190.こういうのは、貰ったものを半分返すモノなんだとか
炊き出しが終わって、後片付けしていると。
青の教会の方々が、お見えになられたわ。
おっかさん、アオイ、イーシュの3人。
何しに来たの?
あ、みーよに睨まれた。だってー
ほら、マムちんも同じように思って……ないね。
出迎えて、久しぶりだねぇとか言われてるよ。
エレナとケイトも、おっかさんの方に駆け寄っていく。
あらあらエレナ、抱き付いちゃってるよ。
ケイトもそうしたいところを、我慢してる感じ。
あたしも、アオイとイーシュの所に行く。
「どうしたの?」
「女性たちの、人族への帰還が終わったので、お礼と清算に来たんだけど」
「炊き出し、やってたんですね。タイミング悪かったかなぁ」
「終わったんで、大丈夫じゃない?」
とは思うけど、ここの責任者であるマムちんの判断が優先だね。
と、マムちんにおいでされちゃった。
青の教会の方々と話がしたい。で、あたしも一緒?
シュランとカンタが、大きいのは僕らで片づけられるから大丈夫、だってさ。
君ら、なんか、どんどん立派になっていくねぇ。
お話し合いね。はーい、あたしも行きます。
~ ・ ~
おっかさんが来たのは、あたしとみーよがお手伝いしたので、その清算のお話だった。
え? 大金貨1枚? 多すぎない? そこまで働いてないよ?
そもそも、あたし2日位、入院してたし。その治療費どうすんのさ。
え、それはいいの?
で、見合う働きをしてくれたから、受け取って欲しいの?
マムちん、これって大丈夫なもんなの?
マムちん曰く、こういうのは、貰ったものを半分返すモノなんだとか。
あたしらの稼ぎを教会へ奉納するときも半分。
今回の女性たちの処遇も、ウチの教会で大金貨2枚を出しているので、半分の大金貨1枚を戻すのが暗黙の了解なんだとか。
税金関係も、そういうものらしいけど、それは今の話とは関係ないね。
なので、ウチらが報酬として受け取って、女神さまを通して教会に奉納して貰えれば、それでいいんだってさ。
そんなことしてたら、青の教会が儲からないというか、やっていけないんじゃないの?
いや、そもそも青き清浄の教会は、その教義からして清貧をまとうべきなんだそうです。精神を病んだ者たちに救いを施すことこそ尊いので、私欲を肥やすような事をしてはいけないのだとかなんとか。
ただ、代わりに強力な理力を授かるので、充分にやっていけるらしい。
でも、おっかさん、割とカネ勘定してるんじゃないの?
いや、否定してるわけじゃないよ。そういうことをする人がいないと、本当に立ち行かないでしょ?
だから、あたしゃ直接の術が使えないんじゃないか、と言われちゃった。
そういうのはアオイとイーシュに譲ったんだって、さ。
昔は使えた。で、マムちんと、この街の大聖女の座を争ったんだとか。
ああ、もちろん平和的に、人々の支持の多い方がその座に就く、という形で。
おっかさんは、マムちんが勝って、オラクルの大聖女になってからも、青の教会へは権益と資金援助が与えられていた。
それにマムちんが巡礼などで不在の間の代理として、街の守護も任せられていたんだとか。このお仕事にも、高い報酬がでるそうな。
ちなみにマムちんの旦那は、トルモルト教会の聖人だったんだって! って話はしたんだっけ?
そういえば、こないだ、青の教会で各宗派の偉い人たちが集まっていたけど。
そのうち少なくとも2派がマムちん陣営だったって訳?
へえ、若い頃のマムちん、相当なもんだったんだねぇ。
そういう話だったんで、大金貨1枚を受け取って。
青の教会の方々が、コーヒーを堪能してからお帰りいただいたのち。
片付けが終わった子供たちやケイトを呼び集めて。
奉納の儀式。
金貨5枚ずつ、教会とあたしらで分けました。
はい、シュラン、お前の取り分、金貨1枚ね。
い、いや、さすがに受け取れませんよ。
いや、アンタ、あの場にいたじゃん。
で、でも。
命がけで、体張ってるんだ。
この程度、普通だって顔して貰っときな。
じゃないと、同業者に舐められるよ。
そう教えると、少し顔つきが変わってきた。
ま、そうやって、大人になっていきなよ。
子供と大人の違いは、自分で稼げるかどうか、自分で自立できるかどうか、だからね。
将来、アリと世帯を持つんだろ?
俺は稼げる男だ。そうアピールしとくもんだろ?
そういう場を、見せてやってるんだよ。
ま、口には出さないけどねぇ。




