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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移18日目 ~ 付き人への祝福って、スゴいんだねっ!

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138.あー説教されてヤンの。ざまーみろー!

「ザイモン、会員同士の争いは御法度だ。これ以上やるなら、会員権をはく奪するぞ」

「やればいいじゃろ」

 ギルマスを見もしないで、そう言い放つ。

 視線は、あたしの大きな胸に釘付けだ。

 ホント、男って奴は……

「ザイモン様、わたくしの付き人に、どうぞ無体な真似は致しませんように」

「なんじゃションベン聖女のくせに、儂に意見か?」

「もう、そのような別称で呼ぶのはお止めください。先日、C級に昇格致しましたので」

 ハゲがピタリと止まり、みーよをマジマジと見つめた。

「お前が、か」

「はい」

 みーよも、視線を逸らさない。

「ほほう、ならばお前も一緒に抱いてやろうかの」

 殺気っ!

 みーよに触ろうとしたハゲの手を打ち払う。

 そのまま肘打ちモーション、どうせかわすんでしょ、派生してスラッシュジャブ、おまけに目元にフラッシュ!

 げ、全部見えてんのか、ことごとくかわしてきたわ!

 でもまだあたしの間合い。

 掴まえちゃえばこっちのもんよ!

 しゃがみスーパーダッシュから水車蹴り(しゃがみまわしげり)、当たらないのは知ってる。

 ドラゴンキャノン(そこからハイキック)ぶっ放したけど、これもかわすのね。

 ああん、折角おしゃれなパンティ履いてるのにぃ!

 軽くジャンプして、下方向にローリング(まわりながら)リバースパンチ(りょうてでうらけん)の二連撃。

 全部かわすのか!

 しかもこっちをしっかり観察されてるし!

 なによ、全部初見(はつもの)なんでしょ、一発位、当たってもイイじゃないのさ!

「終わりか、娘?」

 結構な距離を取られちゃった。間合い外、か。

 コイツ、強い。無茶苦茶(でたらめに)強い。

 素手だと勝てないかも。打撃が当たる気、しない。

 剣を持ったシュトルムに剣で挑んだ時は、敵わなくても仕方(しょう)がないと思ってた。

 でも、素手格闘(せんもんぶんや)でここまであたしをあしらえる奴は、初めて見たわ。


挿絵(By みてみん)


「大丈夫よ郁ちゃん。私が付いてるから」

 みーよ?

 目線は逸らせない。逸らした瞬間にヤラれる。

「光の女神アーリューシャイン様、どうぞ我が付き人に、お力をお貸しくださいませ、シャイン・ブレス!」

 みーよの杖からの白い光が、あたしを包み込む。

 うわぁ、勇気と力が、湧いてくる!

「ほほぉ、付き人を得て、化けおったか。増々抱きたくなったぞ」

 このぉ、そのニヤニヤ顔、絶対にぶっ潰してやる!

 両の拳に、白い光がまとわれている。

 足にも、同じように力が漲っている。

 女神ちゃん、あたしの事キライなのに、こんな力を貸してくれるだなんて、イイとこあるね。

 地面を蹴ると、勢いが増しているのを感じる。

 制御?

 大丈夫、あたしこういうの慣れてるの。

 だって天才だし!

 待ってましたのカウンター撃ってくるんでしょ、知ってるもん。

 右脚を踏ん張って急ブレーキ。

 うん、観察さ(みられ)れてるね。撃ってこないね。

 でも、こっちもアンタを観察す()る余裕が出来てきたわ。

 留まっ(コラエ)た力を溜めに変えて、踏み込んでの右正拳!

 ガチっと手ごたえ。やっと受けてくれた。

 左脚も踏み込んで、左正拳を放つ。

 こっちはかわすのね。

 右ローキックもかわされたけど、そのまま身体を預け(だきつき)に掛かった。

「お、抱かれたいのか、積極的だな」

「そうねっ!」

 ハゲの肩と腰を捕まえたっ!

 上半身のツヤツヤしたお肉は、確かに魅力的(おいしそう)だわ。

 向こうの両手がフリーハンドなのが気になるけど、このまま投げとば……

 腰椎の辺りに、激痛っ!

 崩れ落ちそうになるのを堪えて、引き倒すっ!

 痛ぁ!

 倒した反動で、自分が痛がっちゃう!

「ほれ、これからどうするんじゃ?」

 いつの間にか、ハゲがあたしに覆いかぶさっている。

 確かに、あたしの方が上だったのに、いつの間に?

 それより、腰が痛い、スゴク痛いんですけど!

「痛いか。そうじゃろう。儂のものになるなら、その痛みを治してやるぞ?」

 コイツ、何かしたんだ。神経系のナニカの技だ。

 不味(マズ)ったなぁ、こんなの知らないもん。

 のしかかられる男の身体の重み。

 臭い息。

 ねめつける視線。

 完全に、バカにされてる。

 女だから、弱いから。

 ほれ、されるがままだろう?

 この野郎、あたしを舐めるんじゃないわよ!

 あたしの手を、ヤツの肋骨の下、ちょうど肝臓の辺りに添える。

「ん?」

 ヤツが身じろぎする。

 でも、絡み合ってるんだから、かわせないんでしょ?

 ま、お互い様なんだけどね。

 腰が痛いんで、イケるかな。

 いや、寝転がってるんだから、痛いのだけ我慢すればイケるはず。

 地面を踏ん張れないけど、お前の重い身体を使えばいい。威力はこの際、どうでもいい。

 右脚起動、左脚も起動。

 うねらせた体重を、腰に、あ痛たたたっ、我慢して容れこみ、添えた腕に、手に伝える。

「“寸勁!”」

 肝臓(レバー)に、直撃弾(クリティカル)

「ぐはぁ!」

 今度はアンタが痛みにのけぞる番よ!

 たまらずあたしの上から転げ落ちて、地面をのたうち回るハゲ。

 ふん、ざまぁみろ。

 って、あたしも立ち上がれるかなぁ?

 ううん、こういう時は、根性根性!

 先に立った方が勝ちよ!

 って、なによぉ!

 猫人間(ネコ)肌黒の(まっくろ)エルフが、こっちに走ってくるんですけど!

 アンタら服も着ないで何を……

 うわぁご主人様(エロハゲ)の助太刀かぁ!

 ネコはともかく、黒エルフ、揺れるおっぱいが滅茶苦茶ヤラしいんですけど!

 なによその泣きそう寸前の顔わぁ、折角の美人が台無しでしょ!

 落ち着けあたし、冷静になれ。

 二人とも得物(ぶき)は持ってない。

 ただ、ネコには爪があるのが厄介。

 あたしは、立てるかギリギリ。

 立ち上がっても、なんか出来るか自信がない。

 手には、光。

 ん? 光。

 そういえば、イーシュが何かやってたな。

 走ってくる二人に指差しして、なんか叫ぶんだよね?

 何を言えば……

 こういうとき、あたしの口から出てくるのは、慣れ親しんだマッチメーカーのドーリングしか、ないんだよね。

「フィールドパンチ・オート射撃()パワーセレクト()!」

 手の光が、手首から肘の手前までを包んでいく。

 白地に青と赤のラインがカッコイイ、金属製(メタリック)手甲(ガントレット)

 あたしが機乗する格闘マシーン、Sweet Bombの愛用武器、拳近辺に力場を発生する装置、通称フィールドパンチ。

 殴る時に(シングルで)も、身を護る時(マルチ)にも使える、攻防一体の装備。

 イーシュや他の付き人の、光で撃ったり斬ったりは、正直、よく分かんない。

 でも、こっちなら、あたしはよく分かる。スゴくよく分かる。実にハッキリと、よく分かる。

 多分、あたしか、みーよか、両方のレベルが上がったんで、使えるようになったんだと思う。

 気持ちに余裕を持てた。いまのあたしは、公開対戦(ドーリング)中の天才パイロットだ。

 力場(フィールド)前方に向け(シングルにし)て、オート射撃で二連撃確定。

 少し距離があるけど、一応射程範囲内。

「ファイヤ!」

 あたしが突き出した拳から、前方に見えない力場が二発放たれ、ネコと黒エルフをそれぞれ吹っ飛ば(カウンター)した!

「うにゃ!」

「あっ!」

 モロに食らった二人が、それぞれ地面にひっくり返る。

 よし、その間に、なんとか態勢を立て直し……

 あた、あたたたっ!

 思い出した、というか、思い出させられた。なんか変な技、喰らったんだった。

 これって、ぎっくり腰だっけ?

 んな、まさかぁ?

 あたし、そんなおばあちゃんじゃないよ?

 青春真っ盛りのジョシコーセーよ?

 これって年寄りしか、(かか)らないんじゃ無かったの?

 ひたすら腰をさすって、なおれなおれなおれーと念じてみるけど、痛みは引かない。

 どうも、あたしにはそういう才能は無いらしいね。

 付き人への祝福(ブレス)

 これって、自分が知らないものは、再現できない。

 でもね、よく知ってるものならば、再現できそう。

 レベルに応じて、再現出来ることが増えていく。

 そういう事みたいね。なんか、みーよがそんな事を言ってた気がする。

 あたし、よく分かってなかったんだと思う。

 で。

 ん-腰ってどうやって治すんだっけ?

 と。

 ハゲも根性で立ち上がってきたかー

 と、ゲロゲロしてら。ホント、ざまーみろだわ。

「お、お前、ゆ、許さんぞ」

「そ、それは、こっちの、こっちの、セリフですぅー」

 お互い、ボロボロだけど。

 でも、勝ちは譲らない。絶対に譲らないもんね。

「そこまでにしろ。頼むから」

 あ、ギルマスが仲裁に入ってくれた。

「なんじゃ、邪魔をす、するな……」

 そうよ―邪魔するなー

 でも、半分は助かる、かも。

 腰がちょっと痛い。チョットどころじゃなく、スゴク痛い。

 立ってるのがやっと。しかも、少し動いただけでギクッとくる。

 ナニやられたんだろう? コイツ、とんでもない奴だわ。

「そんなに闘いたいなら、あとでセッティングしてやるから。俺にいったん預けろ。いいな?」

「う、うぬ、分かったわい……」

「いいよ。今度こそぶちのめして、二度と逆らえないようにしてやる」

「それは、こっちのセリフだ……」

「な、なによ、今からやっても……」

「だーめーだ。俺が預かるといったら預かる。お互い、文句は無しだ」

 ちぇ……でも、助かったわ。

「郁ちゃん、怪我診るね」

 今度こそ終わったと判断したみたいで、みーよが駆け寄ってくる。

 はぁ、いつもゴメンねー

「ああ、これね。ちょっと待ってね」

 みーよがあたしの腰に手をかざし、と、両手を使いだした。

 杖は?

 あら、宙に浮いているわ。

 って、みーよの両手が、あたしの腰にめり込んでいくんですけど!

「痛いの、ここでしょ? ヒール!」

 身体の中が、特に腰が温かくなる。

 うわ、急に身体が軽くなった!

 痛くない! 

 痛くないよ、みーよ!

「ついでに皆様を癒しますね。光の女神アーリューシャイン様、我が手に光の癒しを、マルチ・ヒール!」

 杖からの光が、あたしも、ハゲも、ヤツの愛人たちも、みんなを包みこむ。

「ふにゃ?」

「あら」

「儂にも、か」

 そして、あたしも。

 腰の痛みが治ると、手足が結構、痛くなっていた。

 でも、女神ちゃんの光で包まれて、すっかり良くなったわ。

 みーよはそのままハゲの所に行き、ヤツの肝臓の辺りに追加のヒールを掛けていく。

 あんなヤツに、そこまでしなくていいよー

 あ、睨まれた。

 で、ヤツも同じように思ったらしい。なんでそこまでする?

 みーよは、そんなハゲを、優しく諭すように話し始めた。

「ザイモン様の御武勇は、よく存じております。ですが下々の者の為にも、理の無き行いはお控え下さいませ」

 あー説教されてヤンの。ざまーみろー!

「郁ちゃんも、もう少しやりかたがあるでしょ、めっ!」

 あたしも怒られちった。くそぉ。

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