168.あたしの方が性格良くて強いに決まってるでしょ!
翌朝の稽古。
今日は、マイアミが来ている。
もう一匹も皆勤賞を続けている。
で、あたしの愛弟子を唆してみーよの付き人にさせた、けどー娘の弟君も。
二人で仲良く何か話している。
おー付き人になったのかーやったなーみたいな話らしい。
革ジャンにも、お世話になりました、今後ともよろしくみたいな話を。
マイアミにも、盾の使い方を教わりたいとか。
シュラン、なんか変わったね。一皮むけた感じ。
大人になったみたいだね。
社交辞令? みたいなことが出来るようになったね。
「おはよう。花束受け取ってくれてありがと。カンタ」
「は、はい!」
カンタも、散々泣いて、吹っ切れたみたいだね。
嬉々として花束を受け取って、建物の中に運んでいったよ。
「イーシュ、あたしの愛弟子の背中を押したのは、アンタだね?」
にっこり笑って、でも目は笑ってないあたしに、本能的な恐怖を感じたらしいイーシュ。
「い、いや、アドバイスしただけで、特にはそんな」
「今日のあたしの相手は、アンタだ。タップリしごいてあげるよ」
「お、お手柔らかに……」
ちょっと引きつり気味のイーシュ。
まあ、手加減はしてあげるよ。あたしの分は、ネ。
アリとカンタの分は、手加減を出来ないかも、ネ。
「シュランは、マイアミに盾の扱い方を教わって。カンタ、イラドに相手して貰いな」
「!」
革ジャンが、なんか感動している。
「俺の、俺の、名前を……」
な、何よ、名前位、覚えるわよ。
大したことないのよ。普通よ普通。
「へえ、師匠が……」
「イクミ姉ちゃん、すごいね。ホレタ?」
「名前、覚えられるんですね」
「こ、こんな奴の名前など、覚える必要など無いでしょう!」
で、当の本人は、なんか舞い上がってるけど。
カンタ、勘違いしないで。
ホレるとか、絶対に無いから。
みんなが名前で呼んでるから、自然に覚えただけ。
絶対に絶対に、ぜえったいにホレるとか、無いんだからね!
~ ・ ~
朝ごはん。
昨日のマイアミの欠席は、やっぱりあのエロハゲ親父のせいらしい。
連日、無茶苦茶にしごかれて、筋肉痛だったんだとか。
いや、アンタ僧侶でしょ?
自分で自分を癒せないの?
はあ、限界を超えると無理なの?
ホント、戦士としても僧侶としても、中途半端なのね。
へへへ、ざまあみろ、という目で睨むイラド。
お前になぞ言われたくないのだよ、と睨み返すマイアミ。
この二人は、ホントにもう。
で、イーシュはこのまま、あたしらを連れて青の教会に戻りたいらしい。
マムちんの許可を貰って。
コーヒーを飲んでから、おもむろに出かける。
みーよ、あたし、そして付き人になったシュランも一緒。
シュランは残されるカンタに、教会の事を頼むぞ、と肩を叩いて行った。
カンタは、納得半分、ズルイは、まだ半分残ってるのかな?
で、アリちゃんは、少し機嫌が直ってきたみたいだね。
一応、手を振って、見送ってくれた。
シュランの顔だけは、見ないようにはしてるみたいだけど。
でも、お見送りしてるんだから、一緒だよね?
で、イーシュは当然、同行。
マイアミもついてくるの?
「ザイモン様と、青の教会で合流することになっているのです」
アイツ、来るの?!
ぐるるぅ、がるるぅ……
あたしの中の野生が、目を覚ました。
今度こそ、アイツの喉笛を喰いちぎってヤル!
「郁ちゃん、分かってるとは思うけど……」
う、うん。分かってるよ。
ちゃんと、いい子にしているよ。
た、多分……
「シュラン。なんかあったら、郁ちゃんを止めてね」
「は、はい……」
「で、わたしになんかあったら、わたしを守ってね」
「……?」
「マイアミ様の宗派の聖人、ザイモン様が来られるようなの」
「はい」
「男の人だけど、性格も実力も、郁ちゃんにそっくりなの」
「げ!」
師匠だけでも持て余してるのに、もう一人いるの?!
シュラン、そう顔に書いてあるぞ。失礼な。
あたしの方が性格良くて強いに決まってるでしょ!
あんなエロハゲ親父と同列にしないでっ!




