143.郁ちゃん、危なっかしいから
外が、暗い。
すぐ出られるように開けてある寝袋から、そっと身体を起こすと。
隣の簡易ベットで、まだみーよが眠っているのが分かる。
テントを抜け出すと、ダナンが折り畳みチェアに座って舟を漕いでいた。
と、あたしの気配を感じて、すぐに目を覚ました。
「ゴメン、起こした?」
「寝、寝てなぞおらん」
何言ってんだ、このおっさんは。
「見張り、交代するよ」
「そ、そうか、スマンな」
そそくさとテントに向かうダナン。
そういえば、鎧、着てないなぁ。
やっぱり、脱ぎたいよね、あんな重いもの。
体内時計は、こんな地下深くでも作用するんだね。
みーよが起きだしてきて、マイアミも。
ん?
もしかして体内時計が狂ってるのは、あたしの方?
「郁ちゃんはいつも、そんなもんだよ?」
「そうなの?」
「目いっぱい頑張って、ばったり倒れちゃう人でしょ?」
……そうかも。
「で、今回は、この迷宮は結構危険そうだから、寝られるときに寝ておこう、って身体が反応してるんだと思うよ?」
そ、そうなんだ。自分の身体なのに、気が付かなかったよ。
「時計っぽいものがあればいいんだけど、私の神格では、そこまで細かいものはまだ出せないんだよね。やっぱり、大聖女まで行きたいよね」
「行ければ出せるの?」
みーよは少し、考えた。
「出せるというか、現代と繋がれる気がするよ」
へえ、そ、そうなんだ。
「アーリューシャイン様は、現代にあるオリハルコンを通してわたしを召喚しているんでしょ? だから、女神さまの神格を身に受け入れられれば、現代のわたしの存在と同一化できると思うんだよね」
「……ごめん、難しくてよく分かんない」
みーよは、へへっと笑った。
「別にいいよ。そういうことはわたしが考えるから」
「あたしは、考えないで体が動けばいいんだね?」
「そういうこと。でも、指示には従ってね。郁ちゃん、危なっかしいから」
そ、そうかなぁ?
んーそうかもしれない、かもしれない、イヤそんなことないかも、いや、あるかも。
ヘンな風にこんがらかっている間に、ダナンとデンも起きて来た。
みーよの出す、簡単な総菜パン(コッペパンにウインナーとかチーズとかを挟んだもの)とジュースは、これも好評だった。
みんな、よく食べるね。ま、あたしもだけどね。




