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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移二十二日目っ! ~ 子供たち、頑張れっ!

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166.兄ちゃんばっかりズルイズルイ

 パンが焼ける匂い。スープから立ち上る湯気。

 ちらっと台所を覗くと、いつも通り、アリちゃんとリコットが夕食の支度をしていた。

 こっちは、とりあえずは、大丈夫かな?

 と、男部屋から叫び声。あっちは、ダメだね。

 行ってみると、顔を真っ赤にしたカンタが、兄ちゃんばっかりズルイズルイと、床の上で手足をばたばたさせて泣き叫んでいた。

 でも、シュランは委細構わず、皮鎧と手甲を脱いで、ぼろきれで丁寧に汚れを拭いている。うるさくないのかな?

 あたしに気づいたシュランが、軽く首を振る。

 自分で解決するのね。

 ま、多少うるさいのは、我慢してやるか。


挿絵(By みてみん)


 談話室に行くと、みーよが待っていた。

「お疲れ様。シュランはどう?」

「初日だからね。まずは実戦に連れて行ってからだね。連れていけるようにはするよ」

「そうだね」

「あと、シュランを冒険者に登録した」

 みーよは、ああ、と今気が付いた、みたいな顔をした。

「パーティーの名前を付けるように言われなかった?」

「言われた」

 知ってるんだ。そりゃそうか。

「なんて名前にしたの?」

 ん?

 みーよ、あたしが勝手に決めるとでも?

 ……受付のトロ子ちゃんに止められなかったら、そうしてたね。

「みーよに相談するって言っといた」

 みーよが、固まっ(スタンし)た。

「え、ちょ、あたしだって常識位、弁えてるよ? リーダーに何も言わずに勝手に大事なことを決めたりしないよ?」

「大事じゃない事は、すぐに決めちゃうでしょ?」

 あ、戻った。

「ああ、シュランか受付の子に止められたのね?」

 ……鋭いな、みーよ。正解だよ。

「郁ちゃんが決めていいよ。わたしよりセンスあるし」

 へえ、いいのかー

「よろしくね」

 そうだよね。みーよって、その辺はコダワリなさそうだもんね。

 ん-、何にしよっかなー


 パーティーの名前を考えながら。

 みーよが出してくれたビールセットで一杯やっていると、武装の整備を終えたらしいシュランがやってくる。

 後ろに、泣き疲れたらしいカンタもついてくる。

「呑む?」

「はい」

 ブリキバケツのビールを渡してやり、開け方が分かるか、尋ねた。

 大丈夫らしい。

 開けて、一気に飲み干した。

「うわぁ、これ、身体に染み渡りますね!」

「だろ? これが生きてるってことよ」

 いい飲みっぷりだね、シュラン。

「にいちゃん、ずーるーいー!」

 まだいたのか、カンタ。アンタも相当頑張るね。

 もう一本、シュランに渡すと、カンタも欲しがった。

「アンタは昨日、飲んでひっくり返ったでしょ?」

「だ、だって……」

 まだグズグズ言ってる。

「カンタ。今日、俺は冒険者ギルドで登録して貰った」

「う、う、うわぁー! ずるいー!」

 再び泣き叫ぼうとするカンタの頭を、シュランは優しく抑えた。

「荒くれ者ばかりで、仕事にあぶれた奴らがいっぱいいた。師匠がいなかったら、俺はいいカモにされてたらしい」

 カモ、に反応したカンタ。ピタッと収まった。

「もう、カモにされないように、コソコソと人目を気にしなくて済むように、俺は強くなりたいんだ」

「だ、だ、だって……」

 また、目に涙をいっぱいに溜めるカンタ。

「師匠に教わるには、俺はちょっと遅いらしい。だから俺は、お前の方がズルイと思うぞ」

「だって、だって……」

「帰りに、スラムの、一緒に薪拾いをしていた仲間たちにも、ズルイって言われたよ」

「え……」

 目を見開くカンタ。

「お前と同じことを言われた。でもな、俺たちは親がいないんだ。アイツらとは違う」

 そうだろ、と見つめられて。

 カンタは、唇を咬んだ。

「ズルイとわめくのは簡単だけど、今出来ることをやった方がずっといい。お前は何が出来る?」

「わ、わかんない……」

「じゃ、何が出来るか、探せ。俺は探した。考えた。うんと、悩んだぞ」

「兄ちゃんは、意地悪だ……」

 何か言うのか、と思ったら、それっきり、カンタは男部屋に戻っていった。

「いうねえ、お兄ちゃん」

「アハハ、やだなぁ師匠。そんなんじゃないですよ」

 照れながら、シュランは、今度は味わうようにビールを飲んだ。

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