146.それは、確かに怖いわ
一息ついて、作業再開。
蜘蛛の巣からの取得品を確認する。
開かれた繭から古ぼけた全身鎧一式がでてきたけど、留め具になる革の部分はきれいに無くなっている。形としてはバラバラだね。
錆びた長剣、大盾と、予備武器の小剣。鞘は無い。革製品は全部なくなってるね。
持ち主というか、中身も空だった。冒険者カードか、もしくは身分証明のカードも無い。ただ、鎧は特注品らしいので、調べれば身元は分かるかもしれない、とのことだった。
まだ繭にくるまれて釣り下がったままで、鎧の中身がなかった。
なので、狩られてから2か月前後らしい、とマイアミがいう。
それ以上になると、蜘蛛がゴミと認識して捨てるらしい。
人の形が残っているので(鎧だけどね)、まだ可食部があると勘違いするみたいなんだけど。なんか、気持ち悪い話だわ。
他の繭も、中身は人だったらしいのが、遺品で分かる。ただ、当然、全部中身は空だけどね。
で、金属以外は形として残らないらしいんだよね。小ぶりの短剣と、多少の硬貨、小さめの鎖帷子一式、位しか見つからなかった。
「恐らく、鎧騎士、武装した小柄の僧侶、斥候役のパーティーが全滅したのでしょうね」
冒険の成れの果て、か。
こっちの遺品は、みーよが奉納するらしい。杖を掲げ、祈っていた。
残りの二つの繭も開いてみる。
ん?
人の形をまだ保ってるね。
でも……魔物の方だった。うぇえ……
「ゴブリンが彷徨いこんで、喰われたようですね」
なによ、紛らわしなぁ。
もう一つの繭も、ゴブリンだった。んもう。
「まだ生きている人間が入っていて、助けだしました、なんて話は」
「襲われた直後、以外にはないのう」
マイアミとダナンが、こんなものを見てるのにニヤニヤしている。
みーよが、そっとあたしの制服を掴んでいる。
ああ、そういうことね。もうそういうの、経験済みなのね。
それは、確かに怖いわ。
床から出したゴミも、ロクなものは無かった。
でも地道に探すと、たまにお宝が眠っている場合があるのだとかで、こういうのは欠かせないんだって。
大地母神の僧侶は、特別な術を使って価値のあるものを見つけ出すそうなんだけど、それもレベル次第、運しだいなのだとか。
時間は掛かるけど自分たちで探せば済むので、そういう術を修めるより、他の術を選ぶことが多いのだとか。
「今日はこの辺にしましょう。休息して、これからの事は明日決めましょう」
マイアミの指示で、みーよが食事の支度を始める。
その間にあたしはシャワーを浴びちゃって。
今日のご飯は吉味屋牛丼のレトルトだった。へえ、こんなの出してるんだ。
ダナンもマイアミも、デンも。
たいへんお気に召したようだった。ノンアルビールと一緒に、際限なく食べてたねぇ。
食後のデザートのプリンも、とてもお気に召しておられたようです。
まだ本調子じゃないデンとあたし、みーよが先に就寝して。
マイアミとダナンで、交代で見張るらしい。
あたしが起きだしたら、交代ね。
お腹が満たされて、すっかり休息モードのあたし。
5秒たたずに、すぐに眠りに落ちた。
(つづくっ!)




