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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移18日目 ~ 付き人への祝福って、スゴいんだねっ!

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135/147

135.それでよく付き人が務まりますね。ああ、色々と規格外なのかぁ

 新章開幕。

 翌朝。

 いつも通り、朝稽古のために外に出てみると。

 革ジャン、弟子二人は同じだけど。

 マイアミがいなかった。

 まあ、いないならイナイでいいや。

 で。

 期間限定の弟子、イーシュがいて。

 お姉ちゃんがくっついてきてる。

「あれ? どうしたの?」

「あ、あの……」

「あ、俺の方が先だろう」

 ちょっと照れてるように、恥ずかしそうにしてるアオイを押しのけて。

 革ジャンが手にしている花束をあたしに手渡そうとする。

「カンタ、受け取っといて。それと、みーよを呼んできて」

「わかった! イラドさん、いつもありがとー!」

「お、おい……」

 カンタの元気に押されて、花束を手渡しちゃう革ジャン。

 そうか、カンタにも名前を憶えて貰ったんだね。良かったね。

「立て込んでるのよ。じゃ、そういうことで」

 サヨナラと手を振ったけど。

 なんだよソンナんじゃネエんだよとか、ブツブツ言ってる。

 空気読まない奴だなぁ。

「イーシュ、おはよう。アオイ、よく来たね」

「お、おはようございます!」

「おはよう、だけど……」

 なによ、顔も上げられない程なの?

 まあ、あたしも昨日の今日で来るとは思ってなかったんだけどね。

 あたしが寝込んでいる間、モンモンとしてたのね?

 お、玄関が騒々しい。

 わたし忙しいのよ、イクミねーちゃんが呼んでるんだよーとか。

 ゴメンね、みーよ。

 玄関から出たみーよが、あたしじゃなくて、アオイを見て、硬直(スタン)した。

 もぅ、手間がかかるなぁ。

 ササっとみーよの所まで行って。

 カンタの頭を撫ぜて褒めて。

「ゴメン、ちゃんと話してなかった。あたしも、昨日の今日で来るとは思ってなかったのよ」

「な、なによぉ……」

 あらん、あたしの顔も、アオイの顔も、ちゃんと見られないのね?

 肩を抱いてアオイの所に連れていく。

 あら、アチラさんも、みーよの顔をまともに見られないのね。

 イーシュが、側で苦笑している。

 そうねえ、お互い、困った聖女様を抱えたもんだよね。

 お互い、顔をそむけたままの彼女たちに。

「聖戦、しよ!」

 大きな声であたしが提案する。


挿絵(By みてみん)


「は?」

「なに?」

 戸惑う聖女ちゃんたちに。

「あたしとイーシュで、聖戦。やりたいの、お願い!」

 思わず、みーよとアオイが、顔を見合わせた。

 あ、わたしたちケンカしてるんだった、と、すぐに顔を背け合ったけど。

「聖戦で勝った方は、負けた方に何かひとつ要求できるんでしょ?

 アオイが勝ったら、みーよと仲直りするの。

 みーよが勝ったら、アオイと仲直りするの。

 いいでしょ?」

 再び、聖女ちゃんたちが、思わず顔を見つめ合う。

 あたしを同時に見て、お互いをもう一度見て。

 しばし沈黙して。

「しょうがないね、郁ちゃんのため、か」

「わ、私は、悪くないんだけど、イーシュの為なら」

「わたしだって、悪くないもん。郁ちゃんの為だから」

「聖戦で勝てば、いいんだけど」

「郁ちゃんは強いから、わたしが勝つもん」

「それはそーだけど……」

 二人で顔を見合わせ。

 どうも、ケンカしてるのがバカバカしくなったらしい。

「そういう人だったんだけど」

「そういう人なのよね」

「困ったんだけど」

「でしょ?」

 お互いに笑いあって、肩を抱き寄せ合って。

 ため息ついて。

「いいよ。それで」

「やる、やるけどー」

 おっし、とりあえず、いっこ解決だね。


「光の女神アーリューシャインよ、我が付き人に光の祝福を備えたまえ、シャイン・ブレス!」

「青き清浄の調べよ、我が付き人に聖なる光を備えたまえ、ディープ・ブルー!」

 あたしとイーシュは、それぞれの聖女から光の祝福を受ける。

「聖戦は成立した! 聖なる領域よ、顕われ示せ!」

「聖戦は成立した! 聖なる領域よ、顕われ示せ!」

 二人の聖女が同時に宣言し、杖を高く掲げると、それぞれの光が入り混じり、広場に結界が張られた。

「シュラン、カンタ。付き人イーシュの闘いは見たことあるの?」

「無いです」

「無いよー」

「じゃ、いい勉強になるから、ちゃんと見ときなさい」

 そうね。こういうのを教える、ちょうどいい機会だわ。

 ま、あたしも初めて見るんだけどさ。

「よろしくお願いします」

 お、なんか律義だね、イーシュ君。

「先に、前にあの赤いのにヤラレタ状態って、再現できる?」

 聖戦中に、こんなお願いもおかしいんだけど。

 やっぱり、知ってはおきたい。

「いいですよ。まず俺は全方位にメディケーションを掛けました。エリアのどこにいても影響があるんで、絶対に当たるんですよ」

 イーシュのかざした手から、青い光が強く輝いた。

「メディケーションは基本の術なんで、付き人ならば掛け持ちで他の術も使えます。相手の動向や生命反応も掴めるので、かなり有用なんですよね」

 お、あたしにも、掛かっているわけね?

 ん-自覚無いけど。

「イクミさんは自然にレジストしちゃってますね。でも、少し緊張しているのと、心拍数と呼吸がやや速くなっているとか、この術で分かるんですよ。攻撃のタイミングなんかもですね」

 へえ、そりゃイイね。

「で、相手の侍女様たちは……」

 イーシュが片手をかざすと、少し離れた処に赤い人型の影が二つ、現れた。

「ここから二手に分かれて……」

 イーシュに対して、正面と側面に位置どった。

「ここから同時にカノンを連発されました。3発までは耐えたんですけど、シールドを吹っ飛ばされました」

 赤い人影から、疑似的な光がイーシュに向かって放たれる。カノンっていうのか。

 あら、これって十字砲火(やられっぱなし)じゃないのさ。

 イーシュ、アンタはそのまま抵抗しなかったの?

 せめて位置をずらすとか?

「攻撃に対してはシールドを発動するんですけど、その時は動けないんですよ。普通は攻撃側が息切れするんですけど、向こうが強すぎて、やられちゃいました」

 そういうもんなの?

 普通はかわすもんじゃないの?

「シールドを飛ばされて、そのまま近づかれて、ムドラで滅多切りです。カームで抵抗しようとしたんですけど、二人がかりで神格も向こうが上なので、どうにもなりませんでした」

 また変な言葉が出て来たなぁ。

 ムドラ?

 共通語理念(コモン)だと“印を切る”らしい。

 ん-あの赤い侍女たちが射程距離関係なしの手刀を振るってたけど、あのことかな?

 あと、離れた処からの攻撃は、シールドが働くんだよね。

 スリングの石が当たらないのは、そのせいだったね。

 でも、近づくと無効になるんだよね?

「お互いのシールドがくっつくと、無効になりますね。でも、そういう接近戦の時は、どうせシールドの意味は無いんで」

 なるほど。じゃあやっぱり、接近戦(ガチンコ)が出来る方が、がぜん有利なんだね。

「こんな感じだったんですが、参考になりましたか?」

「うん。なったなった。出来ればもっと早く教えて欲しかった」

 イーシュは不思議そうな顔をして、あたしの後ろにいる、みーよを見つめる。

 俺が教える事じゃないよね、ちゃんと教えてないの?

 いや、あたしは振り返らないよ。みーよがどんな顔してるか、分かるから。

「イーシュもそういう飛び道具持ってるんでしょ? ちょっと撃って見せてよ」

「いいですよ。じゃあ、ここから本番ということで」

 イーシュは両手をあたしに向けて、パーの形を取った。

 ン、範囲攻撃だね。見たことあるよ。

 あたしも息を吸い込んで。

「スリープ!」

「ああああぁぁあああ!」

 結構な範囲で前方に放たれた青い光を、あたしの大声でかき消した。

「お、やりますね」

 イーシュの手が、指差す形になった。

 攻撃を絞るんだね?

 構えられて、狙われて、撃たれる!

 ギリギリまで待って、前方に身を低くしながらダッシュ!

「パラライズ!」

 頭の上を、何かが掠めていく感触。こっちも、結構範囲が広い。

 付き人の飛び道具(ゆびさし)は、散弾銃と思って良さそうだね。

 イーシュはあたしの飛び込みに対して、特にかわしたり逃げたりする様子が無い。

 油断、じゃなくて、そういう闘い方を知らないんだね。

 手が刀の形になった。斬ってくるね。

 ムドラ? 

 んー覚えられん。

 中段から斜め下に、切り裂く動作。

 軽くジャンプ、ついでに横回転入れて挨拶代わりの跳び後廻し蹴り(ダイビング・ソバット)

 バシッという音と光がして、イーシュのシールド? が反応したみたい。

 でも、もう彼は目の前。

 抱き付くような感じで捕まえに掛かったら、多分あたしのシールドと、なんだろうね、反応し(くっつい)て抵抗がなくなった。

「え? え!」

 えーじゃないのよ?

 くっついちゃえば、こっちのもんだし。

 足を絡めて、脇腹に腕を突っ込んで。

 そのままあたしが伸び上がれば、コブラ・ツイストの完成っと!

「うわ、痛たたっ!」

 あら、藻掻いてもダメよ? 極まっちゃったからね。

「降参する? もう一回仕切り直す?」

「う、う、仕切り直しで」

 技を解いて、息をつく暇をあげる。

「こ、こんな簡単に……嘘みたいだ」

「ん-くっついて技仕掛ければ、神格とか関係ないように思うけど?」

 相手がいくら強くても、技が極まっちゃえばドウにもなんないでしょ?

 ホントに強い奴は、こういう技が一切効かないのよ?

「聖戦は、お互いの神格を比べ合う儀式ですから、こういう武道の発想は無いんですよ」

 へえ、そうなんだ。

 でも、あたしには何の関係も無いよね?

「イクミさんこそ、カノンやムドラは使えないんですか?」

 ん-どうかな?

「ちょっとやってみるね?」

 指差す格好をして、でろでろでろー

 ……でないね。

 手刀の形にして、きるきるきるー

 ……斬れないね。

「無理みたいね」

「……それでよく付き人が務まりますね。ああ、色々と規格外なのかぁ」

 いや、呆れられても、ねえ。

「ま、あたしはあたしのヤリ方でヤルよ。イーシュも、そういうのを習いに来てるんでしょ?」

「はい」

「じゃ、もう一遍飛び込むから、どうすればいいか、考えてみてね?」

「はい!」


 その後、3回位模擬戦をやった所で、イーシュの力が尽きてしまった。

 一応、手加減はしたんだけどね。

 ん-シロウト丸出しだしねぇ。

「師匠、強すぎでしょう!」

「もうちょっと加減してやってもよくね?」

「シュラン、アンタが手加減してあげなさいよ」

「俺、まだそんな余裕ねえよ」

 イーシュはともかく、シュランにまで言われてしまった。

 カンタが、目をキラキラさせてるね。郁美ねーちゃん、カッコイイ! だね。

 まあ、付き人とは黙って手を突き出せばイイというものでもないと、彼らが分かって貰えただけでも収穫だね。

 その分、稽古に身が入るでしょう。

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