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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移二十二日目っ! ~ 子供たち、頑張れっ!

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161.みーよの長い髪に隠れて、よく見えなかった

 院長室を出て。

「ん-なんか緊張した」

「郁ちゃんでも緊張することあるんだね」

「あるよーあるある」

 笑いながら談話室に入ると。

 子供たちが、ちびちゃんも含めて勢ぞろいしていた。

「院長先生のお話、終わった?」

「終わった?」

 リコットが少し緊張した面持ちで。

 カンタがそれ以上に緊張した面持ちで。

 で、少し顔が青ざめてるアリと。

 その横で、何かを決意しているシュランと。

 さらにその横で、ちびちゃんたちが「はなしおわったー?」とマネをしている。可愛いなぁ。

 おいですると、二人とも寄ってきた。

「真面目な話なのね?」

 あたしの代わりに、みーよがみんなに言う。

 あ、まじめな話なの?

 ちびちゃんたちを構っていてもいいの?

 ……ダメらしい。

 と、後ろから、マムちん。

「メルとギンは、私が預かりますよ。さ、いらっしゃい」

「はーい」

「あーい」

 あら、トコトコと歩いてマムちんの所に行っちゃった。

 こりゃ、あたしたちが迷宮探索して(かせいでい)る間に、相当揉めて(あれて)たみたいね。


挿絵(By みてみん)


 みーよが、みんなに座るように促し、あたしも一緒に座った。

 口火を切ったのは、なぜかみーよだ。

「シュラン、それでいいのね?」

「うん、このままじゃダメなんで」

 そういうシュランの顔を、悲しそうに見つめるアリちゃん。

 なになに? なんなの?

「兄ちゃんだけ、ずるいよ……」

 横でブツブツいうカンタ。

「カンタには無理だって」

 その横で怒っているリコット。

 だから、何の話?

「郁ちゃん、あのね」

 あたしの顔を見て、ああ、ちゃんと話してなかったね、と、説明してくれた。

 あたしがこの世界に来る前。

 みーよは付き人のいない野良聖女だった。

 本来は、男性が付き人になるべき。

 でも、なってくれる人は中々いなかった。

 でも、でも、でも。

 いるじゃん、そこに。

 シュランが。

 じゃあ、なんで付き人に成らなかったの?

 アンタ、マイアミみたいな後出しジャンケンする卑怯者でも無いでしょ?

 うん、答えは簡単だね。

 みーよ、すぐ死にそうだったから。

 巻き込まれたら、シュランも死んじゃうもんね。

 付き人は、聖女が死んだら死ぬ。心臓を掴まれてるからね。

 あたしはみーよが何であれ、付き人に成るけど。

 シュランからすると、そうもいかないよね。

 それまでは教会の生計を、薪拾いして賄ってたしね。

「で、今頃になって、みーよの付き人に成りたい、なんて言い出してるのね?」

 あたしが少し威圧を掛けてジロッと睨む(ガンとばす)と。

 お、シュラン、ちゃんと睨み返して(ガンとばしかえして)きた。

 うん、それでこそ、あたしの弟子だね。そう、教えてきたよ。

 おろろ、アリちゃんとリコットが、ちょっと怯えてるよ。

 うーん、君らを威圧してるんじゃ無いよ?

 こらこらカンタ、アンタ、何を喜んでるのさ。

 イクミねーちゃんが怒ってるゾ、じゃないんだよ?

 これはチョットした試験(テスト)。これでビビるようなら、付き人なんか止めとき(おはなしにならない)なって話(こと)。

 チラッと、みーよを見る。

 まだ、あたしのターンでいいの?

 いいよ。

 以心伝心(アイコンタクト)して。

「あたしは、この世界に召喚されて、すぐにみーよの付き人に成ったよ。何の迷いも無かった。

 シュラン、アンタはその時、何してたの? ビビってたの?」

「お、俺は……」

 お、ビビったかな?

 じゃ、この話は終わりだね。

 他の子たちは反対してるみたいだし、この程度で引き下がるようじゃ、話になんないからね。

「アリの付き人に成りたかったんだ」

 お、そう来たか。

 うわ、アリちゃん、顔が真っ赤だよ。

 リコットも、つられて少し赤くなってるね。

 カンタだけは、何の事? って顔してるわ。

「だから、急にマム先生に、ミヨの付き人に成れって言われても、嫌だって断ったんだ」

 うん、そういう理由で間違い無いんだね。マムちんからはチラっと聞いてたけど、アンタの口からもハッキリ聞いておきたかったんだ。

「そしたらさ、ミヨが、ミヨねーちゃんが、うんうん、それでいいよ、いいんだよっていって、頭をくしゃくしゃにして……」

 あらら、シュランも赤くなってるよ。

 ん?

 みーよまで?

「でも、その後のミヨ姉の苦労を見てると、なんか、俺、どうしたらいいのかなって思ってた。ずっと思ってたんだ」

 まあ、アンタが付き人に成ってれば、みーよも、もう少し苦労しなくて良かったかもね。

 でも、洗脳(シバリ)が解けていないみーよと、小僧っ子(シロウト)のシュランのコンビか。

 どっちかか両方が(いずれにしても)、簡単に死にそう(バッドエンド)な気しか、しないなぁ。

 それに、もしも上手く行ったとしても、そのうち、あの真っ赤っ赤が襲ってきそうな気がするけどね。

「この間、俺たち、領主様の娘様に襲われただろ?」

 そうね。忘れないわ、あれは酷いわ。

「あの時、俺は、アリを守れなかった。だから……」

「だから?」

「力が欲しい。みんなを守れる力が」

「で、みーよの付き人に成るの?」

 ふふん、と鼻で笑いた(バカにした)くなるのを、何とか堪える。

 ああ、浅はかだなぁ、シュラン。

 でも、青春だよねぇ、シュラン。

「アリが聖女に成れたら、改めてアリの付き人になる。それまでの間、俺に力の使い方を教えて欲しい、です」

 深く頭を下げるシュラン。

 みーよが、あたしの顔を見る。

 どうする?

 うん、ま、そういう事なら、あたしは構わないけど。

 ただ、みーよの事を守れなかったり足手まといにしかならないようなら、遠慮なく排除す(すて)るけど、それでいいのね?

 分かった。

 以心伝心(アイコンタクト)を済ませて。

「前のわたしだと、付き人は郁ちゃん一人しか無理だったけど」

 杖を掲げて力を込めると、急に強く輝いた。

「今の、大聖女を目指す者としてのわたしなら、付き人が増えても大丈夫なんだよね」

 シュランの顔が輝いたのは、杖の光に充てられたから、じゃないね。

 光が消えるとともに、みーよが真顔になる。

「アリは、それでいいのね?」

「だ、だって、私じゃ……」

「アリは、聖女には成らないの?」

「う、うん、いや、いや、でも……」

 なんか、揺れ(まよっ)てるなぁ。

「アリお姉ちゃん、お姉ちゃんが聖女様にならないなら、私が聖女様になりたいっ!」

 お、リコットがハッパを掛けにきたね。

 それとも、本心(マジ)かな?

「アリお姉ちゃんは、一度ちゃんと教えて貰ってるんでしょ? 私は、私はなんにも教わってないもん!」

 そうなの?

 基本位は、出来るんじゃないの? 分かんないけど。

「やだ、シュラン兄ちゃんが付き人になるなら、俺も付き人になる!」

 今度はカンタか。

「やだ、やだもん、俺もなるもん! 付き人になるもん!」

 顔を真っ赤にして叫ぶカンタ。でっかい声だなぁ。

「カンタ、さすがにお前はまだ無理だ。小さすぎる」

「やだ、やだもん、絶対にやだー!」

 あたしの声にも耳を貸さずに、半ば泣き喚(わめ)くカンタ。

 これ、ドウすんの?

 シュランの顔を見ると、ただ苦笑いしていた。

 ああ、そっか。そういう事か。分かった。

「シュラン。アンタ、イーシュの後押しがあったね?」

 げ、バレたのか。

 分かるよ、そりゃ。あたしはアンタの師匠だよ。

「付き人は、一度成っても、そのままじゃ無くていいんだって、言われました」

 ふふん。アイツめ、余計な事を。

 明日のシゴキ相手は、イーシュだな。タァップリと苛めてやろう。

「みんな、静かに」

 みーよが杖を床に打ち付けると、すぐに静かになった。

「シュランのことは、シュラン自身が決める事よ。そしてわたしが付き人に誰を選ぶかは、わたしが決める事。いいわね?」

「はい」

「はい、ミヨお姉ちゃん」

「は、はい……」

「う、グスン、は、はい……」

 シュランとリコットは、比較的スッキリしてる。

 最近、一緒に買い出しに行ってるから、その時にでも、二人で話しているのかもね。

 アリとカンタは、まだ収まりがつかないみたいだね。

「シュラン、分かっているとは思うけど、付き人は、聖女が死んだら一緒に死ぬの。でも、付き人が死んでも聖女は死なないわ。だから、命を懸けてわたしを守らなければならない。あなたに、その覚悟は出来ているの?」

「出来てる、いや、出来ています」

 真剣な、すごく真剣なシュランの顔。

 それを見つめるアリちゃんの、すごく、とてもスゴく悲しそうな顔。

「分かりました。そこに跪きなさい」

 シュランが、みーよの言う通り、両ひざをついて跪くと。

 みーよも同じように跪き、杖をシュランの頭の上に突き出す。

 彼女の祈りと共に、杖の先端が光り出す。

 みーよが片手を伸ばし、彼の胸に当てると。

 手がそのまま、胸の中に入っていく。

 やがて引き抜かれ。

 杖の光もすっと消えた。

「付き人シュラン、これから、よろしくね」

「はい、聖女ミヨ様」

 みーよが軽く、シュランの頭を抱えて抱き寄せた。

 シュランの顔は、みーよの長い髪に隠れて、よく見えなかった。


挿絵(By みてみん)

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