157.素直で純真な子供の心って、いいもんだねぇ
リコットとシュランも無事にお肉を仕入れてきて。
久しぶりの、みんなと一緒の夕食だね。
「今日は豚肉です!」
「おお!」
「やったー!」
「美味しそう!」
復活したカンタが、一番元気だね。
ビールが効いたのかな?
と思ったら、察したらしいみーよに睨まれた。コワイなぁ。
マム院長が例によって切り分けて、あたしに一番大きなところをくれる。
何かスミマセン、気を使って貰って。
豚の丸焼きは、現代でも食べたことは無いし、この世界でも初めてかな。
ハーブを詰めているらしくて、香ばしく焼き上がっていて美味しい。
エールによく合うね。こういうのは冷たいビールよりもぬるくてコクのあるエールが合うのかもしれない。
パンを頬張り、スープで流し込み、豚肉を齧り、エールで飲み干す。
うん、生きてるわ。食事が美味しい。ホントに美味しいわ。
「本当に、美味しそうに食べるんですね」
あきれているのか、感心しているのか、アリちゃんに呟かれちゃった。
まあね。二泊三日、教会を留守にして地下に潜っていたからね。
こういう人間らしい環境で、ん-我が家で? 食事ができるって、幸せな事だと思うよ。
きれいに食べ終わって。
おもむろにみーよが、コーヒーメーカーセットの説明を始めた。
なにそれ? と興味津々な面々の前で。
壁の棚を整理して、その上に光の奇跡でコーヒーメーカーとミル、コーヒー豆の入れ物、陶器製のコーヒーカップが12個、スプーン、ミルクポーション、お砂糖入れまで出してきた。
電源はポータブルバッテリーらしい。交換用をいくつか用意して、あたしたちが不在の間も使えるようにしてある。
目をキラキラさせている子供たちに、使い方を教えるみーよ。
「イーシュが、またあのコーヒー飲みたいんだよなって言ってたやつだ」
シュランが感慨深く、呟く。
あたしらが不在の間も、修行に来ているんだね。
「今、飲んでもいいの?」
「もちろんよ。淹れてあげるね」
みーよが、準備を始める。
ミルが稼働して、コーヒー豆を挽いていく。
あの香ばしい香りが、部屋中に満ちていった。
やがて、豆から挽いたコーヒーを沸かした独特の匂いが、あたしたちの心も満たしていく。
黒い液体だね、いい香りだね、あったかい、なにこれ、のんでもいいの?
色々聞かれたけど、一口飲んだら黙っちゃうのは共通の反応だね。
イクミとわたしの、故郷の飲み物なのよ。
光の女神アーリューシャイン様の思し召しなので、感謝して頂いてね。
みーよに、そんな風に説明されて、子供たちは感極まっている。
カンタとリコットは、やっぱり苦いらしくて、みーよがミルクやお砂糖で味を調整してあげたら、とても喜んでた。
マム院長は、比較的、落ち着きながらコーヒーを飲んでますね。
そうだね。もっとおいしい飲み物で、おもてなしされてますものね。
あまりたくさん飲むと眠れなくなるから、朝と夕方に、一杯ずつね。
そういうみーよの注意に、真剣なまなざしで頷く子供たち。
素直で純真な子供の心って、いいもんだねぇ。




