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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移二十三日目っ! ~ 青の教会に集まって儀式っ!

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178.いいからいいから、いらっしゃいよ

 今日の夕食のメインは豚の丸焼き。

 彼女たちがオークを思い出さないかな、なんて思ったけど、全く違うので気にしなくていいや。

 大人なケイトが手伝うと、やっぱり手際がいいね。

 で、何飲んでるの? と興味津々。

 でも、ここでは聞いてこない。

 メイド教育の賜物なのかしらん?

 エレナも元気にお手伝い。

 恋のライバル? リコットとも気が合うみたいだね。

 で、お肉がスゴイの、スゴイのよ! と大はしゃぎだね。

 今朝焼かれた黒パンがたくさん。

 たっぷりと干し肉を入れて濃厚な味に仕上がったスープ。

 食卓には欠かせない、小麦の栄養たっぷりなエール。

 漬物は3種類。

 新鮮な野菜や果物も買いそろえました。

 なんか、豪勢だね。

「王族の食卓みたいです」

 偉い人にお仕えしていたらしいケイトの口から、そんな風に言ってもらえるなら、そうなんだね。

 ここで一番偉い人、マム院長が女神ちゃんに祈る。

 そして豚の丸焼きを、それぞれに切り分ける。

 あたしとケイトの分が大きい。

 二人ともよく食べそう、という印象らしい。

 ケイトは遠慮したけど、あなたの歓迎会だから、と言われると、素直になったね。

 あたし?

 そういう遠慮は、もう卒業してるんだよね。

 ……うん、大食いなんだねって、もうバレてるし。


 ケイトとエレナの事情については、誰も聞かないのかなと思ってたら。

 事もあろうに、マム院長が自分の事を話し始めちゃった。

 オラクルの大聖女だった時代。

 裏切られて、オークの集団の中に取り残された事。

 付き人であった夫を八つ裂きにされ、自分もオークどもに凌辱され続けたこと。

 人族の軍団に救出されたけど、女神ちゃんの恩寵を全て失ったこと。

 オラクル領主の住まう城から追い出されて、このスラムの教会に住んでいる事。

 マムちんが何でもないように話すんで、ケイトもエレナも、逆に深刻そうに考えている。

「そういう訳ですので、何も気にしないでここにお住まい下さい。この話は子供たちにも何度も聞かせておりますので」

 何度も、か。

 君ら、本当に私たちがここに住んでもいいの? とか思ってるんでしょ?

 歓迎されてるのは分かるけど、本当にいいのだろうか? とか、思っちゃってるんでしょ?

 色々、考えてはいたんだと思うんだけど。

 ま、あたしがいるからいいかな、と思ったのかもしんないけど。

 落ち着いたら、どこでもいいから生きていけるところを探そうとでも思ってたかもしれないけど。

 ま、そんなに気にしなくても、君らの食い扶持くらいは稼げるからさ。

 ただ、マムちんがそういうの気にしてあげるのは、結構意外だった。

 金の亡者だと思ってたけど、意外に優しい所もあるんだね。


     ~ ・ ~


 吞めるんでしょ?

 もう少し交友を深めましょうよ。

 そういうノリで、院長室に誘われるケイト。

 いえ、まだ家事が残っていますので。

 いいからいいから、いらっしゃいよ。

 そうですか、では、少しだけ……

 あらまあ、引っ張られちゃったよ。

 で、あたしとみーよもお付き合いなのね。

 まあ、あたしらがいないと晩酌セットが出せないもんね。

 マムちんのお酒コーナーのストックはあるけど、なるべく使いたくないんだよね。そういう所あるよね。

「ケイトさんの歓迎会の、二次会ですので」

 へえ、共通語(コモン)にも二次会って単語、あるんだ。

 みーよが出してきたのはハイボールセット。

 氷、炭酸水、マドラー、グラス、で、肝心のウイスキー。

「聖女ミヨ、なんです? これは」

 ああ、マムちん、ハイボール初めてなんだ。

「先生のお口に合うかは分かりませんが、ケイトさんがお酒に強いかは分からなかったものですから。普通の水割りでも良いのですが、歓迎ですので、趣向を凝らしてみました」

 グラスに氷をたっぷり入れて、マドラーでかき回す。

 溶けた水を捨てて、ウイスキーを注ぎ、もう一度マドラーで回す。

「何を、しているのです?」

 もう、マムちんが夢中だね。目が釘付けだよ。

「グラスとウイスキーを冷やしているのです」

 みーよはブリキバケツの氷で冷やした炭酸水のキャップを開け、そっとグラスを傾けて、静かに注ぐ。

 コースターを敷き、その上にグラスを滑らせる。

「どうぞ」

 マムちん、シュワシュワと泡立つグラスを興味深げに観察する。

「領主館で暮らしていた時に、このような飲み物を見たことがあります」

 そっと一口。目がパッと輝く。

「美味しいですね。スッキリしています。でも、ウイスキーの香りもします」

「お口に合うようで良かったです。ケイトさんも」

 ケイトもおっかなびっくりだね。こっちは、炭酸系は飲んだことが無いのかしらん。

「うわぁ、美味しいですねぇ」

 こちらも上々の反応。すっかり気に入ったようです。

「同じ味わい、ではございませんが、付き人たちが飲んでいたエールもお試しになられますか?」

 ピンときたケイト。あたしとシュランが飲んでたビールに、興味津々だったもんね。

「よろしいのですか?」

「どうぞ、遠慮なさらずに。先生はどうされますか?」

「私は、こちらの“はいぼぅる?”のお代わりを」

 マムちんはソッチなのね?

「あたし、濃いめでもイイ?」

「うん」

「濃いめ!」

 マムちん、何それ! みたいな反応。

 ただ単にウイスキーの分量をあげてもらうだけだよ?

「では、先生にも同じものを」

 先にケイトにビールを持たせて、濃い目ハイボールを2杯作るみーよ。

 仕草が、様になってますね。

 ケイトはビール缶の開け方が分からないみたいで、あたしが代わりに開けてあげる。

「グラスに注いでもいいけど、あたしはこのまま飲むのが好き」

「じゃ、じゃあ、わたしも」

 クイッと一口飲んで。

 目が大きく開かれた。

「うわぁ、美味しいですねぇ」

「汗かいた後だと、なお旨いよ」

 サラミを摘まみ、濃い目ハイボールで流し込みながら、あたしはケイトのふくよかな身体を見つめる。

 運動は、してない風だよね?

 汗、かくのかなぁ?


挿絵(By みてみん)


     ~ ・ ~


 寝床を整えて、シャワーを浴びて。

 ケイトとエレナの寝巻は、青の教会の入院着(ポンチョ)だった。

 餞別じゃないんだろうけど、そのまま貰ったらしい。

 で、あたしの寝巻のポンチョに、お揃いだねと笑われた。

 いや、あたしのは、青の教会のじゃないよ。確かに2日位、入院してたけど。

 オークどもとの戦いの最中に、野外でシャワー浴びて、怪我の治療の関係でこれ着て外にでたら、男にスゴくきれいだと言われた。結婚して欲しいだってさ。男ってバカだよね。ホント、バカ。

 そんな話をしたら、大笑いされた。

 うーん、話のツボって、難しいね。

 これって、笑える話なのね?


 まあ、生きているから、笑えるんだよね。

 生きているから、ゴハンやお酒が美味しいんだよね。

 んで、家族が増えたから、もうちょいガッチリ稼がないとね。

 ま、その辺は明日考えよう。

 お休み……


 寝つきのいいあたしは、そのまま落ちるように、気を失うように、意識を失っていった。



                        (つづくっ!)


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