200.ギルマスも、色々考えてるんだね
みんなに見送られて、冒険者ギルドへ。
夜はともかく、日中では街の中で車は使えないので、徒歩だね。
ギルドの中は、朝の依頼争奪戦が一段落ついたところで、落ち着きを取り戻している。
幾人かの冒険者が、あたしらを見て、オッという顔をしている。
残された依頼書の中に、お目当てがあったね。
ポートビリアより支援要請
詳細は受付へ
まだ細かい事は決まってないみたい。
取りあえず、昨日、村々を回った分の依頼達成報告を提出。
受付嬢、あたしらを見て、二階へ行くように勧める。
特別待遇、ドーモ。
もう勝手知ったる応接室。
どっかと腰を下ろして、ギルマスを待つ。
シュランはいいけど、マイアミ、何でアンタも一緒なの?
アンタ、当然な顔してるけど、ウチらのパーティーメンバーじゃないでしょ?
受付嬢が私の事も一緒に指定していたから、良いのだよ。
それは違うんじゃないの?
軽口を叩いてたら、ギルマスが受付嬢と一緒に来た。
紅茶を振る舞われて、受付嬢退出。
まずは、村めぐりの依頼達成の確認。お礼を言われて、報酬を渡された。
といっても、一件につき金貨1枚。どこも厳しいんだね。
3件回ったから、金貨3枚。まあ、30万円の儲け。
ロクな魔物には出会えなかったんで、そっちの稼ぎは無し。
ま、こんな街の近くで魔物の群れに出逢ったら、それはそれでマズイけどね。オノ村のゴブリンども、あれ以上増える前に潰せてよかったよ。ホブ3匹とか、結構ヤバかったわ。
今回はみーよが結界石に理力を込めただけのお仕事だから、移動の交通費と人件費で相殺だけどね。
まあ、村の事情も分かるのよ。
本来は収税と一緒に行われる巡礼で、オラクルの大聖女様が年に一回、理力を込めて下さるはずなんだけどね。
収穫の半分は普通に徴収されるのに、巡礼はして下さらない。けっこうアコギだね。
で、代わりに聖女を呼ぶにも、費用が高くつく。
なので、魔物退治と称してみーよを呼びよせて、実は魔物がいなかった。代わりに、奴らが出てこないように何とかして貰えないだろうか?
では、結界石に理力を込めておきましょうか?
それは、ありがたい!
みたいな“茶番”のお仕事だからねえ。
大っぴらにやると、謀反の兆しアリ、にされるらしい。
でも、誰かがやらないと、村々に危険が及ぶね。
その辺の事情もコミでの、冒険者ギルドからの依頼だからね。
まあ、一階の受付でする話じゃないよね。
「お前らが連れてきたポートビリアのお姫様、なかなかのやり手だな」
うん、知ってる。
「あっちの支援に、冒険者ギルドの活用とは、上手い落としどころだと思うぞ」
「それ、提案したの、わたしです」
みーよのすまし顔に、ギルマス、得心した様子。
「なるほどな。あそこの姫様が、そんなやり方を知ってるとは思わなかったが、そう言うことか」
二、三度頷いて。
「お前らはどうするんだ。行くのか?」
「少し迷っています。結界石の理力を回復させなければならない村々は、まだたくさんありますよね?」
「私で良ければ、代わりに行っても良いのだが」
マイアミが会話に割り込んでくる。なるほど、そういうつもりだったのね?
「よろしいのですか? ほとんど稼ぎにはなりませんが」
「いや、これも聖職者の勤めであろうしな」
へえ、マイアミが、ねえ。
「そのことなんだが、マイアミも含めて、街の聖女たちで手分けして行ってしまおうと考えてる」
へえ、聖女全員で?
「今年も、どうやらオラフレア様は巡礼をして下さらないらしい。実際に被害が出ている以上、ギルドとしても放ってはおけないしな」
ギルマスも、色々考えてるんだね。
「分かりました。ポートビリアへ伺いたいと思います。アーリューシャイン様は光の眷属。闇に属する者どもを滅することこそ、聖女の使命と存じておりますゆえ」
「ありがたい。ギルドとしても出来るだけの支援は行う。明日の朝には出発隊を編成したい。来てくれるか?」
「承りました」
応接室を出て、1階のホールでマイアミと打ち合わせ。
「アンタんとこは行くの?」
「オラクルで武術を教えている関係で、私は難しいと思う。ダナンも嫌がるだろうな。だが、デンはむしろ行きたがるだろう。良ければ連れて行って貰えないか? アイツはきっと役に立つ」
そうだね。それは別に構わないよ。
「報酬は、半分を経費に、残りをわたしたちとデン様の4人で分ける形になりますが、それでも宜しくて?」
みーよ、シビアな交渉だね。
「本人に聞かねばならぬが、恐らく構わないと思う」
ふーん、そういうもんなのね。




