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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移二十四日目っ! ~ ゴブリン退治に出発っ!

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179/276

179.そんな小型犬の吠え声なんて、話にもならないんだけどねぇ?

 翌朝の稽古。

 昨日みーよに出して貰った雪玉製造機をフル稼働させて、倍の200個を用意。

 今日の参加者は5人。

 シュラン、カンタ、イーシュ、マイアミ、そしてイラド。

 うん、名前覚えた。全部言えた。

 で、カンタに見せるための稽古。

 コイツ、お手本みせないとダメなタイプだからね。

 

 他の4人には、あたしの四方に散らばって貰う。距離は5メートル前後。

 それぞれに机を置いて、その上に雪玉を50個ずつ。

 あたしの周囲1メートル位の地面に円を描く。

 この外に、あたしは出ない。出たら負け。

「こんなもんかしら」

「いくらなんでも、これは無理じゃね?」

 シュランが呆れた顔であたしを見る。

 君らは手持ちの雪玉を一発でも、あたしの頭か身体に当てたら勝ち。

 あたしは手足を使って弾くか、身をかわすだけ。

 四方から投げ込まれるので、まさに十字砲火。

 これは、あの真っ赤っ赤の付き人に手ひどくやられたイーシュの為でもある。

 あんなもん、避ければいいのよ。

 で、避け方を見せてあげる。

 まともにやり合ったらダメに決まってるでしょ。

 マイアミとイラドには、一発でもぶつけることが出来たら、デートしてあげると約束している。うん、あたしってば、悪い女だわ。

 なので、わんこどもはスゴク張り切っている。それこそ、カンタ並みにね。

 で、当のカンタは真剣そのものであたしを見ている。

 次は自分だと分かっているからね。

 少しでも目に焼き付けて、勝つためのヒントにしたいよね。

「よし、いつでもいいよ。来な」

 地面の丸い枠から出ないので、いつもの武装であるアギト・ナイフや腰袋は外してある。身体が軽いね。

「よ、よし、みんな行くぞ!」

「おー」

「お前が仕切るな」

「イラドさん、張り切ってますね……」

 そう声を掛けながら、シュランがさりげなくあたしに雪玉を下手投げで(ソロッと)投げ込んでくる。

 ふふ、学んでるね。

 気を逸らして、そのタイミングで死角から攻撃。

 しかもそれはフェイント気味。本筋は別から。

 これは当たらないので、あえて無視。

 で、後ろからマイアミが投げるのが本物ね。

 頭を軽くそらしてかわす。見えなくても問題ない。直接狙ってきてるのが分かるし、この距離なら狙いは正確。自分の頭という的をずらせばいいだけ。

 右のイーシュと左のイラドが同時に上下に分けて雪玉を投げてくる。

 上は当たらない。下は、当たるね。

 エンジニアブーツを軽くあげて、雪玉にローキック。

 前後から同時。

 後ろのマイアミの狙いが正確。胴体狙い。これはかわせない。

 前のシュランも結構正確。こっちもかわせないね。

 身体を回して、両手で払うように、同時に拳で雪玉を壊す。

 左右の雪玉も、ついでに手で払う。

 お次は二連撃、でもこれ当たらない。無視。

 こっちもか。的外れな方向だね。無視。

「本当に、見えてないのかよ……」

「なんで分かるんだ……」

 イラドとマイアミが、化け物でも見るような目であたしを見ている。

 ほらほら、手が止まってるよ。

 シュラン、ヤケにならない。狙いがなってないよ。

 イーシュは真面目。一定の間隔で雪玉を投げてくる。

 ただ、動作が雑。それじゃ当たらないね。

 この中で一番投げるのが上手いのはマイアミ。次がイラドだね。

 でも、速度も大事だけど、まずは狙いとタイミングをずらさないとダメなんだけどね。

 マイアミはその辺、分かりやすすぎ。正確に投げてくるんで、逆にかわしやすい。

 イラドはその辺が雑なんだけど、んと、荒れ球っていうのかな、ちょっと気を使わないと、まぐれで当てられそう。

 自然と、主にイラドの方を見てしまう。なんか、勘違いされそうだね。

 腕を振るって3方向からの雪玉を打ち払い、空いた片手でイラドからの雪玉を叩き落とす。

 足は、基本的に低い弾道の時にしか使わない。しかもモーションの速いローキックしか必要ない。

 足元攻撃、割と狙い目なんだけどね。

 蹴った時には片足立ちになるんで、上半身への防御がちょっとおろそかになる。しかも上下に注意を払わないとダメだから、防御(ディフェンス)側は結構な負担なのよね。

 と、攻撃(アタック)が、止まった。

「あれ、もう終わり?」

 4人とも、肩で息を(ぜぇはぁ)している。

 まあ、全力(ほんき)かどうかは知らないけど、みんな、それぞれ50球投げ込んだからね。

「な、何で当たらないんだよ……」

「お前、凄すぎだろう」

「師匠、本当にスゴイですね」

「なあ、これ、カンタには無理じゃね?」

 シュランの言葉に、カンタが反応する。

「で、できるもん! イクミねーちゃ、じゃない、師匠が投げるんじゃ無ければ」

「だって。もうチョイ付き合ってあげて」

 はーい。

 少し苦笑いするものや、あきれてるのもいるけど、みんな素直だね。


 今度はカンタが真ん中。4人が周囲を囲む。

 雪玉は4人合わせて全部で50個。一人12から13個。

 あたしの時の4分の1だね。

「これじゃ少ないよー」

 カンタは無視。

「3セット。雪玉補充無し。キッチリ仕留めてあげて」

 あたしの言葉に、カンタを囲む4人が頷いた。

「行くぞカンタ。恨むなよ」

 シュランが速いスピードで投げ込んだけど、カンタは難なくかわす。

 で、後ろから投げたマイアミの雪玉も、身体をひねってかわした。

 おお、分かってるじゃん、よく見てるね。

 イーシュの雪玉もかわし、イラドのもかわそうとして……命中。

「あ、あれ?」

 当たったカンタもビックリしている。

「はい、1セット目終わり」

「ちょ、ちょっと待って。今の、絶対にかわせたのに」

 納得いかないカンタ。

「イラドはコントロールが悪いんだよ。だから一番危険な(あぶない)んだよね」

「ええーそんなのズル……」

「それ敵に」

「言ってごらんか。ちぇっ」

 おお、俺、なんか褒められたみたいな顔のイラド。

 いや、褒めてはいないよ。

 もうチョイ観察すると、投げるモーションが分かるから、当たる当たらないが判断でき(わか)るようになる。そうなれば、もうアンタに注意することは無いね。だって命中率が悪いのは間違いないから。

 その辺、カンタに分かるかな?

 でも、後ろからの攻撃を簡単に避けている。

 やっぱりこの子、才能(センス)あるんだ。


 2セット目、カンタは結構粘った。10球かわして、またもイラドの荒れ球に自分からぶつかりに行って、おしまい。

 悔しそう。スゴク悔しそう。うん、可愛いなー


 3セット目。カンタは自分で身体をゆすって、的を絞らせ無くしている。考えたね。

 で、ちゃんと気配を察して背後の攻撃もかわしている。で、かわしたつもりで当たるのは、狙われた所に雪玉が来ないからだと学んだらしい。

 そういう下手くそが、そうかイラドなんだと覚えたんだね。賢いね。

 なので、注目するのはイラド。他はカンでかわす。

 身体が小さいんだから、元々当たりにくい。

 かわし方さえ覚えれば、結構いい所までいけるんだよね。

 でもね、こういうのはね。

 カンタの目が逸れたスキを見計らって、雪玉を一個、くすねる。

 真上に放る。

 攻撃が止んで、カンタが、あ、俺全部かわし切った、スゴイでしょ!

 その表情の真上に落ちてくる雪玉。

「ぐえぇ!」

 雷にでも撃たれたみたいに、茫然としている。

 どこからヤラれたのか、全く分かっていないみたいだね。

 うん、マダマダだね。

「惜しかったね。お前の負けだ」

 ニヤニヤしながら言ってやると、ぐぬうぐぬうと吠えて来た。

 そんな小型犬(スピッツ)の吠え声(キャンキャン)なんて、話にもならないんだけどねぇ?


挿絵(By みてみん)

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