143.もっしゃもっしゃと、まあよく食べるわ
「やったな」
「ふふ、ふふふ」
マイアミもダナンも、なんか嬉しそうだ。
改めて、仕留めたカマキリ、デカいなぁ。
こないだの大亀には劣るけど、それでも、これ良く倒せたねって位の大きさだね。
「目も牙も鎌も、羽根も、あと、腹の中身もいい値段が付きますよ」
「寄生虫、おらんじゃろうな」
「これだけ健康な生体ですから、大丈夫でしょう」
マイアミはみーよに、自分が収納することを確認する。
みーよは、解体しないと女神さまは奉納させて貰えないので、お任せしますと答えた。
「武神トルモルトよ。貴方の信徒が示した武勇を、どうぞご照覧あれ」
マイアミが、いつもより低い声で丁寧に祈ると。
大きなカマキリが、煙のようになり、そのままマイアミの手の中に吸い込まれて行った。
後には何も、残らなかった。
「ふう、これだけの獲物は、久しぶりです。聖人ザイモン様も、さぞ驚かれることでしょう」
何でアンタが得意げなのよ。
あと、あのエロハゲの名前は聞きたくないの。ムカつくから止めて。
……なんて、さすがに言えないか。
こんな地下深くで仲違いなんて、致命傷過ぎてお釣りが出ちゃうわ。
「マイアミ様、この後、どうされます?」
「さすがに、一旦は転移陣の前に戻りましょう。連戦は危険すぎますので」
みんな賛成して、元の場所に戻った。
みーよがキャンプセットを次々に出してくれる。
「これこれ、これが楽しみだったんじゃ」
ダナン、ぐへぐへ言わない。気持ち悪いよ?
テント二組、折り畳みチェアを人数分、テーブルを二脚、ランタン。
ビールセット。え、いいの?
あ、ノンアルコールなのね。
おつまみは、缶詰?
美味しいおつまみシリーズ?
そんなの、あるんだ。
お箸と、使えない人のためにフォークね?
シャワールームも出してくれるの?
でも、鎧着てる人は大丈夫なの?
「これ、どうやって開けるんじゃ?」
「ああ、やったげるよ、貸して」
「う、うおぉ!」
プルトップ引っ張るだけだよ?
そんなに感動する?
ちなみに現代では、缶詰はもう無いけどね。
全部パウチにとって代わられちゃったんだわ。
あたしは缶詰の方が好きだったけどね。
だってこれ、器代わりにもなるじゃん。
次々に開けて、なによ、缶ビールの開け方もわかんないの?
ほら、ここをつまんで引っ張るの。不器用ねぇ、貸しなさいよ。
な、なによ、みーよ、ちゃんと面倒くらい見れるわよ。あたしをなんだと思ってんのよ?
そのみーよは、簡易コンロにお湯を沸かして、人数分のレトルトを温めている。コンロはもう一つあって、こっちはパックごはんかな?
「随分、すっきりした味のエールですね」
「まったくだわい。じゃが、この缶詰? の味が濃いんで、ちょうど良いわい」
あら、お気に召したようで。
あれ? なによ、デンは食べないの?
食べ方が分かんないの?
ん?
油断しちゃダメ?
んもう、抜けるときは抜きなさいよ。張り詰め続けると持たないよ?
コイツら見てみなさいよ。もうグダグダでしょ?
あービールが美味いわ。ノンアルだけど。
こういうのは気分、気分なのよー
あ、カレーですね。すんません。
ほれ、美味しそうでしょ?
食べたことないんでしょ?
食べないと、光と共に無くなるよ。
お、釣られたな。
これスプーン。掬って食べるの。
そうそう。
旨い、旨いのかーそーかー
一緒にビールを呑むともっと旨いよ。
ホントだって。そら、お飲み。
旨いでしょ、でしょでしょ。
もーホント世話やけるなー
もっしゃもっしゃと、まあよく食べるわ。
ま、あたしもだけど。
でも、三杯目は食べ過ぎかしら?
みーよは、ストックはたくさん準備したので大丈夫、と言ってるけどね。
「マイアミ、見張りは必要?」
「基本的には転移陣の周囲はセーフティだが、念のため、交代で入れておこうとは思う」
「先に寝てもいい? 時間きたら起こしていいから」
「承知した」
モソモソとシャワールームに入る。
さすがにポンチョは着れないな、と思ってたら。
ちゃんと着替えは制服だった。
みーよ司令官、細かいところまで気が利くなぁ。
きれいサッパリして、あたしは制服のまま、テントに潜り込んだ。
外で、みーよがシャワールームの使い方を教えている音がする。
でも、すぐに聞こえなくなった。消音の理力かしらん。
そのまま、地下深くの迷宮の中で。
あたしは、深い眠りに落ちた。
(つづくっ!)




