177.「毎回の事だけど、派手にやってるね」
「毎回の事だけど、派手にやってるね」
杖を光らせてカンタの治療をしながら、時折、みーよがあたしを睨む。
「手加減はしてるよ。じゃないと、もう何十回か死んでるよ」
「うっ……」
平然と言い放つあたしに、さすがのカンタも返す言葉がないみたいだね。
「それは分かるんだけど、もう少し優しく教えてあげないの?」
「ん-カンタ、ちょっと勘違いしてるみたいなんでね」
みーよが、肩をすくめた。この方面は、自分が口出しするものではないと思ったらしい。
「はいおしまい。シュラン、来て」
「はい」
ざっと見て、みーよが本格的にあたしを睨む。
「カンタはともかく、シュランはわたしの付き人でもあるんですから」
「ミヨ様、俺はこれ位、師匠に厳しくしてもらった方がいいので」
あら、ワーワー言われるなと思ったら、シュランが自分で止めに入ったよ。
「そんなこと言っても……」
脇腹のアザの具合に、顔をしかめるみーよ。
手を当てて、治療を始める。
「アリちゃんが見たら、卒倒するよ?」
「じゃ、ナイショでお願いします」
結構痛いんだろうに、顔に出さないシュラン。
「骨まではイカナイように手加減はしてるよ」
本気で蹴ったら死んじゃうしね。
「そういう問題じゃ……まあ、シュランがそれでいいなら、わたしがどうこういう話じゃないのは分かってるけどね」
ブツブツ言いながら、それでも手際よく胴体、両手、両足を観察していく。
「思ったより、怪我が少ないね」
「そうですか。やっぱり痛いのはイヤなんで、真剣に護ってますよ」
真剣、ね。
そういう形で、教えてるのね?
ま、そういうこと。
みーよとアイコンタクトして。
「ビール、飲む?」
「うん」
おいでされて、談話室へ。
ようやっとダラダラできるわー
2本目を開けるころ、シュランがシャワーを浴び終わったようで、こっちにやってきた。
「俺にも、貰っていいですか」
「そういう遠慮はいらないよ。同僚だからね」
薄いシャツの下から、細い筋肉が浮き出ている。
全身から、まだ湯気が昇っている。
冷たいビールがよっぽど美味しいらしい。呑み終わった顔が、なんとも言えないような可愛い顔してる。
推定13歳。こんなのにビールなんか呑ませていいんだろうか、あたし。
でも、この世界は15歳で成人。
市井の子供たちは10歳にもなれば、実家を出て奉公生活を始めるのだそうで。
シュランは、むしろ職業を決めるには遅い位だね。
なので、もう大人として扱っていいと思うんだよね。
もう一本渡してやると、今度は味わって飲み始めた。
あたしも3本目は味わうように飲む。
で、エロハゲとの死闘や、オークの捕虜だった女性たちに巣くう憑依体を追い出した話などを、酒のつまみに聞かせてやった。
そうこうしているうちに、夕食の支度が整ったようです。




