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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移二十四日目っ! ~ ゴブリン退治に出発っ!

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183/276

183.あれ、あたし、声ダダ洩れ?

 巣窟のそこそこ近くまで車を寄せて、一旦停止。

 ドローンのカメラを広範囲に切り替えると、あたしたちのトラックも画面の隅に映っている。

 道が狭いけど、なんとか車を突っ込ませられなくもないと思う。

「みーよ、この車って、どの程度まで悪路に耐えられるの?」

「ん-光の障壁位かな。岩とか木にぶつけると、壊れて動かなくなると思う」

 そっか、運転次第か。

「強行して皆殺しでいい? みーよは車の中にいてもらう感じで」 

「そうだね。この車が光の障壁の代わりで、いいと思う。で、」

 で?

「かなり理力を使っているから、付き人への祝福までは手が回らないの。郁ちゃんはともかく、シュランは大丈夫?」

 シュラン、少し考えた。

「師匠はどう思います?」

 お、あたしに聞くのか。

 自分で考えな、と突き放してもいいけど。

 それはシュランのためにはならないね。

 教えるってことは、手取り足取り指示することじゃない。

 物事の考え方を、自分で考えられるように教えるってことなんだよね。

 その辺が分かっていない“教えたがり”は、嫌われるんだよね。

「作戦として考えるなら、アンタはみーよと一緒にいた方がいい。でも、経験を積むなら、自分で戦わないと身に付かないね」

 暗に、ここで日和ってる位なら、もう来なくていいよ、という意味を、分からないように入れておく。

 自分の責任で、自分で判断しな。

 さ、どう考える?

「師匠と一緒に戦います。それで、攫われているという女性も、出来れば見つけ出したいです」

 へえ、合格だよ。なぜ降りて戦うかの意味も、ちゃんと分かってるね。

「よし、じゃそれで行こう。かなり揺れるから、なにかに捕まってな」

 タブレットはロックモードにして、グローブボックスにでも突っ込んでおくか。

 本当は画面を見ながらナビして欲しいけど、さすがにシュランには無理だろうね。

「師匠、これで道案内して欲しいんですよね」

 シュランが、タブレットを見せる。

 へえ、気が利くじゃん。

「俺、案内しますから、師匠は運転に集中してください」

 あら、役に立つじゃん。

「じゃあ、任せた。落とすんじゃないよ」

 あたしは、アクセルを踏み込んだ。


 画面の見方に慣れたのか、シュランの案内は的確だった。

 細い道だけど、確かに車一台分は走れる。

 5分もしないうちに、目的地が見えてきた。

 こっちも、見つかってるね。構うもんか。

 最後の樹をギリギリでかわして、そのまま車を止める。

 キン、カンと、矢が当たる音が聞こえる。

 ドアを開け、下方向に転がり出る。

 あたしに矢が集中する!

 5本。全部当たる。狙いが正確。

 脚でドアを蹴飛ばして閉めると同時に、身体を地面に転がしてかわす。

 かわしきれない1本が左腕に刺さったけど、ガードグローブのおかげで深手を避けられた。

「痛ったいなぁ」

 引っこ抜いて、毒矢かどうか確かめる。大丈夫そう。

 と、さらに矢が増えてくる。

 全部で10本。半分外れ、半分は当たる。逃げ場がない。全部は弾けない。

 4本弾いて。一本を右太ももで蹴りながら貰ってやる。胴体に当たるよりマシ。

 狙いが正確すぎ。でも、突っ込まないと話にならないし。

 もう何発か貰いながら飛び出すか、と思ってたら。

 死角からシュランがゴブリンどもに襲い掛かっていた!

 1、2、3、456匹!

 立て続けに小剣で切り刻んでいく!

 ひるむゴブリンども。全く気が付いていなかったらしい。

 あたしも、脚とか腕の痛みなんか気もしないで、一気に距離を詰めてやる。

 あたしの顔にひるむゴブリン。そうか怖いのか―

 死をくれてやり、その横にいるのも、ついでに巻き込んでやる。

 何匹か短剣を抜いたのがいるけど、全然遅い。片っ端から刺し殺す。

 うわぁと逃げ出した背中を、シュランの小剣が何匹か斬りつけた。

 その間にスリング、石セット。全員逃がさない。全部殺す。

 命中率100%で、外にいた連中を全部屠ってやった。

「師匠、大丈夫ですか?!」

「傷のうちにも入んないよ。シュラン、いい仕事するねえ」

「そ、そうですか? 夢中で……」

 あら、今頃になって、手が震えてるよ。ひざも、肩も。

「まだ終わってないよ。これだけの数だ。ホブの一匹や二匹……」

 ほら、お出ましだ。洞窟の中から、三匹も出てきたね。

 身体は2メートル前後。ホブにしては小さい方かな? 成りたてか?

 棍棒と山刀と大ナタで、それぞれが武装。防具は無し。申し訳程度の腰巻は、防具のうちには入らない。

 みーよは、車を降りている。あの車じゃ、防壁としては頼りないってこと? 

 でも、並行して光の障壁は使えないんでしょ?

 と、あたしに温かい光が注がれる。

 なによ、ヒールのために車を降りたの?

 危ないから乗っててよね。ま、どうせ壊されるけどね。

「シュラン、みーよの側に。ホブだけじゃない、他のゴブリンにも気を付けて」

「師匠は?」

「全部喰う。30秒持たせな」

「え? え?」

 戸惑う暇があるなら、みーよを守りな。

 腕も足も、痛みがない。ぶわぁなヒールだけど、痛くないならそれで十分。

 真正面から棍棒のホブに突っ込む。

 ギロリと睨むホブ。はん、そんなガン飛ばしで怯むとでも?

 身を低くして、そのままの勢いで地面を転がる。

 思いがけないアクションに、棍棒を叩きつける狙いが逸れたらしい。

 脇をすり抜け、そのまま背中側に。

 一気に飛び上がり、ホブの両目を塞ぐように捕まえる。

 なにかさせる余裕も与えず、そのまま首をアギト・ナイフで掻き切った。

「まず1匹」

 右の山刀持ちに、足を振って勢いをつけて飛び掛かる。

 待ってましたと斜め上から斬りかかってくるのを、アギト・ナイフの背で受け止める。

 でも、その勢いのまま地面に叩きつけられ……

 ないで、当たった刃の部分を支点にして、大きく宙返りする。

 一瞬、自分が回転しながら、空と地面の方向を見失う。

 それはどうでもいい。

 山刀を握るお前の位置さえ分かれば、それでいい。

 アギト・ナイフを逆手に持ち替え、一回転した身体が、足が、地面に着くと同時に、見もしないで背中の方角に思い切り、打ちつけるように突き刺した。

 手ごたえ、アリ。

 同時に、みーよたちの方へダッシュ。

 大ナタを持つホブが、盾をかざしながら身を挺して聖女を守るシュランに迫っている。

 ホブ、こっちを見もしない。

 ダッシュ。1、2、3歩で追いつく。

 今、初めて気が付いて、あたしを見たホブ。

 振り向いたその姿が、アンタの最後を告げるよ。

 背中に飛びつき、顎下から脳天にかけて、グッサリとナイフを突き立てる。

 うん、知ってる。これじゃ死なないんでしょ。

「シュランとどめえっ!」

「は、はい!」

 盾を捨てて両手で握った小剣が、ホブの心臓を一気に貫いた。

 こっちを見つめるホブの口から、鮮血が飛び出してきたので、とっととかわして飛び降りる。

「あ、バカ、かわさないと」

「え? ぎゃあ!」

 そのまま、倒れてきたホブの身体に、下敷きになったシュラン。


挿絵(By みてみん)


 助け出したいけど、ちょっと待って。周囲を警戒。

 棍棒ホブ、コト切れてる。

 山刀ホブ。自分の心臓の辺りから流れ出ている血を、何とか止めようとしている。まだ生きてる。

 で、コイツ。完全に死んでる。シュランを下敷きにして。

 シュラン。アンタのことは忘れない。安らかにお眠り。

「しーしょーおー! 勝手に殺さないで下さいよっ!」

 あ、生きてたの。そっかそっか。

「そっか、じゃないですよ、もー」

 自力で這い出してきたシュラン、13歳。ここに眠る。

「だから、殺さないでってば」

 あれ、あたし、声ダダ洩れ?

 ちょっと、興奮しすぎみたいね。

 んじゃ、まだくたばってない山刀ホブに、とどめっと。

 なによ、何睨んでるのよ。言っとくけど、命乞いなんて聞かないからね。

「オマエ ツヨスギル……」

「何を当たり前なことを」

「サイゴニ オマエトタタカエテ……」

「ハイハイ」

 聞いてもしょうがないんで、一思いに首をハネてやった。



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