196.領主様。初めてお会いしたわ。
領主様。初めてお会いしたわ。
三段の段差が設けられている、その一番高い位置に、固定された豪華な椅子が設置。
床はすべて、赤いカーペット敷き。
左右にはフルプレートに身を包んだ近衛騎士が6名、装飾用のハルバートを手に、直立不動の姿勢。
豪華な赤いマント。
きらびやかな宝石が所々に飾られたツヤツヤな青いお洋服。
ふくらはぎをすっぽりと覆う、ブーツ履き。
指輪は何本も嵌めてあり、その全てに宝石が付いている。
で、中身は短足中背で、身長は低めだと思う。座ってるので、ちゃんとは分からないけど、お腹が出てるね。
髪の毛はくせ毛の濃いブラウン。うっすらと髯を生やしている。伸ばす気はないらしい。
猜疑心に満ちた、鋭い目つき。
贅沢を重ねたらしい、ふっくらと垂れた頬。
唇は厚く、鼻も大きめ。
おでこが大きい。
顔つきは割と三角形タイプ。
声はいい。少し低めの、響く音。
「遠路はるばる、ようこそいらした。歓迎する」
その声に応えて、姫様がカーテシーをしながら礼を述べる。
「ポートビリア侯爵家第四子、ヘレーナで御座います。この度の謁見、誠に感謝申し上げます」
まだまだ幼いとはいえ、立派なご挨拶だね。
ちなみに、あたしたちは全員、立ったまま。
領主様は段差の上に座っているので、跪いて礼を示す必要はないらしい。
「上々である」
領主様、姫様の言葉に満足したみたいね。
「して、此度の要件とは?」
「我がポートビリアは、現在、オークの大軍に脅かされております。ぜひとも支援の程をお願い致したく、参上致しまして御座います」
あら、そんな要件だったっけ?
でもまあ、ダメもとでも頼んでみるのは悪くないかもね。
領主様、明らかに嫌な顔。
「そのようなことは、急に決められる事柄ではない」
「事態は、急を要しているのです。オークどもによってポートビリアがもし陥落すれば、次はオラクルに攻め寄せてくるでしょう」
落ち着いて、ゆっくり、でも切々と訴えるヘレーナ姫様。
へえ、こんな子供でも、大人顔負けの駆け引きとか、するんだね。
「其方は、たしか側室の娘であったな。そのような重大な案件を持ち込める立場ではないと思われるが?」
領主様、薄いひげを手で擦りながら、じっと姫様を観察。
「確かに左様で御座いますが、侯爵家と民の行く末を切に案じる心に変わりは御座いません」
おお、姫様、全然ひるんでないね。
ふむ、という顔をして。
領主様、みーよの方を見る。
「大聖女を目指す者、ミヨと言ったな。そなたの事は、最近よく耳にする。この件について、意見を述べることを許可する。何か申してみよ」
うわぁ、みーよに話を振ったよ。大丈夫なの?
「恐れながら申し上げます」
あら、準備済みなんだね。さすがみーよ。
「ヘレーナ姫様の仰ることは、正しいと思われます。しかし、オラクルの守備を手薄にするのは、領主様の御心には叶わないかと存じ上げます。
先ほどのオーク小隊を撃破したと同じように、冒険者ギルドに依頼されては如何かと存じます」
「ふむ」
領主様、少し考えた。
「よかろう。ヘレーナ姫よ、如何だろうか?」
「ありがたきお言葉に御座います」
「うむ。では、謁見は以上である」
一同、深く頭を下げた。




