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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移三日目っ! ~ オノ村での一夜っ!

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17.アギト・ナイフ

 みーよは迷わずに、村の中心にある一番大きな(といっても他に比べて、程度だけど)家に向かった。

 気配を感じたのか、壮年の大柄な男の人が出てくる。立派な髭を顎下に生やしている。髪や髭の色はこげ茶。がっしりした、ゲルマン系かしら、の顔つき。ん-あたしたちの人種基準をそのまま当てはめていいのかは分かんないけど、そう見える。

 出迎えてくれて、頭も下げられて(この辺の習慣はあたしたちと変わらないらしい)、中に招かれた。

 ごついテーブル、イスに、座るように促される。

 あたしの格好については、不問らしい。

 んと、それどころではないらしい。お顔が真剣。

 ややお太りの奥様かな? が、木を彫った細長い器に入った水を出してくれた。子供たち(4人。まだ小さい。乳児もいた)を連れたり抱えたりして家を出ていく。

 大事な話なので、(うるさ)くしないように、だね。

「ようこそ聖女様。他の方からは、お亡くなりになったと聞かされましたが」

「……やっぱり、そうですよね。領主様へは?」

「すぐに早馬を出しました。間に合うか、どうかは……」

 少し苦しそうな表情。

 んと、オーク共がこの村も襲ってくるかも、ってこと?

「そのことなのですが、わたしの付き人が、オークたちを皆、討伐してくれました」

 村長が、固まっ(スタンし)た。

 おーい、戻ってこーい。

「し、失礼。今、なんと?」

「オークは皆、退治されました。光の女神アーリューシャインのお導きに感謝を」

 あーあの、おマヌケな女神ちゃん、そんな名前だったね。

 あ、みーよがこっちを睨んでる。ゴメン、みーよのあたまに声が響くんだったね。

 んもう、女神ちゃん、だったらあたしの心を読むの止めなよって。

 気を取り直して、みーよが村長さんに話し始める。

「証明が、必要でしょうか?」

「で、できれば。安心できますので」

「郁ちゃん、アギト・ナイフを見せてあげて」

 アギト・ナイフ?

 あー隊長オークの遺品の短刀ね。

 まー確かに使い勝手がスゴクいいし切れ味抜群だけど。

 これ、そんな大層なもんなの?

挿絵(By みてみん)

 抜いてみせて、そのままテーブルに置くと。

 村長はマジマジと短刀を見つめた。

「手に、取ってみても?」

「いーよー」

 にしても、なんで“ナイフ”なんだろ。どっちかっていうと、ショートソードに近いんじゃないの?

 あ、オークがデカいから、奴らにとっては“ナイフ”ってこと?

 村長はしげしげと刀身を眺め、柄のすぐ上の刀身部分を見せる。

「ここに銘が彫られている。わしも詳しくは知らんが、有名な鍛冶屋が打った銘品らしい。オークの武人アグフは、人界の武人に異様な興味を示し、略奪や暴行を部下に任せながら、人族の武人と闘うことを好んでいたのだよ」

 あーそーなんですか。

 ザコだったけどね。

「何人もの勇士が、ヤツの剣技に打ち倒され、首をこのナイフで落とされたと聞く。

 ……そうですか、あなたさまは、あの悪名高いアグフを打ち倒されたのですか」

 あなた様って言われるほど、たいしたことしてないんだけどねー

 なるほど、アグフとかいう隊長オークの気まぐれで、連中(豚頭)が人里に近いこの辺をウロウロしてたってわけね。

 本格的に人間たちが軍を率い始めたら、とっとと撤収―って感じかしらん。

 まーあたしたちの世界でも、似たよーなもんかもしんない。

 不良や半グレが俺強えぇえぇって勢力争いしてたもんね。

 そんな地域だったけど、あたしが登場してガッコも地域も平和になりましたとさ、チャンチャン、だったもんね。

 ま、軍が出てきたら、さすがに、ネェ。そこまではヤンないもんね。

「本来は悪鬼を打ち倒し、その牙をもって止めを刺すための刀。故に“アギト・ナイフ”なのです。

 アグフに奪われ、人族の勇士が何人も命を絶たれた屈辱を、よくぞ晴らして頂きました。御礼申し上げまする」

 やーなんか照れるわーそんな居住まい正されてもねー

「確認致しました。お返し致します」

 受け取って、さっき村長が見つめていた銘の部分を見る。

 確かに、何か彫ってある。意味は、分かんない。

 共通語(コモン)は話す聞くは大丈夫だけど、文字に関しては通用しないらしい。

 そもそも、共通語で彫られてるかどうかも分かんない。

 でも、見つめていると、なんとなく読めてくるような、気もする。

 アギト・ナイフ、って、確かに書いてあるね。

 アギトは「(あご)」という意味ね?なんとなく、だけど、読めるわ。

 悪鬼を言わば“食する”ための短刀なので、食事に用いる道具としての“ナイフ”なのね。

 とてもなんとなく、なんだけど、なんかそう思う。そしてシックリくる。

 へーそうなんだ。

 あたし、武器に執着はしない主義だけど、使えるもんは使わせて貰うわ。

 隊長オークの遺品とか呼んでたけど、アンタ、結構な銘品なんだねぇ。

「村長、コイツのお手入れって、鍛冶屋に行かないとダメなのね?」

「はい。この村に鍛冶屋はおりませんので、オラクルにお帰りになってからの事と思われます」

「ふーん」

 オラクル、みーよもなんか言ってたね。拠点にしている街なのね。 

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