151.だって、女には引けない闘いというものがあるのよぉ!
トルモルト教会に到着。
教会内の転移陣からゾロゾロと出て来たあたしたちを出迎えたのは、一番会いたくない顔だった。このエロハゲめっ!
ついでに愛人二人も揃ってるわ。
「我らが聖人ザイモン様、ただいま戻りました」
マイアミが真剣な顔で片膝をつき、ハゲに拝礼する。
ザイモンは、そんなもん見てない。
あたしにメンチ飛ばしてくる。
あたし?
メンチ飛ばし返すに決まってるでしょ!
こういうのは、視線を逸らした方の負けなの。
まだどっちが強いのか、決着はついてないの。
出会うたびにヘコヘコと頭を下げるのはこのエロハゲの方であって、あたしじゃないの。
当然、向こうも同じことを思ってる、以上の事を思ってる、はず。
みーよを抱きたい、だぁ?
絶対にぶっ殺す!
あたしを抱きたい、だぁ?
絶対に絞め殺す!
ぐるるぅ、がるるぅと唸るあたしを、ダナンが執り成す。
向こうは向こうで、マイアミが執り成しているね。
ああ、でも関係ないかな。
ここでヤル?
今すぐヤル?
「ザイモン、いい加減にしろ」
フラフラとデンが、あたしとエロハゲの間に割って入った。
「迷宮上がりで疲れてる。お前が引け」
エロハゲが、気勢をそがれたように、デンを見つめる。
視線が逸れた。あたしの勝ちだ!
「この儂に指図するか」
「する」
小柄なデンが、見上げるようにエロハゲの前に立つ。
そういえばデンって、誰に対しても言うときは言うんだよね。
そして納得するまでは一歩も引かないんだよね。
そのまま、しばらく睨み合っていると。
「にゃぁー」
「……」
愛人二人が、エロハゲの袖を両方から引き始めた。
「ちっ、今回は見逃してやるわい」
「はっ、失せな!」
売り言葉に買い言葉。お前ごときにヤラれるあたしじゃ無いんだよ!
「郁ちゃん!」
今度はこっちが、みーよに袖を引かれちゃった。
えーって顔でみーよを見ると。
めっ! て顔で睨み返されちった。
うぬぅ、みーよには逆らえないなぁ……
あたしの方が視線を逸らしちゃったな。くそぅ負けかぁ。
エロハゲは満足でもしたのか、そのままあたしたちの前から姿を消した。
「ふぅ、ヒヤヒヤするわい」
「ほんとに、困ったものです」
「……」
男どもはブツブツ言うし。デンはデンで、あたしをジトっと見上げるし。
だって、女には引けない闘いというものがあるのよぉ!
ヤツとは絶対に絶対にぜえっつったいに決着つけるんだからぁ!




