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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移十七日目っ! ~ 危険そうなおっさんに遭遇っ!

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133/156

133.でもあたしの方が断然大きいもんね。ふかふかふわふわだもんね

 立てる。歩ける。

 ふらつかないって、いいね。

 制服に着替えて、防具も付けて。

 退出のご挨拶にいったら、日を改めてまた来て欲しい、だって。

 報酬の話がしたいけど、まだ清算が終わっていないらしい。

 りょーかいだよ。

 イーシュに、明日から朝稽古を再開できると思うので、これたら来て欲しいというと、絶対行きますと張り切っていた。

 ちなみに、彼が付き人として復帰してからは、教会周辺のゴロツキたちは、もう近寄ってこなくなったんだって。

 あたしが怒ったから、もあるけど、イーシュの存在がとても大きいらしい。

 そこらへんのチンピラなら何人いても、いないと同じなんだとか。

 ホントに?

 今度試してみます? でも師匠ホントに強いからなあ。

 なんか謙遜してるけど、瞳の奥には自信あり、の文字。

 へえ、ぜひぜひ、やろうやろう。そういうの大好きだよ。


     ~ ・ ~


 青の教会を出ると、お日様が傾き始めている時刻だった。

 ホントに丸二日間、寝たままだったらしい。

 いや、二日でいいのかな? 自信ないや。

 お腹は、実はあんまり空いていない。

 寝ているときに栄養補給されてるような、気がしないでもない。

 でも、単に気が張っているだけかもしんない。

 街の雑踏の中をてくてく歩いていると。

 なんか、大通りが騒がしい。


挿絵(By みてみん)


 ひっくり返ったままの大きな亀が、50センチ位かなぁ、宙に浮かぶ大きな布に乗ったまま運ばれている所に出くわした。

 亀の全長は約10メートルって所だと思う。幅が5、6メートル。

 結構重そう。2トン? 3トン? 投げるとか持ち上げるとか、まあ無理だね。

 なんで浮いてるんだろう、無理じゃん。

 突き出た頭や手足には、濃い緑と薄い緑がシマシマなマーブル状に混ざり、所々に警告色(カラフル)なショッキングイエローが混ぜ込まれている。

 甲羅は灰に近い緑。腹の部分の甲羅は薄い黄色。

 手足はごっついンで、普通に歩けそうな感じだね。

 ま、ひっくり返されたら終わりだけどね。

 んで。

 うん。

 生きてるね。

 亀、生きてるわ。

 だって動いてるもん。

 これ、どーするつもりなんだろ?


 ひっくり返された腹の甲羅の部分に、ちょっと立派な造りの、ん-武道服でいいのかしらん、布なのになんか硬質っぽい感じの上下に身を包んだ、頭のデカいハゲなおっさんが胡坐をかいている。

 鼻から真横にピンと張った髭。

 顎からも下の方にピンと張った髯。

 細い目。低い鼻。

 やや黄色みがかった肌の色。

 うん、黄色人種(モンゴリアン)だね。それも中華系(チャイニーズ)

 ま、この世界で人種のルーツをたどるのが意味あるのか知らないけど。


 布を引いているのは、中東(アラブ)系かしらん。全身を薄黄色の布で覆っていて、顔は特に日焼けでも気にしているのか、目元以外はすっぽり覆っているね。しかも口元にはひらひらしたバンダナ? を付けている。

 頭にはターバン。長袖ローブの腰元を同色の帯で結んで、色違いのショールを肩に掛けている。

 なんていうか、全身を豊富な布で包んでいる感じ。

 うん、布人間ってとこだね。

 で、コイツがでっかい亀を乗せた布を引っ張ってる。

 多分、浮かせてもいる。

 どうやってんの? どうなってんの?


 その周囲をウロチョロキョロキョロしているのが、どう見ても猫人間。

 うん、ネコの姿をした、人間。

 共通語理念(コモン)に聞いてみたら“ワー・キャット”だって。

 ワーは、獣人。

 言葉の後ろが、獣の種類ってわけね。ネコだからキャット、当たり前か。

 頭の上に生えてる、大きめの三角形なネコ耳。

 髪の毛? は朱色。結構ぼさぼさで、量が多め。

 大きな目の中の瞳孔は縦に伸びていて、まさにネコの目そのものだね。

 人間っぽい鼻先がピンクに染まっていて、そこだけネコになってる。

 時折開く口元には、ビッシリと小さな牙が見えかくれ。うん、ネコだね。

 おまけに、ちゃんと細く横に伸びたネコのヒゲまで生えてるよ。

 でも、人間っぽく見えるのは、立ち居振る舞い姿格好が人間そのものだから。立って歩いているだけで、もう人間にしか見えない。

 まあ、若干、というか、結構な猫背。いっそ四つ足で走った方が速いんじゃないの? という予測は、多分合ってる(ピンポンだ)と思う。

 手は、ネコだね。モノを掴めるようには見えない。

 まあ、頑張れば、イケるのかな?

 足先も、ネコ。靴も履いて無いし、その方が楽そうに見える。

 一応、使い古したジーンズ生地かなぁ、チョッキみたいなものを羽織っている。お尻は丸出し。気にならないというか、ネコのそれだしね。

 ピンと立った尻尾が、左右にユラユラと揺れている。

 太い黄色と黒のボーダー模様に、お腹の部分だけ白い毛で覆われている。

 トラの模様じゃない。あくまでもネコだね。


 ネコが、こっちをみてる。

 あたし、ガンなんか飛ばしてない。

 ユラユラしたしっぽが気になっただけ、とか言いたいけど。

 もう、向こうは獲物(エサ)を見る目になってるね。

 ん-やり過ごしたい。おうちに帰りたい。

 どうも、街中を歩くと、変なのに出くわす可能性が高いなぁ。

 なんて弱気は禁物。

 何時如何なる(どんな)時でも、常在戦場(いつでもどうぞ)精神(こころ)を持っていないとね。

 ネコが、すすっと寄ってくる。

 自然に見物の人ごみが左右に分かれて、あたしの前に道ができる。

 もう、面前。敵意は、今んとこ、無い。

「お前、誰にゃ?」

 身長はあたしより頭いっこ下。ただ、猫背だからなぁ。

 なので、下から睨みあげられてる感じ。

 あたしが上から見下ろす格好になるから、見えちゃうんだよね、うん、中身(ボディライン)が。

 意外におっぱいデカいな。尖がってるし、乳首見えそうだゾ?

 でもあたしの方が断然大きいもんね。ふかふかふわふわだもんね。悩殺合戦(おんなとして)はあたしの完勝だね。

「おい、無視すんにゃ!」

「無視はしてないけど、失礼な相手にチャンとご挨拶する義理も無いんだわ」

 うん。

 正直、コイツはどうでもいい。威勢はイイけど、大したことは無い。

 それより、大亀の上に胡坐かいてるオッサン(ハゲ)

 なにもの?

 ネコに目を付けられた辺りから。

 背中がゾクゾクしてるんですけど。

 あえて、視線を逸らしてるんだよね。この、あたしが。

 睨み合い(ガンとばし)をしたく無い相手だなんて、なんか、逃げてるみたいでイヤなんだけど。

「にゃんだとぉ!」

 うわ、なんか突っ掛かって来るなぁ。

 アンタはどうでもいいけど、あのオッサンにコッチの手の内を見せたくない。

 むしろ、ソッチの手の内を見ておきたい。

 うん、ネコなんだし。

 背中に廻した腰袋から、スリングと石を一個だけ取り出す。

 にゃあにゃあウルサイにゃんこの前で、これ見よがしに、スリングに石を仕込む。

 左右にブラブラと振ると、ネコが喰いついたように視線を泳がせる。

 半信半疑だったけど、ホントにこんなので注意を逸らせるんだ。

 右に左に大きく振って、飛びつこうとするネコをひとしきりからかって。

 おっさん目がけて、かるぅく投擲。

 ネコが勢いよく、放り投げた石を目がけて跳びかかっていく。

 胡坐をかいたままのオッサンの手が、なんかしなった。

 速くてよく見えなかった。

 空中で、石が砕け散った。

 何よ、それ?

「にゃにゃにゃ?」

 目標を急に失って、空中でキョロキョロするネコ。

「いきなりなご挨拶だな、娘」

 硬質的な、低い声。

 ヤルなら、うん、ここだね。

 相手を睨む(ロックオン)

「躾のなってないペットを放置するような男に、言われたくないね」

 ひっくり返った大亀の上に乗るオッサンに向かって、ゆっくり歩きだす。

 背中のビリビリ感が、どんどん強くなってくる。

 止めろ、戻れ、帰れ、逃げろ!

 全身の骨(ほんのう)が、そう叫んでいる。

 そうだね、それが賢いね。

 でもね、こういうケンカを売られたまま、ハイそうですかって帰れないんだわ、あたし。

「威勢がいいな、娘。儂を誰だか知っているのか?」

「知らないね。ペットの躾が出来て無いって事だけは分かるよ」

「にゃにゃにゃあ!」

 お、ペットのネコがお怒りだね。両手のネコ指から爪が出て来たよ。

「いいの? 止めないなら、ソイツ殺すけど」

「それは困るな。おい、ペルージャ、やめとけ」

 オッサンの言葉に、ピクンと反応するネコ。

 ペルージャ? そんな気品ある名前には見えないんだけどね?

 どうしようかと逡巡。

 こっちをジトっと睨む。

「ご主人様の所に帰んな。あたしも面倒はゴメンなんだよね。ソッチも凱旋の途中なんでしょ?」

 うーという顔をして、そそくさと大亀の所に行き、ジャンプしてオッサンの側に座り込んだ。

 あくびして、その膝の上にごろんとうずくまる。

「面倒を掛けたな、娘」

「いいよ、じゃ」

 片手を振って、そのまま別方向に歩き出す。

 群衆も、固唾を呑んで見守っていた、けど、何も起きなかったんで、空いたスペースを埋め始めた。

 場を離れるに従って、背中のビリビリが薄くなっていく。

 ホント、何者なんだろう?

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