? ケチねぇ。
ダメったらダメなのか。そうか、しょぼん……




