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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移二十一日目っ! ~ 迷宮から帰還っ!

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156.「カンタ、あたしの目から見て、アンタはそのゴブリン以下だ」

挿絵(By みてみん)


 アリちゃんは、夕食の支度を始める。

 みーよは、あたし用にビールセットを出して、マムちんとなんか打ち合わせのためか、院長室に籠った。

 ちびちゃんたちは、安心したのか知らんけど、お昼寝タイムらしい。

 寝かしつけて談話室に戻り、ビールを飲もうとしたら。

 カンタが、ちょこんと座っている。

「どったの?」

 プシュッとリングタブを開けて、とりあえず一本飲み干す。

 ぷはぁ、旨い!

 生きてるって気がするわー

 スルメを齧りながら、2本目を開ける。

 カンタが、こっちを見たまま、まだ黙っている。

「どしたの? アンタ、そんな黙ったままの性格じゃないでしょ?」

「……イクミねぇちゃん、いや、師匠……」

 慣れない言い換え。真剣なんだね。

 あたしはちっとも真剣じゃない態度でビールを飲みながら、話の先を促す。

「俺、いや、俺たちさ、やっぱり……」

「冒険者になるのは、まだ早いよ」

 顔に書いてあったんで、先に言っておいた。

 えっなんで分かんの?

 そりゃワカルよ。

 で、女の子たちに反対されたんでしょ?

 そりゃそうだよ。

「シュランは、ボチボチ身の振りを考えてもイイ年頃だけどね。カンタ、アンタはまだ早い。簡単に死ぬよ?」

「え、だって師匠、俺には才能があるって……」

「まだ磨いてもいないでしょ?」

「実戦で磨けば……」

「死ぬね。すぐ死ぬわ」

 3本目を開けながら、何でも無い事のように言っておく。

「そんなの、やってみないと」

「分かる」

 分かるよ、そりゃ。

「なんで……」

「ゴブリンは分かる?」

「み、見たことは無いけど、分かる」

「カンタ、あたしの目から見て、アンタはそのゴブリン以下だ」

 カンタが、目を見開いてあたしを見つめる。

 えぇぇ、じゃないよ。分からんのか。

「ゴブリンが群れで、そうね、10匹位で徒党を組んでくる。あたしは一番弱いヤツを狙う。ソイツを潰せば群れの士気が落ちるから。

 で、真っ先に狙うのは、アンタだね」

 スルメの先で、カンタをチョンと突つく。

 そのまま齧り取り、クチャクチャと噛んだ。

「アンタはまだ、そんなもんだ」

 えーそんなー

 そんなじゃないよ。ホント、子供(ガキ)だねえ。

 ん-ビール美味いなー

「カンタ、アンタも飲む?」

「だってそれ、付き人のための奇跡じゃ……」

「辛いときに呑むものでもあるんだよ」

 一本開けてやると、おずおずと眺め、ニオイをかぎ、そっと口を付ける。

 やっぱりというか、むせた。

「ゲホッゲホッ、苦いよこれ」

 へえ、エールは飲み慣れているのにねぇ。

「カンタには冒険者もビールもまだ早いね」

 自分のを飲み干して、カンタのを寄こせ、と手を出す。

 イヤダって?

 だって呑めないんでしょ?

 代わりに呑むから寄こしな。

 グッと決意して、カンタは一気に飲み干した。

「お、お、俺だって……」

 おおっと、なんかクラクラしてるよ?

 ビールだよ?

 アルコール全然強く無いよ?

「郁ちゃん、子供に飲ませるもんじゃないでしょ!」

 うわぁ先生(みーよ)っ!

 いや、悪気じゃなくてね……

 みーよは手短にカンタの顔や胸を触って。

「ちょっと寝かせて、様子を見るわね。郁ちゃん、運んで」

 あらカンタ、もう寝ちゃってるんだ。可愛いね。

 男部屋に連れて行って、そのまま寝かせてあげる。

 小さいなりに、色々と考えているんだねぇ。


「もう、なんてもの呑ませるのよ!」

「いや、悩んでるんだね、と思うと」

 みーよはため息をついてあたしを見る。

「郁ちゃんは、どうしたいの?」

 ん-あんまり考えてないや。

 あの子たちの生き方は、あたしが決める事でもないし。

 っていうか、自分で決める事でしょ?

「メンドクサイけど、シュランを連れていって初心者向けのエリアで経験を積ませてもいいよ。カンタは身体が出来てから、改めてだね。ただ、今の時期に闘い方を仕込んどけば、化けるかもしれないね」

 そんな風には、見えるけどね。

「シュランは今まで、街の外で薪拾いをしたりして、ここの生計を賄ってきたの。あれは身分に関係なく誰でも出来るから。そういうシュランを見てきているから、カンタも焦っているのよ」

 へえ、そうなんだ。

 でも、あたしには関係ないんじゃないの?

「本来は、アリやリコットが聖女に成れればいいんだけど」

 そうだね。マムちんもそのつもりだったんだろうね。

「わたしが聖女に成ってしまったから、あの子たちの立場は微妙だったの」

 うん、聞いてるよ?

「でも、わたしも微妙だったので……」

 それも聞いたよ?

「それが、郁ちゃんが来てくれて、急にお金に不自由しなくなって、知らない人がウロウロするようになって」

 ま、まあ、しょうがないんじゃない?

「だから、カンタもどうしていいか分からなくなってると思うの」

 ん-そんな事あたしに言われても、ねえ?

「みーよの洗脳解けてるんだし、女神ちゃんは聖女は一人じゃなくていいよって言ってるんだから、アリとリコットにも聖女に成って貰って、男の子たちは付き人にしちゃえば解決でしょ?」

「そうなんだけど、聖女になるには才能がないと……」

 才能かー

 あたしも勉強の才能は全く無いしね。それは痛いわ。

「本人次第だけど、聖女の教育時間を増やしてあげるのは?」

「時間を増やす?」

「うん。あの子たち、教会のお務めみたいなつもりで家事をしてるけど、本来は教育を受けるはずの時間なんでしょ?」

 みーよは、少し考えた。

「わたしがこの教会に来る前は、そうしていたはずよ。でも、わたしが聖女になっちゃったから、あの子たちは家事に専念することにしたんじゃないかな?」

 シュランは薪拾い。アリは家事。

 リコットとカンタはまだ小さいけど、それなりにお手伝いしなきゃという自覚が芽生えている。

 周囲の大人が、子供たちを導いてあげる必要があると思うけどね。

 ただ、ここは現代じゃない。学校も無いし、治安も良いとはいえない。

 この世界で生きている子供たちが、自分でどうやって生きていくのかを決めなきゃならないとは思うけどね。

 まあ、頼まれたら、手伝う位はやぶさかじゃないけどさ。

 それなりに情も湧いてるしね。

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